永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2009年1月15日

2009年1月20日の投稿

2009年1月25日 »

デービッド・アーカー著・"Spanning Silos: The New CMO Imperative" (「サイロを橋渡しせよ 新しいCMOの規範」)を読了しました。

縦割り組織の弊害を打破するために、マーケティングが行うべき役割が具体的に書かれています。

前回、第二章までご紹介しました。

今回はその続きです。

サイロを橋渡しするための「クロス・サイロ・チーム」について第三章で紹介されています。

---(以下、p.74-88より引用)-----

サイロ組織の弊害を打破するために最もよく活用されるのは、「クロス・サイロ・チーム」だ。

もともとGMのCEOだったアルフレッド・スローンが中央集権排除のために事業部制を導入した際に、相乗効果・規模の経済・アイディア共有を図る上で「クロス・サイロ・チーム」が必要だったのだが、この必要性は100年近く経った今でも不変である。

クロス・サイロ・チームは、ブランド戦略確立の他に、サイロ組織間の相矛盾する利害を調整したり、解決すべき問題を特定する役割を持つ。

クロス・サイロ・チームを成功させるための要因は下記である。

1.ミッションを明確にすること

目的、数値化した目標、アプローチ方法について、お互いをお互いで補完しあえるようなメンバーにより構成されるチームであるべきである。

また、目的についてはあいまいさを排除し、明確にすることが必要である。

2.正しい人選

参加者のクオリティとタイプが、成功の出発点となる。「時間が空いているから」という理由でメンバーに任命すべきでない。自分が所属するサイロ組織について熟知し、仕事の能力、対人能力を持ち、自ら変革を起こす特性を持っていることが必要である。

また、チーム全体でオープンで「ギブ・アンド・テイク」の空気を育んでいくべきだ。他人の言うことをよく聞き、アイディアを育て、対立を建設的に受け入れ、グループ志向の目標を受け入れられることは、チームメンバーとしての重要な特性である。他人と協業し、チームのために努力する時間をコミットできる人が必要なのだ。

無関心だったりネガティブな人間が一人でもいると、グループ全体の努力を壊す可能性がある。

イノベーションの教祖であるトム・ケリーは、(議論の最中に)「では、ちょっとだけ『悪魔の代弁者』(注:あえてあら探しをする人)の役割をしてみようか」という言葉を挟んで自分の自尊心を満たそうとする人の破壊的な力について語っている。現実主義者であることはよいことである。しかしそれは常にネガティブであることではないのだ。

3.リーダーシップ能力

効果的なリーダーは、よいコミュニケーターであるとともに、権限委譲できる人だ。矛盾がある場合はメンバー間で隠さずに議論の遡上に乗せ、各メンバーにオーナーシップを持たせ、コミュニケーションの方法を定めることが必要だ。

4.複数の組織文化への対応

クロス・サイロ・チームは全く異なる組織文化の人間で構成されることがある。

マーケティングの人はエンジニアとモノゴトの見方が全く異なることが多い。また、マーケティングの中にセールスの人がいると宣伝やブランディングについて全く異なった見方をすることも多い。

これらの組織文化の違いは、コミュニケーションの解釈やチームへの参加意欲に多大なる影響を与えうるので、チームとリーダーは組織文化の違いによる現実について注意を払うべきである。

----(以上、抜粋)----

一つ一つの指摘は、実際に業務で経験したことと照らし合わせて考えると、「なるほど」と非常に納得できます。

会社の中では、複数部門をまたがったチームで仕事を進める場面が増えています。その際には上記の考え方は参考になるのではないでしょうか?

本書の最後に、CMOが最初の90日で行うべきこととして、二つ挙げています。


----(p.197より抜粋)----

最初に行うべきことは、サイロを橋渡しする組織の能力を評価することである。

二番目に行うべきことは、その対応策である。どのような活動と対応策を行うか、そして何よりもどのような優先順位で行うかである。

----(以上、抜粋)----

p.199とp.200、及びp.202-204に、これらのための具体的なチェックリストが掲載されていますが、これは大変に参考になります。

このようなチェックリストを見ると、この本に重厚な実用書という趣きを感じます。

机の上に置き、時々確認しながら実務で役立てたい本ですね。

nagai

« 2009年1月15日

2009年1月20日の投稿

2009年1月25日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
mm21
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ