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マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

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2010年9月22日の投稿

2010年9月23日 »

9月20日の日本経済新聞に、「理系卒、職業選択肢広く、年収実は文系より高く」という論文が掲載されています。

京都大学経済研究所の西村和雄特任教授の調査です。

一般に、文系の方が給料が高いと言われています。

しかし、本論文の調査によると、実際には文系学部出身者は平均年収583万円に対し、理系は681万円。

理系が文系より約100万円も高く、かつ25歳から60歳までの各年代すべてで、理系の年収が高かったとのことです。(2008年6月の調査、1632名)

この調査結果について、論文では以下のように考察しています。

---(以下、引用)---

 この結果をどう説明すればいいのだろうか。まず、理系が文転(文系への転向)することはあっても、文系が理転することはまれなことからも分かるように、理系の方が職業の選択肢が広い。

---(以上、引用)----

私、ブログではマーケティングの話ばかり書いているので、商学部出身と思われる方もおられるかもしれません。

実は私、理系です。

マーケティングはまだ12年目。

まさに「文転」組です。

小学生の頃は理科と算数の時間が大好きでした。

大学は文系に進むことは全く考えず、好きな理数系の勉強ができるとばかり、工学部に進みました。(...結果的には、あまり勉強をせず、写真ばかり撮っておりましたが..)

そのような理系の私ですが、マーケティングに異動するのはそれほど難しくはありませんでした。

今からふり返って考えてみると、理系のバックグラウンドがあったため、理論立ててビジネスのことを考えられるマーケティングには、スムーズに入れたようにも思います。

 

---(以下、引用)---

 しかも、理系は、就職に有利である。

 厚生労働省と文部科学省が5月に発表した今年3月時点の大学卒業者の就職状況によると、文系が91.0%の就職率に対し、理系が95.2%だった。さらに就職が有利ということは、再就職も有利ということになろう。2000年度の文系調査でも、転職後に収入が上がった回答者の割合は、数学受験者が未受験者を上回っていた。

---(以上、引用)----

二十数年前の話ですが、確かに私が就職する時も、同じ工学部の同級生はほぼ全員就職が早く決まったのに対して、同じ大学の文系の同級生は就職が決まるのに時間がかかりました。

この傾向は、今でも同じなのですね。

 

---(以下、引用)---

 日本は科学技術立国を標榜(ひょうぼう)しているのに、若者の理工系離れは深刻である。「理系学部は勉強が大変なのに、待遇は文系より悪い」という“定説”が広まっていることが、その一因とされるが、少なくともそれは正しくない。

 勉強すれば、それなりの見返りはある。次の世代を背負う中・高校生には、文系・理系を問わず幅広く勉強してほしい。

---(以上、引用)----

「だから理系出身者の方が優れている」というのは、本エントリーの主旨ではありません。実際、文系でも勉強している人は沢山おられますし、すばらしい方も多くおられます。

 

一方で、大学で勉強に使う時間は、確かに理系の方が一般的に長いと思います。

実験は長時間かかりますし、積み重ねも必要です。

しかし、もし「それだけ勉強しているのに、理系の方が待遇が悪いのは納得できない」と思うとしたら、それは都市伝説の類。

事実は異なることが、この調査からも分ります。

 

もし理系の科目が好きならば、迷わず、理系で好きな勉強をする。


 

当り前の結論ですが、これが一番よいのではないでしょうか?

 

nagai

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永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

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