永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2011年12月19日

2011年12月20日の投稿

2011年12月21日 »

2011/12/19の日本経済新聞の記事「経営の視点 ヒットは顧客を追わない—創意ある組織づくりカギ」で、顧客の言いなりにならないヒット商品作りのことが書かれています。

---(以下、引用)---

今月、日本経済新聞社が公表した11年日経MJヒット商品番付。その中で爆発的な数字をたたき出したメガヒットの特徴は目先の顧客を追わず、想定外の設定で驚かせたことだ。テレビドラマ「家政婦のミタ」(日本テレビ)とミステリー小説「謎解きはディナーのあとで」(小学館)がその代表例だろう。

(中略)

(日本マクドナルドの)原田泳幸社長は「試験段階での顧客の評価を気にしてはいけない」と話す。消費者の意識と行動にはギャップがあるためだ。事実、昨今の健康志向でもボリューム感のある「クォーターパウンダー」の人気は続く一方、韓流ブームに乗った「KBQバーガー」は伸びなかった。

 日経MJのヒット商品番付の横綱に輝いたのは「アップル」。10月に死去した共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏は公認伝記でこう語っている。「欲しいモノは見せてあげなければ、みんな、それが欲しいなんて分からないんだ」

---(以上、引用)---

「家政婦のミタ」が視聴者に調査して主演・松嶋菜々子さんのキャラクターを決めていたとしたら、決してあの無表情でぶっ飛んだキャラ作りは出来ずヒットもなかったのではないでしょうか?

原田社長がおっしゃる「消費者の意識と行動にはギャップがある」というのも、まさにその通りですね。

「顧客に話を聞いてもなかなか本音は聞けない」ことは、立場を変えて自分のケースで考えると分かりやすいのではないでしょうか?

例えば行きつけのにしていた店の足が遠のいてしまうのは、特に明確な理由がなくて「ただ、何となく」ということが多いのではないかと思います。このような場合にインタビューをしてもちゃんとした答えは得られないのですよね。

また店を選ぶ際に何を重視するのか調査を受けた時、私たちは「立地」「品揃え」「サービス」等々とそれなりに考えて回答します。しかし実際に店を選ぶ場合はそれだけで決めることは少ないように思います。「なんとなく気に入ったから」「空間が素敵だから」「店長の人柄がいい」といった何かうまく説明できない理由であることが多いのではないでしょうか?少なくとも私はそうです。

「欲しいモノは見せてあげなければ、みんな、それが欲しいなんて分からないんだ」と言っているジョブズはこの人の心が分かっているのでしょうね。

 

「顧客が何を求めているかは尋ねてはいけない」としたら、私たちはどうすればよいのでしょうか?

一つの方法は「顧客が何で困っているのか」を理解して解決策を提示することではないかと思います。

記事は以下のように締めくくられています。

---(以上、引用)---

消費者行動を定量化するのは一段と難しくなっている。市場調査はもちろん、勘に頼るだけでも無理がある。ヒットを生むには顧客の先回りをするような「サプライズ本位」の組織作りが欠かせない。

---(以上、引用)---

顧客のことを理解し本当に欲しいものをそっと差し出して、サプライズを演出し感動を提供できれば、最高ですね。

 

 

nagai

« 2011年12月19日

2011年12月20日の投稿

2011年12月21日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
mm21
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ