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先週、IBMのソフトウェア事業の総責任者であるスティーブ・ミルズが来日し、プレス関係の方々とのインタビューが行われました。
詳しくはITmediaの浅井編集長の記事『「GoogleがIBMに取って代わることはない」とミルズ上級副社長』に書かれています。
実は私、IBMでこの事業部に所属しています。
記事では、「IBMのソフトウェアグループは、5万人が従事し、約200億ドルの売り上げを誇る世界第2位のソフトウェアベンダーだ」と紹介されています。
この文章を読んで、恐らく多くの方々は、「え、IBMのソフトウェア事業ってそんなに大きいの?」と、意外に思われるのではないでしょうか?
恐らくこの理由は、IBMのソフトウェア事業のマーケティング・コミュニケーションが、IBM全社のオンデマンド戦略等の中で位置づけて行っているからかもしれません。
ソフトウェア製品単体の市場認知度を上げる活動はもちろん実施していますが、これだけではなく、IBM全体でお客様に提供できる価値を定義した上でソフトウェア・ビジネスを位置づけています。
この背景には、記事の中でスティーブも語っているように、「個々のブランドを広めるのも大切だが、先ずは顧客のニーズに応えることの方が重要」との考えがあり、「ビジネスのおける問題解決に軸足を置き、エンタープライズレベルにフォーカスしている」ためです。
実際、お客様のエンタープライズレベルの複雑な問題解決のためには、各種ソフトウェア製品同士を組み合わせ、かつ、コンサルテーションやサービス、ハードウェアと統合するインテグレーション力が必要です。このように、お客様の問題解決のために必要な統合ソリューションをご提供できることこそ、IBMの価値です。
そのために、スティーブが語ってるように、
「企業の基本はトランザクションの実行。そのためには信頼性・高可用性・拡張性、かつセキュアである必要があり、IBMはこの分野において圧倒的なリーダー」
という点が、IBMのソフトウェア製品の他社にない優位性です。
従って、センセーショナルな広告活動による市場認知度向上活動からは一線を画し、いかにエンタープライズレベルのお客様の問題解決に確実にお応えできるか、ということに、ソフトウェア・ブランディングの重点が置かれています。
地道で愚直な世界かもしれませんが、個人的には結構好きな世界です。
マーケティング担当者のプロフェッショナル認定審査を担当させていただくことが最近多くなりました。その経験で、以下の二つの質問で相手の方のおおよその力がわかるのではないかと思っています。
質問1:あなたは、あなたのプロフェッション(*)とは、どのようなものだと考えますか?
質問2:あなたの業務分野について、これから3年間のあなた自身が考える戦略を教えてください。
(*)....セールスや、マーケティング、エンジニア等の職種のこと
両方とも簡単な質問ですが、常に問題意識を持っていないと答えられません。
質問1については、教科書的な答えは求められていません。その手の教科書を覚えられれば誰でも答えられるからです。ここで期待されているのは、自分自身の経験に基いた回答です。
質問2については、いかに自分で主体的に仕事に取り組んでいるかが問われます。上から与えられた仕事をただ言われた通りこなすのではなく、自分自身が自分の仕事の主役になり、自分が考える理想の姿と現実の差を把握し、どのように自分で解決するか、常に考えることが必要です。
従って、マーケティングを担当している方々のメンタリングを行わせていただく場合でも、プロテジー(メンタリングを受ける人)の方のこの質問に対する答えを、一緒に考えるようにしています。
「いや、自分は考えたこともないし、そんなものは持っていない」という人も多いのですが、実はそんなことはないのです。
例えば、あなたが新入社員だった頃のことを思い出してください。
入社してからの1年間、自分はあまり成長していないようなジレンマを感じていた人も多いと思いますが、1年後に入社してきた新人と入社1年後の自分を比べてみて、誰でも大きく成長している自分を見つけた筈です。つまりわずか1年の間に、仕事を通じて様々な経験をし、仕事の暗黙知を蓄積しているのです。
実際、毎年4月の通勤時に出会うような、一目で社会人一年生だと分かる初々しい人達も、2-3ヶ月も経つとたくましい社会人になりビジネス・パーソンの中に溶け込んでいます。
1年間でこれだけ違うのですから、数年間、又は十数年間取り組んできた仕事から、誰でも非常に大きな学びを得て、暗黙知や問題意識を身につけている筈です。
問題はそれが形式知の形で整理されていない点です。形式知の形で整理することで、問題点と将来の目標もみえてきます。
従って、それらを改めて考えて、整理してみるとよいのではないでしょうか? 実際に行ってみるとなかなか大変な作業ですが、必ず自分に見返りがあります。
しかしながら、この質問をする場合、質問をする側にも力が求められるのは言うまでもありません。相手の回答の中にある暗黙知の世界を理解しなければならないからです。
・あなたは、あなたのプロフェッションとは、どのようなものだと考えますか?
・あなたの業務分野について、これから3年間のあなた自身が考える戦略を教えてください。
これらの質問に対して、即座に回答できるように、常に考えていたいものです。
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