« 2007年7月9日

2007年7月10日の投稿

2007年7月11日 »

世の中には一般名詞化、普通名称化した商標や商品名がたくさんあります。

カップヌードル、ホッチキス、写ルンデス、ホカロン、シャチハタなどが
普通名称化した商標の代表的なものです。
そういえば中学生の時に英語の辞書を引いていてxeroxの項に
「動詞:コピーを取ること」と書いてあって驚いた事を思い出しました。

これらを何日かかけてコツコツとメモしていました。
そしてさきほど「きっとネットで同じ事調べてる人がいるだろう」と思って
検索してみたところ、wikipediaに項目がありました。

普通名称化した商標一覧

自分の努力はなんだったのかと思いました。
しかし自分の作ったメモに列挙した商標のすべてが
wikipediaに出ていたのには驚きました。集合知には勝てません。

さて、心強い味方が見つかったところで、本題に行きます。
IT製品の名前は普通名称化しているのでしょうか。

例えば日本の6割のPCでスタートページがYahoo!Japanになっているそうです。

スタートページは「Yahoo!JAPAN」が6割(ITmedia NEWS)

しかし私の周りでインターネットをしたり検索をしたりすることを「ヤフーする」とは言いません。
知り合いにはSEもいますがそうでない人もたくさんいます。
インターネットのつなぎ方がわからないという電話を先輩からよくもらったりもします。
(その先輩はお世話になった方ですので、いつの日からか24×365でサポートしています。)

それでは検索する事を「ググる」というのが通じるかというと、普通の人にはそれが通じません。
また、ググるというのが通じる人にしても、文字通り「googleで検索する」という意味になります。
その言葉を聞いてYahoo!やgooで検索するということは少数例のようです。

ホカロンや写ルンデスのすごいところは「ホカロン買って来て」と頼んで
そのメーカの商品以外の商品を買ってくることが自然に感じられることです。
すなわち、ホカロンという言葉が指すものが使い捨てカイロ全体であることです。
なのでホカロンを買いに行って桐灰の使い捨てカイロを買っても
違和感を感じる事がありません。

しかし、上のwikipediaのページを見てみると、
「写メール」と「着うた」が少しIT業界寄りなくらいで、
他に収載されているものがありません。
そこで、自分の身の回りから考えてみました。

携帯音楽プレーヤーはどうでしょうか?
ひょっとするとiPodが普通名称化するのではないかと思って
見守っているところです。しかしうっかりiPodじゃないシリコンプレーヤを
「新型iPodですか?」と聞くと気まずくなるのはなぜでしょうか?
まだまだiPodはApple社製の特別な製品のことを指しているように感じます。
私はと言うとTVQという消えたフォーマットのプレイヤーを持っているので
iPodは意地でも買いません。音楽も聴きません。No Music, No Life!なんてのは他人事です。

CPU市場はどうでしょうか?
Pentium(Core Duo)はCPUの世界でかなり大きなシェアを握っています。

2006年のプロセッサ市場、AMDがシェアを拡大

上のニュースは海外の事情なのですが、日本では海外と比較して更に
AMDよりもIntelが強い傾向にあるという背景があります。
そのように考えると、パソコンショップで「Intel下さい/Pentium下さい」という人が
いても良さそうですが、どうもそういう人はいないようです。
もしそのように店員さんに話しかけるとカモられるからかもしれません。

73.9%の独占的安定シェアを突破していると思われる
Intel製CPUですら普通名称化していないのですから、
他のもので普通名称化できそうなものを探すのも大変です。

オブジェクト指向の事を「JAVAで設計してね」とは言いませんし、
関係データベースを使うことを「Oracleでやろう」とは言いません。
それらの用法はまさしくその商品名を言いたくて使っているケースだからです。

感覚的には、企業向け製品は少し難しそうです。
コンシューマ周辺に範囲を絞って探ってみます。

少し前ならばPCのことを「キューハチ」と呼ぶ方もおられたかもしれません。
それはその人が時代についていけなかったのか、それともその人が
本当にキューハチを欲していたのか、今となってはわかりません。

オフィスソフトの場合は、最初からバンドルされていることも多いですし、
互換性の問題からMicrosoft製のWordとExcelのシェアが高いです。
それぞれ明確にMicrosoftの製品を意識した上でワードとエクセルと呼ばれます。
決して一太郎の事も含めてワードと言うことはありませんし
ワードを一太郎とは言いません。いや、ワードを一太郎と言う人は稀に見ます。
それは一時期のジャストシステムがそれだけの力を持っていたという証でしょう。
そういえば花子とか三四郎、五郎ってのもありましたね。元気にしているでしょうか。

フォトレタッチソフトで「フォトショで修正する」という言い方がありますが、
このあたりは段々普通名称化のボーダー例のように思います。

「ウイルスバスター」はトレンドマイクロ社の製品です。
「ノートン」または「アンチウイルス」はシマンテック社の製品を指すことが多いです。
ともに、アンチウイルスソフトの代名詞です。
このあたりも「ウイルスバスター買ってくるわ」といって
違う会社のソフト買ってくることはありますのでボーダー例かと思います。
ついでにウイルススキャンがネットワークアソシエイツ社の商標であることが判明しました。びっくり。

 

以上とりとめもなく考えてみました。ITの世界にはソフト・ハードを問わずに
「デファクトスタンダード(業界標準)」となるまでシェアを握ったものがたくさんあります。
しかしそれが普通名称化するほど普及することは比較的珍しいようです。

それでは「業界的な言葉」がすべて普通名称化しづらいのかというと、
上のwikipediaのページにはケブラー、ユンボ、パワーゲート、テトラポッドあたりの言葉が出ています。
普段の生活ではあまり使わない言葉ですが、これらは普通名称化しているようです。
それなら何か別の理由があって普通名称化が妨げられているのではないでしょうか。

それはワードとエクセルの例で言うように、ワードと思って一太郎を買ってきたら
動かない!というトラブルで痛い目を見た経験によって、
正しく名前を使うことを学習したユーザが多いせいかもしれません。

その分、JPEGでやり取りすることの多いアマチュアのフォトレタッチの世界や、
ウイルス監視さえできれば良いというアンチウイルスの世界では
シェアの大きな製品が普通名称化する素振りを見せ始めているように思います。
それを狙って似たような機能、名称で低価格な製品というのが
多く投入されているようです。

競争が激しいIT業界ですので、様々な製品が迅速に市場に投入されます。
普及していると思っていたソフトが急速にシェアを失っている事も
珍しくありません。そのせいで、ワープロソフト全般を指して「一太郎」と
呼ぶことをおかしく感じるように、普通名称が定着しづらいのかもしれません。
うっかり時代に取り残されてしまったような発言になりがちですが、
CD-RやUSBフラッシュメモリの事を「ちょっとー。おっきいフロッピー取って」
と言っても伝わる事は伝わりそうな気がします。

私は結局「これだ!」というものは見つけられませんでした。
皆さんの周りで普通名称化したIT製品がありましたら教えて下さい。

yohei

« 2007年7月9日

2007年7月10日の投稿

2007年7月11日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
yohei
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ