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マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

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2006年7月31日の投稿

2006年8月1日 »

この週末、アマチュアオーケストラの演奏会で、ある指揮者の方に密着して撮影する機会をいただきました。

1週間前のリハーサル、当日午前のリハーサル、午後の本番、その後の打ち上げと撮影させていただきました。

本番の撮影は、舞台両袖のドアに付いた覗き窓からしか撮影できません。そこで当初は、行動の制限が少なく撮影条件が良いリハーサルに全力投球して写真を撮り、本番は押さえとして撮る、という方針を立てました。

リハーサルでは、オーケストラ団員の方々の邪魔にならないにように、舞台の袖から撮影したり、曲目で団員が入れ替り舞台上の開いた場所で指揮者を真正面から撮影しました。指揮者の全身から漂う熱気と真剣さがオーケストラ全員を覆い、当初狙った通りの写真が撮れました。

午前のリハーサルが終わって昼休みになり、本番が近づいてきました。

本番直前にも関わらず指揮者は非常にリラックス。アシスタントの指揮者の方や、楽屋裏に遊びに来る友人達と軽口で冗談を言い合い、非常に和らいだ様子で、ゴムボールでキャッチボールをしたりしています。

舞台裏で出演を待つオーケストラ団員とも和やかに談笑しています。

本番になり、団員は一人ずつ舞台に出て行きます。最後に指揮者が満員の会場から拍手で迎えられて舞台に登場しました。

リハーサルでよい写真が撮れたので、一応押さえに本番も、と思い、覗き窓からカメラのファインダー越しに舞台を見た私は、当初の私の想定が全く間違っていたことに気が付きました。

小さな覗き窓のガラス越しからも、はっきりと伝わる臨場感。

100名近くのオーケストラ団員が一体となって醸し出す、ピンと張り詰めた緊張感。

本番前のリラックスした感じからは想像も出来ない、指揮者の圧倒的なオーラと豊かな感情表現。

全てが、リハーサルの時には全く存在していなかったものでした。

防音のために両側がドアで挟まれた真っ暗で息苦しい狭い空間の中で、私は2時間の演奏の間、シャッターを押し続けました。ポジション等の撮影条件が悪いにも関わらず、写真の出来はリハーサルをはるかにしのぐものでした。

「ここ一番」でオーケストラ指揮者が出すオーラの凄さに圧倒されました。

考えてみれば、本番前のリラックスも、もの凄い量の積み重ねとオーケストラとの事前準備による自信があるからこそ、でしょう。また、絶対的な立場でオーケストラ全体をリードする指揮者は、自分の心のわずかな揺らぎがオーケストラ全体に大きな影響を与えることも、よく理解しているのだと思います。だからこそ、直前に自分の心を常に平静に保っているのでしょう。

この辺りは、ビジネスの世界のリーダーと全く同じですね。

結局、「指揮者が本番で発するオーラは、舞台を共有しているオーケストラの団員だけが一番身近に感じることができる」ということが分かりました。この舞台上にカメラマンがいると、空気を微妙に乱してしまい、全体の緊張感が維持できなくなるような気がします。このような場にいられるのは、まさにオーケストラ団員の特権なのでしょう。

ビジネスの世界でも、リーダーの凄さは一緒に仕事をしている部下にしか分からないのではないでしょうか?いわゆる「カバン持ち」は、そのようなリーダーの凄さに接することができる素晴らしい一つの方法のような気がします。

カリスマの凄さを実感した、非常に充実した週末でした。

nagai

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永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

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