永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2006年8月6日

2006年8月7日の投稿

2006年8月8日 »

昨日(8/6)の日本経済新聞を改めて読み直すと、CRM (Customer Relationship Marketing)が本格的な普及期に入ったと実感します。

---(以下、引用)----

記事名 「売り手の新発想(3)売ってからが商売(消費をつかむ)」

  • パソコンメーカーの例:コールセンターによるサポート強化で、再購入率を3.4%から59%へ改善
  • 「新規顧客の開拓経費は既存客の再購入にかける経費の八倍かかる」との調査(顧客21,000人の購買状況と利行費用の分析)
  • 美容サロンの例:せっかく新規客を開拓しても「一年後の離脱率は約二五%が現実」。声なき声を反映できずに顧客を逃がす例が少なくない中、満足度調査ではなく「不」満足調査を実施。売上は3年で倍増。新規顧客開拓は一切行わず、売上8割を6000名の固定客が占める
  • 街の電器店の例:昭和40年代に開発された8000戸の団地の4割を占める3300戸を顧客として抱える。高齢化した住民が大事にするのは価格勝負の量販店ではなく、すぐに駆けつけてくれる安心感
  • 紳士服大手の例:20年以上トップを続け毎年2億円以上を売り続ける営業マンの「宝は自分を指名して二回以上来店してくれた千五百人の顧客台帳」

記事名 「苦情・相談が急増、金融機関、顧客の声活用専門部署」

  • 金融機関の間で、苦情を法令順守の徹底に生かしたり、商品開発やサービス向上に役立てる取り組みが広がってきた。「苦情は耳の痛い話ではなく宝の山」
  • 保険会社の例:「お客さまの声統括部」を新設。苦情の原因の分析や業務改善策を経営会議に提言、四半期ごとに公表して規律
  • 銀行の例:「品質管理部」を立ち上げ。顧客の要望や苦情を集約。担当部署や経営陣に伝えて改善を促す

---(以上、引用)----

私自身、CRMビジネスに関わり始めてから10年近く経過していますが、

  1. 新規顧客獲得はコストがかかる。既存顧客維持が収益に貢献
  2. 「個」客への対応がますます重要になる
  3. 顧客の声の活用が重要

というのは、1990年代後半から言われて続けてきたことです。

顧客の問題解決がビジネスの出発点であることは、時代がどのように変わっても、ビジネスの基本だと思います。

2002-2003年頃には「CRMは下火になった」とも言われた時期もありましたが、実際には消費者が洗練化され、「物量戦」と「安売り」だけの勝負では収益を確保できない現在、顧客の心を掴むためのCRMはますます重要になってきています。

最近の記事は、CRMがやっと本格的普及期に入ったことを示しているように思います。

一方で、CRMという「記号」は、既にかなり消費し尽くされています。

実際、上記の記事でもCRMという言葉は出てきません。しかしながら、CRMという概念を代替するような適切な言葉は、なかなか見当たりません。

ともすると「3文字言葉は、ITを売るためのバズワードに過ぎない」というご指摘もありますが、先日もこちらで書きましたように、「消費される物になるためには、物は記号にならなくてはならない」ということも事実であり、一般には理解しにくいITのビジネスでの活動を分かり易く伝える効能があることも確かです。

強いて言うと、現在代替しうる言葉は、「顧客中心主義」でしょうか? しかしながら、この言葉も単に「お客様は神様である」という精神論に陥ってしまいビジネスモデルの議論に発展しない危険性もあります。

今後、CRMという言葉を使い続けるかどうか、ということも、IT業界の課題かもしれません。

nagai

« 2006年8月6日

2006年8月7日の投稿

2006年8月8日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
mm21
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ