永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2007年6月5日

2007年6月6日の投稿

2007年6月8日 »

本日(6/6)の日刊工業新聞の記事「潜在ニーズを探る 問題意識がビジネス生む」(専修大学商学部 黒瀬直宏教授執筆)は、お客様の潜在ニーズをいかに製品に結び付けるかを考える上で、大変参考になりました。

---(以下、引用)---

 船舶用冷凍機や産業用冷却システムで世界シェアトップの前川製作所のマーケティングの柱は、「顧客がうまく言い表せないニーズを汲み取って提案する」ことだ。

同社では各種のユニークな自動機も開発している。ヒット商品の一つに「トリダス」がある。

鶏肉加工場に冷凍機を納めに行った社員が、手作業で鶏のモモ肉の骨をはずしているのを見て、非効率なのに驚き、自動機の開発に取り組んだ。鶏肉加工業者の方では、「この業界では昔から手で骨を取り出すことになっている。それ以外の方法があるのではと考えること自体がばかげている」と思い込んでいる。

自動機の開発には時間がかかったが、それを見せられた鶏肉加工業者は、その便利さに飛びついた。ということは、鶏肉加工業者には「自動で脱骨する」というニーズが確かにあったのだが、自分自身ではそれにはっきり気づいていなかったということだ。

---(以上、引用)---

これは、まさに「ソリューション」ですね。

「ソリューション」という言葉、残念ながらIT業界では既に使い古されつつあるキーワードになっています。しかし、この考え方の重要性は、時が過ぎても変わらないと思います。

「トリダス」のように、一度見せればその価値が一目瞭然で、売れるものを揃えていきたいものです。

そのためには、お客様が気が付かない潜在ニーズの掘り起しが必要になります。

その潜在ニーズ掘り起こしのためには、お客様の理解が必要になります、

しかし誤解を恐れずに言えば、ここで重要なのは、決してお客様の完全な言いなりになってはいけない、ということだと思います。

確かに、お客様が言葉に出しておっしゃることは非常に大切であり、お客様の声に真摯に対応していくことが重要であることは言うまでもありません。

しかし、我々はその上で、お客様が気が付かない視点を持ち、お客様が知らなかった解決方法を提供していくことが求められています。

この記事では、このことについても考察しています。

---(以下、引用)---

解決を待っているのが「問題」だ。「問題」こそ潜在ニーズのたまり場である。ところが、顧客の多くは「問題」に慣れてしまい、「問題」を「問題」と意識しなくなっている。それを第三者の目で気づかせる。「お客さんが必要としているのはこういうことではないですか」という具合だ。

提案はご用聞きと違い、高度な能力が必要だ。

---(以上、引用)---

「問題は解決を待っている!!」という視点、非常に重要ですね。

この視点を身につけるためには、我々は「与えられた問題をいかに解くか?」という姿勢から、「どのような問題を見つけるか?」という姿勢に、大きく変えていく必要があるのではないでしょうか?

nagai

« 2007年6月5日

2007年6月6日の投稿

2007年6月8日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
mm21
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ