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今月の日本経済新聞「私の履歴書」は、日本でコンビニエンス・ストア・ビジネスを立ち上げたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長です。
今日(2007/4/13)は1970年代前半の話でした。スーパーの新規出店に対して、地元商店街から強い拒否反応を示されるようになり、39歳で取締役に就任した鈴木会長が交渉の矢面に立っていた頃の話です。
当時、流通先進国米国へ渡米した際、セブン-イレブンに出会い、帰国後に調べてその潜在性に驚いた頃の様子が書かれています。
---(以下、引用)---
これは相当な仕掛けがあるに違いない。日本で生かすことが出来れば、大型店との共存共栄のモデルを示せるはず。そう提案すると返ってきたのは社内外から「無理だ」「やめろ」の大合唱だった。
(中略)
営業担当役員には「販売経験のない人間に何がわかる。経験がないから夢物語を言っていられるんだ」とまで言われた。だが私は逆に経験がない分、商店街の凋落を別の視点でとらえていた。
小型店は明らかに労働の生産性が低かった。行政は「営業時間を夕方六時までに短縮」「日曜休業」といった指導を行い、それが生産性向上と従業員確保につながるとしたが、顧客の都合を無視して生産性が上がるわけがない。
もう一つ感じたのは市場の変化だ。以前は開店と同時に売れ切れた目玉商品が売れ残るようになった。これからは必ずしも安い商品を並べれば売れる時代ではなくなる。
---(以上、引用)---
イノベーティブなことを始める場合、経験が邪魔をするということがよくあります。先入観と成功体験が邪魔をして、イノベーションの潜在性を無意識に否定してしまうのでしょう。
ただ、鈴木会長の場合は、常に事実を把握した上で客観的に分析し、現実的に対応していたので、仮に販売経験があったとしても、この営業担当役員のように必ずしもその経験が邪魔をすることはなかったかもしれませんね。
いずれにせよ、小型店の顧客サービスに大きな改善の余地があることを見抜き、かつ、1970年代前半という時期に商品の売れ行きから安売りの限界を読み取ったのは、素晴らしい先見性ですね。
明日からは、サウスランド社との交渉の様子が描かれるようです。既に様々な書籍やドキュメンタリーで描かれていますが、鈴木会長自らどのように語られるのか、楽しみです。
関連リンク:セブン-イレブン 覇者の奥義
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