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7月13日のニュースになりますが、

名古屋の専門学校で基本情報技術者試験の問題が流出

という記事をITmediaで読みました。
これに関して、1人の情報処理技術者としての意見です。

情報処理技術者試験にはいくつかの区分があります。
初級アドミニストレータなど、アドミニストレータ系の試験は
その名に「技術者」とつかないことからわかるように利用者側の試験です。
技術者系の区分として基本情報技術者やソフトウェア開発技術者
テクニカルエンジニアなどがあります。
基本情報技術者は情報処理技術者の登竜門として広く認められている試験です。

私は就職活動で内定をいただいてから
自力で勉強を始め、大学4年の秋に基本情報技術者に合格しました。
夏で単位を取り終えて暇だった典型的な文系学生だからこそ為しえた技ですが。

世の多くの内定者には(その良し悪しは別として)基本情報またはソフ開の
通信教育用教材が贈呈されます。そして入社式もそこそこに
4月の第3日曜日の試験に向けて勉強に取り組むという企業が多い事でしょう。

「独学」と「新人研修」というこの2つのルートは、ほぼ実務経験が無い状態で受験します。
よって試験対策をバリバリにやって受験するというスタイルになります。
一方、実務で身に着けた知識を確認するために受験されるという方もたくさんおられます。
社会人と学生がそれぞれどれくらい受験しているのか?という疑問については
情報処理推進機構から統計情報がダウンロードできるので確認してみました。

平成19年 春 基本情報技術者 

内訳

出願者

受験者

合格者

ソフトウェア業

26,100

16,500

3,900

情報処理・提供サービス業

9,900

6,200

1,300

無職・その他・無記入

14,200

9,200

2,100

その他の社会人を含めた合計人数

59,700

37,600

8,700

大学院

2,100

1,500

500

大学

14,300

11,100

2,500

高校

2,100

1,900

300

専修学校・専門学校

8,700

7,200 

1,500

その他の学生を含めた合計人数

28,600

23,000

5,100

全体の合計

88,300

60,700

13,900



私が勝手に100の位まで丸めたので正確な数字はリンク先から参照下さい。
これによると社会人の合格者は8,700人で学生さん達の5,100人よりも多いです。
それにしても社会人や大学院生が出願から受験に至るまでには
大きな障害があるようですね。高校などに比べて出願したのに受験しない率が高いです。

今回の事件は表中の区分で言うところの「専修学校・専門学校」で行われた特例試験で起きました。
特例試験とは、基本情報技術者試験の午前・午後試験のうちの
午前試験を各学校内でかわりに実施するような制度です。
自動車学校の修了試験のようなもので、特例試験合格者は午後問題だけ本番試験を受験します。

この特例試験の問題を生徒に教えてしまった学校があるようです。
目的は合格率を高めて学生を集めることにあるでしょう。
確かに情報処理技術者試験を持っている人のほうが
持っていない人よりも遥かに就職しやすいですし、
就職した後の給料にも差がつく場合があると思います。

学生の就職率も専門学校の評価に直結しますので、
この試験を受ける側も受けさせる側も必死になる気持ちはわかります。
しかし「それをやっちゃぁおしめぇよ」とはこの事で、
インチキして資格を持っていても何にもなりません。
資格を取って卒業した卒業生が活躍する事で初めて

「基本情報技術者持ってると安心だね」

「やっぱり●●専門学校さんから来る人は優秀だね」

という評価が得られるのですから、そこをごまかしては
長期的に信頼をなくすことは確実です。
専門学校側にはどうしても「学生によい成績を挙げさせたい」という
動機がありますので、情報処理推進機構側が主体となって
それを防ぐ策を考えていく必要があるでしょう。
(基本情報技術者を端末で受験するように誘導するための布石だろうか?)

特に基本情報レベルの試験は午前・午後ともマークシートです。
今回は午前試験だけの漏洩でしたが、これが仮に
本試験の午前・午後の問題が漏洩すれば容易に高得点が取れるでしょう。

現在、情報処理技術者試験は来年秋からの改革を目指して
パブコメを募集しています。(応募は今年の12月まで)
今回の事件は、情報処理技術者試験の社会的信用を揺るがすという意味で
改革の行方に影響を与える部分が大きい事でしょう。

パブコメを出そうという予定は今のところありませんが、
私はこの特例試験というものは完全に廃止にしたほうがよいと思っています。
この業界の仕事というのは(というかどこの業界でもそうでしょうけれども)
納期の遵守というものが強く求められます。
ですので、専門学校が容易するカリキュラムに沿って授業を受けていたら
講義期間の最後の日に試験があって、受けたら何とか合格してました、では不安だからです。

1年に2回(区分により1回)しか無い試験にどうやって自分自身を仕上げるか、
という能力も今の情報処理技術者試験で問われているように思います。
思えば弁護士だって弁理士だって公認会計士だって技術士だって年に1回しか試験がありません。
試験日に向かって自分でスケジュール作って、模擬試験を受けて
弱点を洗い出して補強して、また自己評価をして、というように取り組む中で
仕事に役立つ正しい資質が磨かれるのではないかな?というように思いました。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

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