« 2010年1月29日

2010年2月1日の投稿

2010年2月2日 »

東京近郊では派手に雪が積もっていますね。雪が降ると普段は見えないことが見えてきます。

例えば路面温度の低いところ。橋の上や建物の北側はすぐに雪が積もりますし、なかなか溶けません。何もないところで急に地面が見えていると思ったら、その道路に面したビルが取り壊し中で昼間に日光が当たっていたということがわかります。

例えば人の歩くところ。徒歩の場合は行く方向もわかりますし、靴跡の大きさからは大人か子供かもわかります。滑って転んだんだろうな、という跡も見ることがあります。

例えば地面の傾斜。雪が積もると窪んでいるところと膨らんでいるところがよくわかります。歩道と車道の間の区切りやマンホールなどの段差も雪が隠すとなめらかな曲線になります。

例えば風の通り道。いつもこのあたりで風が吹く気がする、と思っている建物の影にきっかりと雪の積もった場所と積もらない場所の境界ができていました。

例えば街灯の光。どれくらい高い場所から、どれくらいの広がりで地面を照らしているかがわかります。

普段は気づかない電線も上に雪が積もって存在感を増すことも、目立たない路地に思ったより多くの人の足跡がついていることも、新しくも広くもないけれども家の前の雪をしっかりと掃除している家もあります。

我々は昨年から今年にかけて新型インフルエンザに脅かされました。その中で、普段は休まない人が休んだり、もし爆発的な感染があったらと想定したりする中で、事業活動の中のこれまであまり見えていなかったような部分を見つけることができました。

我々はリーマンショック以降、経済の沈滞に向き合っています。事業領域の中でも落ち込みのない力強い部分と、落ち込みが大きく頼りない事業というものが見えました。株価の強い企業と弱い企業もはっきりとわかりました。

これらはどれも、雪が降らなければ、インフルエンザがなければ、リーマンショックがなければ、わからないものだったでしょうか。そうは思いません。雪が降らなくても目を凝らせば様々なことがわかるのと同じように、自分自身の仕事であり、事業領域の強さであり、そういったものは心を向ければわかったはずです。ただこれまでわかることはありませんでした。

スマートグリッドという技術があります。地球温暖化の危機と向き合った我々が考え出した電力ネットワークは、需給バランスを自律的にコントロールしようとしています。

国民背番号という技術があります。高齢化と少子化、福祉予算の増大、不況による歳入の減少、政治資金の不透明な流れ、税金のコントロール、行政サービスの適正化、これらは何十年も前から、何度も、提言されてきたことですがその大事さが見えず実現に至りませんでした。

危機を前にして、我々の生活に付随して発生し、何にも使われず捨てられる情報を活用しようとする動きが生まれています。危機を前にしなくては、情報に意味を持たせようとしない我々の呑気さはなんと頼りないものだろうかと思います。そして我々の前に広がる情報の膨大さはなんと途方もないものだろうかと思います。

何を言いたいかと言いますと、今朝私は傘を持って出かけませんでした。天気予報ってすごいですね。

yohei

« 2010年1月29日

2010年2月1日の投稿

2010年2月2日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
yohei
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ