« 2010年8月6日

2010年8月10日の投稿

2010年8月12日 »

オルタナティブブログでもGIGAZINEに関するエントリがいくつも集まりました。

これらを読んで新たに思ったことは「あなたの仕事は蒸発しない。他の誰かがやっているだけ。」ということです。

私はもっぱらシステムエンジニアとして稼働していたときも開発だけでなく営業も品質管理もするという感じでした。そのため、誰かに何かをしてもらうということがあまりなく、仕事は種まきしていないと無くなってしまうとか、品質は管理していないと落ちるとか、そういったことを実感する場面がありました。そしてコンサルタントとして稼働している今、より少人数単位で動く機会が多くなりその思いは一層強く感じられます。

反対に、大規模な情報システムの開発の場面はどうでしょうか。私の所属する企業や、これまでお付き合いをさせていただいた企業がこのような現場であるという意味ではまったく無く、これまでの社会人経験で交流させていただいた方から聞いた話などを中心に総合的に検討してみました。

すると、そもそも営業か誰かが取ってきた仕事ですし、進捗にしてもテストの結果についても報告を上げていると開発チームやら基盤チームやらに的確な指示が飛んでどうにかなるということがあります。そういった場面では多少自分の調子が狂っても二日酔いでも新婚旅行で休んでも全体の進行に影響が出にくいせいか、”仕事”の部分は適当に済ませて自分の好きなアルゴリズムを追求したりフレームワークを覚えたりしているほうが都合の良いという状況さえあるかもしれません。仕事が早い人に倍のタスクを割り振られ、しかも上司にそのことがよくみえていないという状況もありえそうです。(当然評価に影響はしない。むしろ自分でトラブルを作って自分で解決しただけなのに上司の心象がプラスなんてことも。)

しかしそういった場面でも仕事が再割り振りされた事実が「見えづらい」というだけで実際には誰かが代わりにやっているはずです。再割り振りだけでなく仕事の分担という意味で営業だったり品質管理だったりという役割の人がいるはずです。今日は999を録画してくるの忘れた、と思って1時間早く帰宅すれば、その1時間は自分でリカバーしない限りは誰かに負わされるのではないでしょうか?

また、「営業とSE」や「アプリと基盤」のような境界領域では、互いの縄張り争いが生じます。奪い合いならいいのですが押し付け合いのほうが多いですよね。他人の仕事の領域を「知らない」とか「責任がとれない」とか言って全然知らなくてもよいか、というときっとそうではないはずです。判断の分かれる部分は多いと思いますが、自分の仕事領域と連続する部分を意識して仕事ができれば、本来手をつなぎあうはずのその人達が助かりますし、そうでなければ互いに仕事を増やし合うだけです。

また、自分がわからない技術が出てきた時、誰かに聞くこともできます。全体的な仕事の進め方からすればそうしたほうが確実かもしれません。自分が知らなくて、誰かが知っていればその人がやったほうがいいでしょう。しかし自分が勉強しさえすれば同じようにできるのであれば、よほど厳しい予算管理を求められているのでなければチャレンジする機会と捉えることもできるはずです。果たしてその時間のためにプライベートを潰すかどうかということについては個々人の判断となると思いますが。

知識や技術のフォローの輪はうまく重なりあえばどんどん広がるものですし、失敗すれば悲惨なものです。ある技術が分かる人がごく少数しかいないと,その人がひっぱりだこになってすべての責任を負わされます。それを見ると「自分も学ぼう」という気持ちが失せます。それはその場面を見た人ならば理解できる光景と思います。もちろんまったりとした現場も数多くありますが、特に個人の体調とか権利のようなものは気にしないような場面というのもあるからです。

それがなぜ生じるかというのはよくわからないのですが、おそらく世の中には信用とか面目とか金利とか営業リップサービスという概念があり、例えばあるリリースがある日の朝9時に立ち上がらなければ原因のコードに携わったのが5,6人だったとしても1000人が泣くか笑うか決まってしまう約束があるからでしょう。そこまで緊迫していなくても、例えば営業10人アプリ30人基盤10人のチームでやっていたら、営業10人とアプリ30人の「俺の評価がかかってるんだよ」プレッシャーで基盤10人に3徹させるくらいのパワーはあると思います。ちょっとハーバード白熱教室みたいな感じですが。

そんなシステム開発の場面からすると、GIGAZINEさんの求人記事を見る限り、しょうもない仕事の押し付け合いや国境争いが起こっていたのではないかな、と思います。

yohei

« 2010年8月6日

2010年8月10日の投稿

2010年8月12日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
yohei
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ