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2006年10月16日 »

昨日、東京都写真美術館で行われているHASHI[橋村奉臣]さんの写真展「一瞬の永遠」を見てきました。写真展の案内はこちらにあります。(10/29まで開催)

肉眼では知覚できない瞬間を10万分の1秒という超高速スピードライトで捉え永遠の時間の中に凍結した、超現実的な作品約40点が展示されています。

これはまさに写真だからこそ表現可能なアートですね。全て圧倒的に力強い作品ばかりで、感動いたしました。

会場の入り口に、HASHIさんのメッセージがありました。

私が以前から瞬間のアートである写真について、色々と思っていたことを見事に言い表している素晴らしいメッセージで深く共感いたしました。会場内は撮影禁止とのことでしたので、20分ほどかけて書き写してきましたので、ご紹介します。

---(以下、会場のメッセージから引用)---

『一瞬の永遠について』 橋村奉臣

(前略)

私たちが日常目にする「モノ」は、日常のある一瞬に、見る、聞く、触るといった動作を通じて知覚されたものである。それは仮の姿や形に過ぎず、私たちの周りに存在するすべての「モノ」は、常に変化し続け、一瞬たりとも同じ姿を留めることはない。それが「色即是空、空即是色」の考え方である。しかしそうした仮の姿を通じてでしか、私たちは生きている証を手に入れることはできない。私が常に「モノ」を追いかけ、その変化の一瞬に私の感覚を鋭くする理由がそこにある。

私たちは日常生活の中で、知らず知らずのうちに数え切れないほどの「モノ」とすれ違い、時にはその存在すら気付かないでいる。普通の人が見過ごしそうな、または見過ごしてきたモノに対して、私の感性は反応し、シャッターを切った「十万分の一秒の出会い」。私はそういった「縁」を大切にしている。被写体との「一期一会」。それは私の作品を目の前にしたからこそ共有できる、一生にただ一度の出会いなのである。

私がもっとも大切にしている瞬間、それはシャッターを切る一瞬である。その被写体との出会いの一瞬に、「モノ」が私の感性に強く訴える。私は正面から向き合う。その姿勢は、比叡山の千日回峰行に取り組む修行僧の姿にも似ている。彼らはお経を唱えながら、「草や木や、一切のものは、仏になる可能性がある」との教えから、「一木」「一草」に仏性感じ取って祈りを捧げ、普段は見向きもされないモノへの礼拝を繰り返すことで、「自分は全てのモノの中で生かされている」ことを感じ取っていくのである。

私が、水や石、木、草、ガラスといったこの世に存在する「モノ」にレンズを向ける際、姿形だけでなく、それらが持つ魂の叫び、言わば命の語りかけにシャッターを切るのである。私はその自らの創作行為を「得魂草木」と名付けた。その意味するところは、私の第三の目であるレンズを通し、被写体とフィルムに定着させ、永遠の命を吹き込むということである。私がシャッターを切る時、それが「十万分の一秒」が永遠になる瞬間なのである。

他の人には、一見、何の変哲もない出来事でさえ、私には大きな意味を感じ取る時がある。私がひとたび興味を持てば、その「モノ」たちとの一瞬のすれ違いから起こる尊い出会いを大切にし、その尊い時間をじっくりと共有する。まるで座禅で何かを悟るように、私が「モノ」と本気で向き合うと、「何か」が閃いてくる。その一瞬の出会いに反応し、写真という手段でその瞬間に存在するフォルム(形)だけでなく、魂をもフィルムに定着させるのが、私のやり方なのである。その時、私の感性は、人々の心の中に無限に広がり、「一瞬の永遠」が誕生するのである。

(青字部分は永井が注記)

---(以上、会場のメッセージから引用)---

禅的な東洋思想、日本人がモノに感じている仏性についても見事言い当てており、かつそれを写真の思想に昇華させています。

HASHIさんの素晴らしいアート作品は、このような哲学的思想がベースにあってこそのものなのですね。

活躍のベースとしているニューヨークで写真家として不動の地位を築き上げたのも、まさにこのような骨太の思想があるからこそ、ですね。

関連リンク: 仏像は走っている!?

nagai

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永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

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