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新人が自分の部署に配属されてきて自己紹介をするとついつい先輩としては「なにか質問あったらなんでも聞いて」と言いたくなるのですが、言われるほうはわりと返答に困る質問です。

新人さんの本音としては「残業はどれくらいあるか」とか「給料はどれくらい増えていくのか」なんていうことが気になるんでしょうが、初対面で聞く質問じゃありません。かといって気の利いた質問ができるほどその部の業務について突っ込んだことを知りません。それでいて「別にありません」というのも悪い気がします。

優等生的な質問としては「個人的に資格の勉強をするなら何がいいですか」とか「購読しておいたほうがいい雑誌などありますか」という質問があるでしょうが、その質問は相手を選びます。先輩のほうがマッチョなビジネスマンの方でなければ「ええーっと、詳しい人に聞いとくね」と追い詰めてしまうでしょう。

このような場合は”先輩自身に関する質問”から入っていくのがいいと思います。

「この部署ではどんな仕事があるのですか?」

「先輩は今どんな仕事をしているのですか?」

この2つの質問は同じように思いますが、上の質問では先輩を検索エンジンか何かのように見立てているだけになってしまいます。ここからでは単発の質問が何個かやりとりされるだけで会話が弾んでいくことも難しいのではないでしょうか。下の質問では先輩自身がどういう仕事をしているのかに興味を持ったかわいい後輩といった立ち位置から会話が続けやすくなります。

先輩のほうは上のような単発の質問をされても不愉快に感じることはないでしょうが、下のような聞き方をされたほうが嬉しいはずです。また客観的な意見を言うよりも自分の経験を話すほうが楽しかったとか楽しくなかったという実感をこめて話せることでしょう。

会社の先輩や後輩の関係でもこういった質問の仕方は有効ですが、会社をまたいでお金のやり取りをするような場面でも有効に使える場面はあるでしょう。例えば私が売るほうだとしてお客様にこんな言われ方をしたらどうでしょう。

「もうちょっと安くなんない?」

「もう少し値引いてもらうと山口さん厳しい立場になっちゃう?」

「もう少し安くできればうちの会社としても次にこういう一手が打てるんだよね。助けてくんないかな。」

やっぱ3番目みたいのがどうにかしてあげようという思いになります。特に自分とお客様で手を取り合って共通の敵に立ち向かおうみたいなシチュエーションだと燃えそうです。2番目も気遣っていただけるのはやはりありがたいですね。とはいえ言葉だけの気遣いをいただいても報いることが出来るかどうかはわかりません。その点、3番目みたいな交渉だと自社に持ち帰って上司と検討するときの材料にもなります。1番目みたいなやり方だとこちらも「できません」と言って会話が終わってしまいそうです。その点、2番目の場合はどういう理由で厳しくなるか、というところから互いの妥協点が見えてくるかもしれません。

たかが言い回しですが、工夫するだけでビジネスの可能性が大きく変わることもあるもんだな、とそう思います。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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