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マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

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2008年2月15日の投稿

2008年2月17日 »

2月5日の「スーパーチューズデー」で全米24州で行われた予備選や党員集会の結果、ジョン・マケイン上院議員が米国大統領選挙の共和党最終候補に指名されることが確実となったようです。

日本のメディアでは、「民主党最終候補に指名され、共和党に勝てば」初の女性大統領となるヒラリー・クリントンや、「民主党最終候補に指名され、共和党に勝てば」初の黒人大統領となるバラク・オバマを、大統領候補の中心に取り上げています。

しかし、谷島宣之さんの「米大統領選、マケイン氏報道に見る日米の情報格差」にあるように、日本では共和党候補のマケインはほとんど取り上げられていません。

古森義久さんの「共和党マケイン氏の“真剣な”日本観」によると、マケインは日本に対する理解が非常に深く、日米関係を非常に重視するようです。

ここで我々が注意すべきことは、「日米関係を理解し、重視する」ということは、「日本に対して優しい」ということではない、ということです。

むしろその逆で、対等のパートナーとして、言うべきことを言う人のようです。時には歯に絹を着せずに厳しいことも。

この辺りはとても米国人らしいように思います。

古森さんの記事では、過去の下記事例が紹介されていました。

■1989年当時の米国議会では日米貿易摩擦で日本非難がしきり。日本を標的とする保護貿易主義的法案が次々に出されていたが、マケインは日本非難法案には全て反対。「日本は米国にとって安全保障面であまりに重要な同盟相手だから、貿易面だけでの非難を日本全体への糾弾や否定に向けてはならない」という論理だった。

■ソ連崩壊以降、日本に対して日米同盟の強化策として防衛増強や負担増加を強く求めるようになった。一方で当時の米側リベラル派の間にあった「日本は防衛力を一定以上に強くすると、また軍国主義を復活させる」という日本警戒論には明確に反対。「日本がまた軍事大国になる、とか、軍国主義を復活させる、という説には、根拠がない。わたしはむしろ逆に日本の消極的平和主義のほうが問題だと思っている」と述べた。

■1990年7月、日本に在日米軍の経費負担増大を求める法案を上院に提出。翌月のイラクのクウェート軍事侵攻と占領に対し、何も行動を取らない日本に新たな批判を表明。「サダム・フセインの侵略を阻止する必要は諸国はみな強く認識し、米国の行動への支援を明確にしている。日本だけはその決意が不明。わたしはいま日本の友人たちにはっきりと告げたい。わずかな金額と言い逃れだけはもうたくさんだ。日本政府の形だけの支援表明は世界中の軽蔑と米国の敵愾心の対象以外なにものにも値しない」「もし日本が米国の友邦であることや世界各国との経済的相互依存を続けることを欲するならば、国際国家にふさわしい姿勢をとらねばならない。世界でも最も柔軟な憲法の陰に逃げ込んだり、少数の海運労働者や学生の抗議を口実にして消極的態度を続けたりすることはもうできないはずだ」

■「米国は日本が平和で安全で自由な世界のために危険をおかし、犠牲を払い、大国としての国際責任を米国などと分かちあうことを心から願っている。21世紀の世界の民主主義と平和のために自らの責任分担を果たしてほしい」

私自身は100%賛成は出来ない意見ではありますが、一方で、あくまで日本を対等な同盟パートナーとして見て、真剣に期待していることは評価できます。

日米関係だけではなく様々なテーマについても、自分自身の原理原則に従った発言を行っています。

例えば、昨年6月、マケインはブッシュ大統領によるイラク駐留の米国軍増強を積極支持し、米国世論調査でマケインの支持率が急落し「大統領選挙脱落?」と言われました。

しかしながら、現在も支持し続けています。

先の谷島さんの記事によると、このように不人気にも関わらず言うべきことは言う姿勢と発言に対して、英米の新聞や雑誌は絶賛しているようです。

---(以下、引用)---

イラクで負傷した兵士を見舞ったマケイン氏が「自分の政治家としての行末のことなんぞ、気にしていられると思うかね」と発言したことを好意的に紹介した。また、英エコノミストは「戦争に負けるくらいなら、選挙に負けた方がまし」というマケイン氏の姿勢を絶賛する記事を掲載した。

---(以上、引用)---

私自身はイラク戦争には反対です。

しかし、空気を読んで自分の立場を変えることを潔しとせず、自分の信念に従い、場合によっては共和党政権へ厳しい批判を行うマケインの姿勢は、恐らく欧米社会では多くの支持を得られるのでしょう。

考えてみれば、多くの米国人も原理原則で動いているのですが、恐らくその中でもマケインは特に顕著な人なのではないでしょうか?

自分の信念よりもその場の空気が大切な日本では、マケインのような政治家は決して支持されないでしょうし、そもそもそのような政治家はなかなか登場できないのではないかと思います。

小泉さんは他の首相と比較して比較的マケインに近いように見えます。

しかし、小泉さんの場合はむしろ大衆の空気を読む達人で、しかも自分でその空気を作り出すことができ、かつ周囲の空気に左右されないという日本人にしては稀有な才能を持った方だったので、大衆に圧倒的に支持されました。

マケインの場合、そもそも空気を読んでいないような印象を受けます。

このように原理原則で動くマケインが大統領になった場合、日米関係は新しい段階に入り、日本側も新しい対応が求められるのではないでしょうか?

nagai

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永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

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