永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2010年4月19日

2010年4月20日の投稿

2010年4月21日 »

4/18の日本経済新聞に、角川グループHDの角川歴彦氏の対談『書籍電子化、出版社どう対応?』が掲載されています。

出版社責任者の立場で、電子書籍をどのように捉えておられるのか、興味があり拝読しました。

---(以上、引用)---

....。出版業は読者に書店で本を買ってもらう製造・流通モデルから、インターネット時代には知的サービス業になる。この変化を日本の出版界は頭で理解しても、行動をためらっている

---(以下、引用)---

電子書籍の時代になると、編集者は、読者(=顧客)視点でのコンサルタント・サービスを提供する形になると思います。僭越ながら「知的サービス業になる」という点で私も同じ意見です。

一方で、出版業界が抱えてきた「紙」という存在は、出版社にとってパワーの源泉である一方で、在庫という大きなリスクでもあったと思います。

この部分を抱えているために、なかなか身動きが取れない現状があるのではないでしょうか?

---(以下、引用)---

「...。出版社に値決めする権利はないというアマゾンの立場に対し、出版社には著作者を守る義務と権利があると主張したい。電子では著作者の意に反して作品が容易に変容する懸念もある。出版社の役割を著者や読者に了解してもらったうえで、電子書籍のビジネスモデルを構築したい」

---(以上、引用)---

「著作者を守る義務と権利」という考え方は、とても重要だと思います。

一方で、技術的なブレイクスルーにより、電子書籍が改変されないようになる可能性もあります。

作品改変防止を保証することに加え、どのように著作者を守るのか、また、それが顧客に対してどのような価値を提供するのかを、具体的に提示していくことが必要なのかもしれません。

この記事は以下のように締めくくっています。

---(以下、引用)---

電子書籍がどう収益に結びつくかはまだ見えない。出版社にとって価格決定権をもつ紙の書籍の方が利益率は高い。電子書籍を入り口に、新たな読者を獲得する一方、利益を生むコスト構造を築けるかがカギを握る。

---(以上、引用)---

利益率については、電子書籍はやり方次第で高収益事業に生まれ変わる可能性もあると思います。

理由は、紙の本と比べて、紙のリスクがなくなる電子書籍は、1冊辺りの限界費用は限りなくゼロに近づくからです。部数が出る程、電子書籍の利益率の方が高くなります。

損益分岐点を出来るかぎり下げて、かつ、目標とする高収益を実現できるだけの部数が売れるようにすることが、電子書籍が高収益をあげられるための前提条件になるのではないでしょうか? 

電子書籍の価格戦略、商品戦略、プロモーション戦略、チャネル戦略も、これらを考慮することが、高収益モデルを実現するための一つの考え方になると思います。

 

インタビューを拝読し、出版社側にとっても、電子書籍はまだまだ暗中模索の段階であるという印象を受けました。

このような時期は、やり方次第で色々な展開が可能な、ある意味で面白い時期でもあると思います。

nagai

« 2010年4月19日

2010年4月20日の投稿

2010年4月21日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
mm21
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ