栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 栗原潔のテクノロジー時評Ver2

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2006年10月13日の投稿

2006年10月15日 »

ちょっと前の話ですが、缶詰ハムのSPAMを販売してきた会社のHormel Food社が、欧州で、迷惑メール対策のコンサルティング等のサービスの商標としてSPAMを商標登録出願して拒絶されたという記事

経緯が微妙にわかりにくい記事になってますが、SPAMという言葉が悪質メールを指す言葉として一般化し、自社のブランドのイメージが悪化することを嫌った缶詰会社が、迷惑メール対策ソフトのSpambuster等の商標の無効を請求したが却下(なぜなら、缶詰とソフトウェアは類似してないので商標も類似してないとみなされるから)。しょうがないので、自分でSPAMを迷惑メール関係のサービスとして商標登録出願したら拒絶(なぜなら、悪質メールという意味ではSPAMは普通名詞化しているから)というところだと思います。

以前のエントリーで書きましたが、商標権というものは常に商品・サービスとの組み合わせで意味を持ちます。ゆえに、基本的には、商品がぜんぜん違うと名称が似ていても商標権が抵触することはありません。朝日新聞とアサヒビールとアサヒペンが登録商標として共存できるのも、新聞、飲料、塗料が商品として類似してないからです。

また、商標の一般名詞化によるリスクについても書きました。あまりにも商標が普及しすぎてしまうと商品の出所表示機能が失われて、商標権利者にとってはかえって困ったことになるというお話しです。ゆえに、企業が自社の商標の一般名詞化を防ぐための方策を採る(「xxxはyyyの登録商標です」と断り書きを入れたりする)のは常識とされています。

で、このSPAMのケースはちょっと可哀想ですね。ぜんぜん違う分野で商標が一般用語として、しかも悪い意味で普及してしまったわけですから。もちろん、ハムと悪質メールを混同する人はいないと思われるので、商標の出所表示機能は失われていないのですが、SPAMと言う言葉に悪いイメージがついてしまったのは否定できないでしょう。Hormel Food社的には、SPAMが悪質メールを指す用語として一般化する前の時点で、防衛的に商標登録しておくべきだったと思われます。

栗原 潔

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栗原 潔

栗原 潔

株式会社テックバイザージェイピー(TVJP) 代表取締役 弁理士
IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社を目指しています。

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