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コンクルージョンファーストは必ずしもブログに向いていないかもしれません。

結論を最初に言うことは面と向かって話しができる場面では非常に強力なやり方です。結論→理由→具体例という展開で話をすると相手を説得しやすいといわれます。これには2つの理由があり、ひとつには具体例から話すと相手の頭が勝手に回転し始めてしまうということがあります。

おもしろい具体例を紹介した場合に相手が自分の中で仮説を立て始めると自分の意見が入り込む余地がなくなります。幸運にも意見が一致すればよいですが、一致しなかった場合にはよほど自分の意見に説得力がない限りは受け入れてもらえません。結論を先に言ってしまえば「それはなんで?」と相手の心が受身に傾きますのでこちらの意見も聞いてもらいやすくなります。

また、結論から話すことで説得できない人は退出してしまい、無駄な時間が生まれないというメリットもあります。玉砕するなら早めのほうが立ち直りも早いです。それによりトータルで多くの人を説得できることになります。

この2点に加えて会話のリカバリーがしやすいという点もあげられます。結論→具体例→理由という話し方ができるからです。結論を言った瞬間に「すべる」場合があります。そうしたら次に理由を言っても「だろうね」「ふーん」「本当に?」となってしまいます。そうなってしまった場合は興味を持ってくれそうな具体的な事例を投入して相手の心に刺さるかどうかリカバリーできます。もちろんとっとと諦めることも時間的なメリットを生みます。

こうしたやり方はリアルタイムのコミュニケーションでこそ有効なものであり、そうでないブログにぴったりあてはまるようには思えません。

例えば結論を最初に書いたらRSSの最初だけちらっと見て「知っとるわい」で終わるかもしれません。ブログのメリットのひとつに自分がどういう人間が知ってもらえるというところがあります。他人と同じ結論にたどりつくにせよ「自分はこう考えてこの結論に至った」という部分を知ってもらうことは楽しいものです。それにより議論が生まれておもしろい発見が生まれたり、新しいことを教えてもらうことにつながればなおさらです。

ブログに何を求めるかという定義にもよりますが、少数の人にしっかり読んでもらいたい場合は結論を最後までひっぱり丁寧に議論を展開していくべきででしょう。

ちょうど今日、影響力のあるブログには物語性と呼びかけがあるという調査が発表されていました。

結論が最初に来ている文章は攻撃的な印象になりがちです。そうした文章に「呼びかけ」という要素を含めることができるでしょうか。その答えは、簡単ではないが可能、です。それは自分に関する話として完結させることで実現できます。

(1)おれはこうするぞ。なぜならこうだからだ。最近もこういうことがあったけどうまくやった。これからも同じ調子でがんばるぞ。

という感じでしょうか。ポイントとしては単なる内向きな日記でなくて宣言や報告をしているようなニュアンスでやることです。これを他人に向けてしまうとどうなるでしょうか。

(2)お前はこうすべきだ。なぜならこうだからだ。あいつだってそうして成功している。だからすぐやれ。

確かにブログでは(1)の例のほうが受けそうに思います。では(2)の例をオーソドックスな日本語スタイルにしてみるとどうでしょうか。

(3)あいつはこうやって成功したらしいです。それにはこういう秘密があるんでしょうね。だからお前も同じようにしたら成功するんじゃないかな。

これもブログでよく見かける文章ですね。あと命令というよりも呼びかけにしてみました。また(3)は物語性の要素も強くなっています。

しかし冒頭に書く文章は人目を集めるために重要であることは否めません。ガツンと結論を書くのに抵抗があっても本題に触れておく必要はあるでしょう。このあたりのところを勘案すれば疑問系が否定形で入っておくのがよいのではないかと思います。このエントリでは否定してみました。

というわけで最後に結論。自分の経験則と今日の調査から判断するに日本人はブログにオーソドックスな日本語の文章を望む。無難なのは最後に結論。当たり前の結果でした。そういえば大学のビジネスコミュニケーションの授業では「当たり前のことを言うときは結論を最後に」って習ったっけ。

  • 【DoHowブログ】本文の構成は「事実」「考察」「意見」
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  • ブログは開始から2本目3本目あたりがつらい

  • yohei

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    プロフィール

    山口 陽平

    山口 陽平

    国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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