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NTTドコモの2007年冬モデルへの本気度と潜むリスク

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111日、NTTドコモが「905i」と「705i」を同時発表しました。今回は、全機種がHSDPAとワンセグ、国際ローミング(3GGSM)とGPSに対応し、さらに、アスペクト比169を実現するフルワイドVGA表示対応の3インチオーバークラスの液晶ディスプレイと、3Mピクセル以上のカメラ機能を搭載しています(関連記事)。

 
今回の発表は携帯電話の集大成と位置づけており、NTTドコモの危機感と今回にかける本気度が伺えます。

 
しかしながら、今回の本気度が果たして、今後の日本の携帯業界にとって良い影響を与えていくのでしょうか? 

 

携帯キャリア主導からメーカ主導になるか?

今回、“AQUOSケータイ”に続き“Cyber-shotケータイ”や“VIERAケータイ”デジタル家電の有名ブランドを使う企画端末が立て続けに発表されました。“AQUOSケータイ”はドコモ以外にもそのブランドを使い、今や国内の最大のシェアとなっています。ソニーやパナソニックも同様に同じブランド名でauやソフトバンクモバイルにも提供していくのでないかと推測されます。

 
海外では、ノキアやサムソンそしてエリクソン等が自社ブランドで販売しています。今後もしSIMロックが解除されれば、携帯電話の機能はメーカが主導していくことが十分に考えられるでしょう。そういった意味で、今回のデジタル家電のブランドの使用は大きな転換期にきていると言えるのでしょう。

 

次の戦略は?国際戦略は?

今回の携帯電話は、HSDPAやワンセグや国際ローミングそしてGPS等の今あるすべての機能を搭載できるようになりました。今回を携帯電話の集大成と位置づけ、下期のサービス戦略も述べていましたが、速度アップを除く機能面において中長期の戦略はあるのでしょうか?次に何をいれるかわからないほど機能を盛り込んでしまったように見受けられます。

 
また、機能が充実すれば次は国際展開と考えるのが一般的なのですが、携帯電話は自動車やデジタル家電のように国際競争力のある商品に育つのでしょうか?現在、世界のシェアにおいて国内メーカが束になっても、世界のシェアの10%未満であるということを考えると、機能は充実した分価格に跳ね返り、世界では戦えない携帯電話のままで終わってしまうということが十分に考えられます。

 

『ドコモ2.0』はどこに向かうのか?

今回の発表の中で、「『ドコモ2.0』の時代が来たね、と言ってもらえるような」改善の取り組みを続けるということですが、『ドコモ2.0』はどこに向かうのでしょうか?

 
以前、「ドコモ2.0の宣伝効果と販売効果」という記事を書かせていただきましたが、宣伝効果はあっても販売には結びつかなかったという結果になっています。今回の新商品の発表で、『ドコモ2.0』は、バージョンアップを意味するのかそれともWeb2.0の派生を意味するのか定義が不明確になったように見受けられます。もし、大幅にバージョンアップし、集大成の位置づけであれば、『ドコモ3.0』というコンセプトを出してもいいのではないかと考えています。

 

まとめ

今回のNTTドコモの発表は、「905i」と「705i」の当時発表、そして多機能な機能の搭載等、個人的な消費者の視点から見ると大歓迎です。しかしながら、メーカ主導の転換期や国際競争力や中長期の戦略、そして『ドコモ2.0』のコンセプト等を考えてみると、多くのリスクが潜んでいるような気がしています。


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