次世代無線免許割り当てで進むワイヤレスブロードバンドのオープン化
2・5ギガヘルツの周波数の割り当てをめぐり、通信事業者が激しく争っていましたが、ついにその決着が着きました。
12月18日、総務省は、次世代高速無線通信用に新たに開放する2・5ギガヘルツの周波数帯の事業免許を、KDDIなどが出資するワイヤレスブロードバンド企画と、PHSのウィルコムの2社に30メガヘルツずつ割り当てる方針を内定したという報道が一部ありました。21日の電波監理審議会に諮問するようですが、注目を浴びていたモバイルWiMAX(ワイマックス)と次世代PHSサービスに決着がつきそうです。
KDDIとウィルコムは、2009年中にサービスを開始し、12年度末の人口カバー率の90%以上を計画しているようです。
もし今回の報道が正しいものであれば、NTTドコモとソフトバンクテレコム等は大幅な戦略の練り直しを余儀なくされるでしょう。
モバイルWiMAXが2009年にサービスを開始し、順調にエリアを拡大していけばどのような環境が実現することになるでしょうか?日経コミュニケーション11月15日号にも、「ワイヤレスブロードバンド」の特集が組まれていますが、モバイルWiMAXの仕様がモバイルのオープン化を強く意識している点は注目です。
つまり、メーカー側が自由に販売・開発が可能な端末のオープン化が進み、ニンテンドーDSやプレイステーション・ポータブル(PSP)等の携帯ゲーム機、カーナビ、PDA(携帯情報端末)、UMPC(Ultra-Mobile PC)、iPhone(iPod Touch)等にWiMAX対応の無線機能が搭載されれば、様々な活用シーンが生まれるでしょう。
既存の常時接続と比べて、価格も安く速度も速いので、一気に普及すれば過疎地との情報格差も是正できる可能性は考えられます。また時速100キロでも通信が可能なので、移動時にも威力を発揮するでしょう。新幹線通勤のスピードに耐えられるか定かではありませんが、もし大丈夫であれば新幹線通勤を続けている私にとってもずいぶん過ごし方が変化するのではないかと考えています。
Web2.0はモバイルに移る
昨年注目を浴びたWeb2.0の潮流は、ワイヤレスブロードバンドと端末のオープン化が進めば、モバイル環境でのWeb2.0的な仕組みが一気に普及していくでしょう。モバイル環境での動画によるライフログの発信や高精細な動画を近くにいる仲間と共有することも可能でしょう。企業の情報システムにおいては、「モバイル・エンタープライズ2.0」というキーワードも生まれるかもしれません。
携帯電話の普及により、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークに簡単につながる社会はほぼ実現したと考えていますが、モバイルWiMAXの普及により「今だから、何処だから、貴方だけ」というように個人への特定情報を配信していくことも今より容易になるでしょう。
そして、外出先で気軽にゲームの対戦をしたり、例えば、外出先で初音ミク等を使い音楽を共有したり作りあったりするということも当たり前の世界になるのかもしれません。Wii fit(フィット)が今回ブレークしましたが、外出先で例えば、Wii Walk(ウォーク)というようなサービス名にして、万歩計のように体につけて、歩きながらゲームを楽しむコンセプトのサービスを作ってもおもしろいでしょう。
ワイヤレスブロードバンド化と端末のオープン化が進めば世の中が変化する可能性を秘めている点を少し述べさせていただきました。mixi等のSNSの利用も携帯電話からのアクセスが増え続けている現状を考えると、PCの利用からモバイルの利用に時代は変化していくと考えられます。モバイルというのは携帯電話だけでなく、先ほど取り上げた携帯ゲーム機やカーナビ等の「セカンド端末」が鍵を握っていると考えることもできるでしょう。
モバイルWiMAX、そして次世代PHSサービス開始まで、まだまだ2年程度ありますが、エリアが順調に拡大していければ、モバイルにおけるICTの環境は大きく変化し、我々はその恩恵を大いに享受できるのではないかと考えています。個人的にはとても楽しみにしています。