« 2007年8月2日

2007年8月6日の投稿

2007年8月8日 »

図書館司書という資格があります。

拙ブログに唐突に登場してコメントやトラックバックまでいただいた上に
はてブで「このブログの中で今までで一番の出来のエントリー!」
と言われたうちの奥さんも司書資格の保有者です。

それはさておき、はてブでNDC0とかNDC7というタグを見かけることがあります。
前から気になっていたんですが、調べるそびれていました。
さきほど奥さんの横でネットを見ていたところ、たまたまNDC0というタグを見かけました。

「これなんだろうね」と聞いてみたところ「日本十進分類のゼロ類でしょ。
総記とかの分類なんだけど、コンピュータってのがゼロ類だから
NDCのゼロってのをよく見かけるんじゃない?」という
ありがたいアドバイスというかずばりそのものの回答をもらいました。

数限りなく存在する図書を整理するため、日本十進分類法(NDC)という整理法があります。

0 総記
1 哲学
2 歴史
3 社会科学
4 自然科学
5 技術
6 産業
7 芸術
8 言語
9 文学

このそれぞれの分類に更に細かな分類があるそうです。
日本の図書館ならばだいたいどこに行っても
このような分類で本が並べられていることだと思います。
また、本の背表紙には007などのラベルがつけられています。
インターネットでは、Yahoo!のディレクトリ検索に似ています。
(ただしYahoo!では1サイトが複数のエントリに入る事ができますが、
書籍は1つの分類にだけ収まります。)

ところが、日本十進分類法には少し問題があります。
例えばプログラミング言語について考察された本を
0類総記の情報科学に分類すると、8類の言語の本から
離れたところにしか並べる事ができないというところです。

これを補うものが基本件名標目表などに収載された『標目』になります。
本を複数冊購入する事は大変なことですが、「この本はこういう属性です」
というカードは小さいですし、単価も安いです。
本に関連する標目の数だけカードを用意し、何枚かの目録カードを作成して
十進分類などに基づいて決められた書架の場所を書いておきます。
そして標目ごとにカードを整理しておけば、上の例にあるプログラミング言語の本を探す場合
言語関係のカードの集まりから検索しても、プログラミング関係のカードの集まりから検索しても
A棚の3段目というような配架情報を得ることができます。
これははてなブックマークのようなソーシャルブックマークサービスに似ています。

また、十進分類法以外の分類法にコロン分類法というものがあります。
コロン分類法では、英語の文法でいうSVOCのような概念である『ファセット』が用いられます。

  • , (カンマ)  パーソナリティー(personality) 
  • ; (セミコロン)  マター(matter or property) 
  • : (コロン)  エネルギー(energy) 
  • . (ピリオド)  空間(space) 
  • ' (アポストロフィ)  時間(time)  

蒸気機関を作る産業技術の発展の歴史について詳しく書いた本が
ヨーロッパを舞台としたものなら空間に「ヨーロッパ」を設定し、
歴史背景が産業革命当時ならば時間に「産業革命」を設定します。
結果、『工学,産業技術;蒸気機関:歴史.ヨーロッパ'19世紀』というように分類されます。
このような仕組みで分類する事により、「工学」という書架の中で
産業技術に関する本がまとまり、その中でも蒸気機関に関する本が
近くに配架されやすいようになります。

こちらの分類法を考えたのは、ランガナタンというインドの図書館学者だそうです。
「図書館学の五原則」を唱えた人で、有名な人だそうなのですが
不勉強にも奥さんに教えてもらうまで知りませんでした。
最初聞いたときは数学者のラマヌジャンと勘違いして
ラマヌジャンは図書館まで手を出していたのか。なんて偉大な人なんだ。
と感動しましたが、人違いでした。

「図書館学の五原則」

  1. 図書は利用するためのものである。
  2. いずれの読者にもすべて,その人の図書を。
  3. いずれの図書にもすべて,その読者を。
  4. 図書館利用者の時間を節約せよ。
  5. 図書館は成長する有機体である。

この五原則は、1930年に作られたそうですが、図書をwebサイトに置き換えても意味が通じます。
多くの情報が蓄積された中から必要な情報を取り出すための工夫として
ソーシャルブックマークと図書館の共通項があるのだと思います。
(ひょっとするとタグ利用のSBMサイトを始めた人が図書館学に詳しかったのかもしれませんが)

そう考えると、はてなブックマーク界で図書館関連のエントリが
静かな盛り上がりを見せるのも自然なことだと思います。
図書館関連のブックマークが多いユーザを何人か見てみましたが、
私自身のタグ利用状況とはかけ離れた使いこなしっぷりに驚きました。
分類が好きな人にはたまらない世界なのかもしれません。

しかしコロン分類法にあるファセットのような概念が使用できるソーシャルブックマークサービスは
見たことがありません。自分で使いやすくするためになのか、[*図書館]のような
記号を用いているタグ付けは見たことがありますが、
あらかじめサイト側に「時間用タグ」などの分類が用意されているものを見たことがないです。

分類が得意な人にとっては、今のタグでも十分なのかもしれませんが、
私を含めてなかなか上手に使えないと感じている人も少なくないと思います。
「時間」や「空間」といった概念がうまいこと導入されれば、
初心者にとっての利用性が向上するでしょう。

ソーシャルブックマークでは1人の利用者が作ったタグが
利用者全体に還元されるという特徴があります。
『図書館は成長する有機体である。』
という言葉から考えると、ソーシャルブックマークもまだまだ成長する余地がありそうです。

#2007/8/7
図書の「分類」と「件名」についてや、コロン分類法の概念などについて
多くの間違いがありましたので書き直しました。
誤った情報を閲覧された皆様にお詫び申し上げます。
また、ご指摘いただいた方のご厚意にお礼申し上げます。 山口

yohei

« 2007年8月2日

2007年8月6日の投稿

2007年8月8日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
yohei
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ