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東京・銀座にあるNIKON PLAZA Ginzaで、「私という記憶」という名前の写真展を11月14日まで開催しています。

深瀬昌久さん、荒木経惟さん、石内都さん、鈴木清さん、古谷誠一さんといった写真家が、様々な作品を展示しています。

どれも素晴らしい作品ばかりでしたが、この中で特に立ち止まって何回も見入ってしまったのが、深瀬昌久さんの「家族」というタイトルの10枚の作品。

深瀬昌久さんのお父様の助造さんが、北海道で「深瀬写真館」を経営されていた1971年から亡くなる1989年までの作品を、ほぼ時系列で並べています。1枚目と10枚目を除き、全て(恐らく助造さんが経営されていた深瀬写真館の)スタジオで撮影された作品です。

1枚目は、1974年に撮影された、「深瀬写真館」全体の写真。天気の良い日で、道端に止めているフォルクスワゲン・ビートルと馬の間に、助造さんが立っています。

2枚目は、1971年に撮影された家族全体の写真。深瀬さんのご両親、奥様、弟夫婦、妹夫婦、甥っ子、姪っ子が計10名、にこやかに写っています。深瀬さんの奥様は上半身裸で、長髪を胸にたらしています。家族の深い結びつきを感じさせてくれる写真です。1枚目の写真を撮った当時の深瀬写真館では、このように家族の大勢のメンバーの声で賑やかだったことを想像させてくれます。

3枚目は、同じメンバーが後を向いた写真。奥様だけ前を見ています。

4枚目は、1974年に撮影された深瀬昌久さんご自身の写真。ザルに小魚を持ち、眼光鋭く正面を見ているところを撮影したものです。

5枚目は、1972年に撮影された、助造さんと深瀬さんが2人並んで写っている作品。お2人ともブリーフ一枚の全身像です。当時深瀬昌久さんは40歳。助造さんは60歳か70歳でしょうか? 深瀬さんの身体は若々しい逞しさがあり、助造さんもまだまだ現役といった感じで、2人とも全身の筋肉にハリがあります。

6枚目は、1972年に撮影された、助造さんと深瀬さんのお母様のみつゑさんが並んで写っている作品。いい感じの夫婦です。

7枚目は、1974年に撮影された助造さんの写真。羽織を着て、威風堂々といった感じです。

8枚目は、11年後の1985年に撮影された助造さんと深瀬さんの写真。2人とも上半身は裸です。助造さんの筋肉はすっかり削げ落ち、53歳の深瀬さんの風貌は15年前のお父様に酷似しています。

9枚目は、1987年に撮影された「父の遺影と家族」というタイトルの作品。2枚目とほぼ同じメンバー。ただしお父様と一人の姪っ子は遺影になっており、2枚目にいた最初の奥様は離婚されたのか写っていません。全員にこやかで、とても明るい雰囲気の写真です。

10枚目は、1989年に撮影された「廃業が決まった深瀬写真館」というタイトルの作品。1枚目が写真館正面で撮影されたのに対し、これは斜めから撮影されており、どこか寂しげです。

写真展では、1991年に発刊された写真集「家族」からの一文が引用されています。一部抜粋します。

「.......。2代目を継いだ父は4年前に亡くなり、母も一昨年特別養護老人ホームに入った。弟は離婚し、その息子と母は東京で自活している。妹夫婦は国鉄民営化で退職し札幌郊外のスーパーのマネージャーになった。私の生家の「深瀬写真館」は人手に渡り、家族は四散した。」

尚、深瀬さんは1992年の新宿ゴールデン街での事故により制作中断を余儀なくされ、現在も療養中とのことです。

「家族とは何なのか?」「我々はこの今の瞬間を思いっきり生きることでしかその存在を確認できないものなのか?」ということを深く考えさせてくれる、素晴らしい10枚の作品でした。

nagai

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永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

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