栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS)

栗原潔のテクノロジー時評Ver2

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

昨日の月曜の丸一日、さくらインターネットのDBサーバ障害で自社ブログが完全に止まっていました。どうもすみませんでした。ブログはWordPressで作っているのですが、WordPressはデータベースから動的にページを構築する仕組みになっているため、DBサーバが止まると閲覧も不可能になってしまいます。また、当社のサイトではトップページからいきなりWordPressのブログになっているため会社サイトが全滅状態になってしまいます。トップページくらいは静的ページで作り直しておいた方がよかったのかもしれません。

さて、クラウドと呼ぶかどうかにかかわらず、外部のホスティング・サービスにおける可用性のサービス・レベルが重要であることは言うまでもありません。通常、可用性のサービス・レベル保証(SLA)は、年間あるいは月間の合計ダウン時間をパーセンテージで表わすことが多いと思います。たとえば、99.75%の可用性を保証する等です。

どのレベルの可用性が必要かは業務次第ですが、一般的な業務アプリケーションでは99.75%はそんなに悪くない数字です。99.75%の可用性とはは年間合計ダウン時間およそ22時間ということになります。

しかし、利用者の立場から言うと、1時間程度のダウンが年間22回あるのと、22時間連続でダウンする障害が1度あるのとでは全然インパクトが違います。前者は許容できても、後者は許容できないというケースは多いでしょう。当社のブログだってたまに1時間くらい止まるのは全然OKですが、1日使えないと結構困ります。

ということで、クラウド事業者と可用性SLAの交渉をする際には、合計ダウン時間だけではなく、障害1度当たりの回復時間、いわば、MTTR(Mean Time To Repair)に関する検討も必要と思います。

また、障害発生時にどの程度の見える化ができているかも問題です。今回の障害では朝一に障害が発生してから、正式の告知が出るまでかなりの時間がかかり、前述の静的なお知らせページを作るべきかどうかの判断が付かなくて困りました。「修復に時間を要する」というのは悪い知らせですが、「時間を要するか要しないかわからない」というのはもっと悪い状況です。まあ、当社のブログくらいならたいした話ではないですが、企業アプリケーションであれば、手作業による業務継続を起動するかどうかはかなり重要な意思決定です。

というわけで、クラウド事業者との可用性SLAの交渉においては、障害報告までの時間、障害時のサービス窓口の応答性なども考慮に加えておくべきでしょう。

※本エントリーはTechVisor Blogからの転載です。

栗原 潔

黒Kindleを持ち出して下北のCafeで読んでみたりしました。重さの感覚的には大判の雑誌を持ってるのと変わりません。普段の持ち歩きはぎりぎりOKという感じです(重さは約500g)。ディスプレイは周囲が暗くても大変読みやすく、字を巨大化できることもあり、紙の本の2倍近いペースで読める気がします(当社比)。

今のところKindleはむき出しで使っています。Kindle本体を買う時にカバーやケースの類も一緒に買おうか迷いましたが結局やめました。理由は、ほとんどのケースが200gを越える厚手のもので、極薄でそこそこ軽いというKindleの良さが台無しになってしまうことです。500gと700gの差は結構大きいですね。

自分は、電子書籍を始めとする携帯機器はガンガン使って普通に傷ついて何ぼだと思っていますので厳重なカバー付けっぱなしというのはあまり好きではありません。マイカーに後生大事にカバーして滅多に乗らないサンデードライバーのような状態は避けたいと思っています。

とは言え、画面だけは保護したいですね。鞄の中で金物と当たって傷ついたりしたら最悪です。しかし、画面保護シートは(特に画面が大きい場合)きれいに貼れませんし、テカテカになってKindleのせっかくのつや消しディスプレイの見やすさが台無しになる可能性があります。iPadのようなタッチディスプレイだとタッチのレスポンスに影響する可能性もありますね。

そういうわけで自分としては移動時に画面だけを保護するミニマムなカバーでデザイン的に破綻のないものがあれば良いのにと思っています。

以前もちょっと紹介した現役使用中のHPのWindowsタブレットTC1100ですが、ゴム製の画面カバーが純正で付いています。これはデザイン、質感的にイマイチですが、Kindleを始めとする電子書籍もこういう方向性での画面保護手段を提供してくれないかと思っています。

写真だとちょっとわかりにくいですが、Kindleにも純正カバーを留めるためのフック穴が空いてますので、ここに画面カバーを固定することもできるはずです。カバーの反対側をどう留めるかが問題ですが、禁断のマジックテープ(バリバリ)でもしょうがないかなと思います(軽さ優先なので)。

ところで、仕事ではいつも使っているRIMOWAのアタッシェケースですが、ウレタン製のちょっとクッションが効いた書類入れがついており、ここにKindleがあたかもあつらえたかのようにぴったり入ります。ということで仕事の時には問題解決なのですが、普段もKindle運ぶためだけにアタッシェケースを持ち歩くわけにもいきませんので。

まあ、とにかく、電子書籍デバイスの工業デザインをする方には、意匠としてのかっこ良さとはまた別に画面の傷付き防止のエレガントな解決策を是非とも考えていただきたいと思っております。

※本エントリーは「TechVisor Blog」からの転載です。

栗原 潔

電子書籍に関して話題になることが多い「出版権」という権利について基本的なことを書いてみます。

そもそも、出版権とは「出版に関する権利」というような緩い定義の言葉ではありません。日本の著作権法において明確に定められた権利です

79条1項
第21条に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権者」という。)は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。

80条1項
出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する。

要するに出版権とは図書・図画出版のための複製権の独占的利用許諾です。単なる契約に基づくライセンス許諾ではないので、出版権者は他者の無許諾出版に対する差止め請求もできます。また、独占的権利なので、出版権が設定されて入れば複製権者(多くの場合、著作者自身)も出版行為を行なうことはできません。

なお、音楽業界において、楽曲の著作権のことを通称、「出版権」と読んだりすることがあるようですが(音楽出版社からの連想?)著作権法上の出版権とは関係ありません。また、出版社の編集作業により生じる権利として「版面権」を制定しようというよう話がありますが、これまた別の話です(日本の現行著作権法には版面権の概念はありません、設けた方がよいのではないかという意見を言っている人がいるだけです。この話については別途)。

通常は、著者が出版社と契約を結ぶ時には出版社に対して出版権の設定が行なわれると思います。手元にある私と某社の契約書でもそうなっています。出版権の存続期間を3年として、特に異議がなければ1年ごとに自動延長という契約になっています。たぶん、このような規定が一般的ではないかと思いますが、出版の分野によっては正式な契約書を取り交わしていないケースも多いのかもしれません。

電子書籍に関する重要な論点として、80条1項の「印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する」という部分が電子書籍にも適用されるかという点があります。

判例があるわけではないですが、学説的には、少なくともメディアや端末への複製を伴う電子出版については出版権に含まれるというのが多数派のようです。たとえば、

『著作権法入門』(島並他)p224: 「電子出版も本条[80条]の対象に含めるべきであるとの見解が有力である」

『著作権法』(中山)p335: 「それ[立法当時の考え方]によれば、CD-ROM等の電子出版は出版権に含まれないことになる。しかし現在においてそのような解釈は時代錯誤的であり、本来であれば法改正により対処すべきかもしれないが、解釈としてもこれらを含めることは可能であろう。今日では電子出版と紙による出版を区別する合理的理由はない。」

『著作権法概説』(田村)p489: 「出版権が設定された書籍の文章をCD-ROMに複製する行為も、書籍の需要を満足してしまうものに変わりはなく、出版権の範囲に含まれるものと解すべきであろう。」

しかし、たとえばアゴラブックスなどのようにWebブラウザーベースの「電子書籍」(電子書籍と呼ぶべきかどうかは別として)においては、出版権の効力は及ばない説が濃厚です(この場合に関係してくるのは自動公衆送信権)。同様に、Googleブック検索が問題になった場合にも出版社は原則的にはGoogleに対して権利を主張できないとしていました(もちろん、意見表明はできますが。)

なお、絶版本をダウンロード販売することに関しては、絶版の場合(出版権者が継続して出版する義務を履行しなかった場合)には、著作権者(複製権者)が出版権を消滅させることができますので、旧出版社の権利が及ぶことはないと思われます。ただし、出版社側が絶版ではなく単なる在庫切れであると主張したりするとちょっと面倒なことになる可能性はあります。

81条 出版権者は、その出版権の目的である著作物につき次に掲げる義務を負う。ただし、設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。 1 複製権者からその著作物を複製するために必要な原稿その他の原品又はこれに相当する物の引渡しを受けた日から六月以内に当該著作物を出版する義務 2 当該著作物を慣行に従い継続して出版する義務

84条1項
出版権者が第81条第1号の義務に違反したときは、複製権者は、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。

著作隣接権がからむ音楽の場合よりはまだすっきりはしているのですが、このあたりもテクノロジーの進化に合わせた法整備が必要と思われる領域ではあります。

※本エントリーは「テックバイザーブログ」からの転載です。

栗原 潔

昨日のエントリーでKindleのtwitter(およびfacebook)連動機能について書きました。単に書籍コンテンツをディスプレイで読めることだけが電子書籍の価値ではないという点は重要です。ソーシャル・コンピューティングと組み合わせてこそ、紙の本では実現できない、真の電子書籍のエクスペリエンスが提供されるのです。

さて、Kinldleもいずれは日本語化されると思われますが、この機能が日本でも導入されたらどうなるでしょうか?ネットのクチコミで自分の本が売れる機会が増えてうれしいという権利者も多いと思いますが、自分の本を勝手に切り貼りして利用するとはけしからんと思う権利者もいるかもしれませんね。

日本の著作権法では、「引用」が権利制限(著作権者の権利が及ばない場合)のひとつとして明記されています。

32条1項 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

ここで、具体的にどのような条件が必要であるかは法文上では明確ではないですが、解釈論としては、(1)自分の創作と引用部分が明確に区別できること、および、(2)本文が主で引用が従の関係になければならないこと、が必要であるとされています。また、別の条文(48条)に(3)出所明示の要件もあります。

Kinldeのtwitter連係については、上記の(1)と(3)については問題ないと思いますが、(2)がちょっと微妙なところです。つぶやき本体は140字の制限があるので、どうしても文字数的には「本文」<「引用文」となってしまいます。

個人的には、本の内容を丸ごと頭からちょっとずつつぶやいていくような明らかに引用の範囲を超えるケースは論外としても、本文・引用の主従関係についてはある程度柔軟に解釈すべき(「主」より「従」が文字数的に多くても許容すべき)と思っていますが、仮に裁判沙汰になった時にはどうなるかわかりません。

と言いつつ、どっちにしろ、著者がKindle経由で出版することをAmazonと契約する時に、契約条件としてtwitter(facebook)による引用利用について許諾するようになると思います(たぶん)ので、Kindleに関してはあまり気にする必要はないかもしれません。実際、既に日本でもやってる「なか見!検索」については別途権利者に許諾を得ています(私にも出版社経由で許諾の確認が来ました)。

著作権法上の「引用」の範囲はどこまでなのかという問題は、Kindleのように契約で処理できるある程度閉じた世界でよりも、一般的なリツイートやリブログなど契約では処理できない部分で重要な論点になると思われます。これについてはまた別途書きます。

※本エントリーは「テックバイザージェイピー公式ブログ」からの転載です。

栗原 潔

#ちょっと更新さぼりぎみでしたが、ちょっと反省して、今後はほぼ毎日更新を維持したいと思っています。

何を今さらという感じですが、e-Inkディスプレイ改良+本体色変更+値下げということでKinlde DXの黒モデルを買ってみました。

色は、正確には「グラファイト」、つや消しの黒です。なかなかナイスでKindleのちょっと安っぽいイメージが解消された感じがします。上写真は電源切れてる状態です。e-Inkなので表示が更新されない限り電力を消費しません。なお、ここから先は黒Kindleの話というよりもKindle一般の話です。

最近老眼が厳しくなったきたので字をかなり大きくして使っています(これはちょうど真ん中あたりの字の大きさ)。これだけでも電子書籍にする意味があるというもの。老眼の人だけなく、弱視の方などにとっても朗報です。e-Inkの画面はさすがに見やすいです。iPad等の液晶タブレットとはまた別に読書専用端末として買う価値はあると思います。重さ的には、右写真のように片手で持ちながらページ送りボタンを操作するのにぎりぎりOKという感じ。電車で右手でつり革、左手でKindleというのもまあ何とかなりそうです。私は先代Kindle持ってないので比較できないですが、持っている人の話では「画面の切り替えがちょっと速くなったような気がする」とのことです。自分的には普通に読んでページ送りする分には問題ないですが、メニューからいろいろ操作する時はちょっとモタモタするかなという感じ。なお、AmazonのKinlde Storeで買った本は、Amazonのサーバ側で情報管理してますので、自分がレジストしてるKindleソフトならiPhoneでもiPadでもPCでもMacでも読めます。もちろん、ハイライトやノートも同期されますし、どこまで読んでるかも管理してくれてます。Kinlde持ち出すほどではない時にちょっとiPhoneで続きを読むことなどが可能。

日本語は正式には使えませんが、フォント埋め込みのPDFファイルなら日本語で読めます。上の写真は、最近、特許庁サイトから無償ダウンロード可能になった工業所有権法逐条解説(通称青本)。全然読めます。ただし、PDFだと字が大きくできません(正確には大きくできますが、ページが画面からはみ出してスクロールが必要になりますので異常に読みづらくなります)。ということで、PDF読むためにはKindle2の画面サイズだとちょっと厳しくて、やはりDXのサイズは欲しい気がします。なお、PDFからEPUB形式への変換ソフトも出回ってますので、これを使うと地の文については文字サイズを自由に変えられるようになりますが、図や表は再現できませんので、やはり限界があります。

PDF化した譜面もぎりぎりOKという感じ。

今回Kindleをいじってみてすごいと思ったのは、ソーシャル機能。まず、「Popular Hilight」機能。これは、今読んでいる本で、他の多くの人がハイライトしている部分を表示してくれる機能。いわば、クラウドソーシングで本のサマリーをしてくれるようなものです。ここだけ先に読んでおくと、その本のポイントがわかります。

そして、twitter連係機能(facebookとも同様の連係が可能)。自分が読んでる本で気に入った部分をハイライトした時に簡単なキー操作をするだけでtwitterに当該箇所をつぶやけます。引用本体はAmazonのサイトにあってtwitterからはそこへのリンクがつぶやかれますので、140文字の制限はありません。リンク先に行くと引用部分、そして、その書籍の販売ページへのリンクがあります。twitter(やfacebok)で信頼できる知り合いがつぶやいてる→リンクをたどると引用文→なかなかいいこと言ってるじゃないかと思うとそこには書籍の販売ページへのリンクが。という感じで新たに書籍(紙にしろKindle版にしろ)を売るための商流ががっちりできてます。

何かずいぶん先に行ってしまったなあという印象を持ちました。

※本エントリーは「栗ブログ」からの転載です。

栗原 潔

正月に書いたエントリーにおいて、2/16に開催される戦略的データ活用セミナーで私の訳書『戦略的データ活用』が無料でもらえると書いていましたが、今、イベントの公式サイトを確認にいったら進呈ではなく特別割引販売になってました。おわびして訂正します(元エントリーの方はもう直っています)。まあ、よく考えたら出たばかりの本(しかもスポンサー付ではないし、電子書籍でもない)を無料で配ってもあまり意味がないので当然とも言えます。どうもすみませんでした。

栗原 潔

   

私の翻訳による「戦略的データマネジメント」が2月18日に翔泳社より出版されます。現在Amazonで予約受付中です。原本は米国のデータ戦略専門家Thomas C Redman氏がHarvard Business School Pressから出した“Data Driven”です。”Data Driven”は米Amazonにおいてほぼ満点(5点評価×25人、4点評価×2人)という高い評価を得ています。本書のポイントは、元の出版元がHarvard ”Business” School Pressであるという点でしょう。つまり、テクノロジーの本ではなく、あくまでもビジネス側の視点からデータについて論じた本です。データベースだとかBIツールなどの話はほとんどでてきません。

著者のThomas C Redman氏は、AT&Tベル研時代から組織のデータ戦略についての現場経験を30年以上積んできているベテランコンサルタントです。現場経験豊富でなければ書けない目から鱗の話が満載です(私も結構勉強になりました)。

こういう人です(なんとなく自分にキャラが似ている気が(笑))。

正直、ビジネス向けとは言え、企業ITの知識がまったくない方が読むのはちょっとしんどい気もします。ビジネス的視点を強めたいITコンサルタント の方、ビジネス側ユーザーに向けて自社ソリューションの価値をアピールしたいマーケティングの方などに向いていると思います。ゴリゴリのエンジニアの方も ほとんどテクノロジー的な話が出てこない点を覚悟しておけば(笑)、おもしろく読めるのではと思います。

日本では、データ管理テクノロジーやデータ分析テクノロジー関連の書籍は多数ありますが、データ戦略そのものに関する本はあまりないと思いますので貴重な存在ではと思います。是非ご一読下さい。

なお、今まで翻訳書はぜんぶ翔泳社から出してきてますし、今後も継続的に出していく予定ですが、私は別に翔泳社専属というわけではありませんので他の出版社の方も翻訳のご用命がありましたらよろしくお願いします。仕事速いです(本気出せば(笑))。

       


栗原 潔

メキキという日本の小規模企業がSNSに関する特許侵害に関して米国でfacebookと係争中というニュースが 伝えられています。米国の小規模企業が米国や日本の大手企業を特許侵害で訴えるというパターンはありますが、日本側から攻めるパターンは珍しいのではないかと思います。なお、メキキはいわゆる「パテントトロール」ではなくちゃんと自社で会員制のSNSを運営しています。賢明にもサービス開始に伴い基本特許を 日米で取得していたというわけです。実は、私も微妙に利害関係者なのでブログ上では特許の内容自身についてコメントできませんが、米国の大手法律事務所ク イン・エマニュエル法律事務所が成功報酬型で受任してくれたということから、少なくとも(たまにある)アホみたいな特許ではないと言えると思います。

特許制度(特に、ソフトウェア特許)については批判の声が聞かれることがありますが、このようにアイデアひとつで小規模企業が大企業 (facebookの企業価値は約6兆円と言われています)と対等に勝負できるという点では意義がある制度だと思います(自分では発明を実施せず訴訟だけにフォーカスするようなパテントトロールについては議論の余地がありますが)。

小規模企業の立場から言えば、既に良いアイデアがあるのならば、それを特許化する費用はそれほどでもありません。特許庁料金と弁理士費用合わせても100万円行かないくらいです(海外にも出願するともう少しかかります)。そして、うまくいけば大規模企業と対等に渡り合える根拠となる独占権が得られま す。万一、特許権が取得できなくても特に失うものはありません(料金が無駄になるだけです)。ある意味、ローリスクハイリターンの投資と言ってよいのでは ないでしょうか?

ベンチャー企業の方で斬新なサービスを始めようと思っている方は、ついでに特許取得を検討してみるのも良いと思います。なお、サービスを実際に始めてしまった後から出願しても特許権を取得することはできません(たまに勘違いしている人がいますが、出願人自身が実施したことによっても新規性は失われます)。また、 当然ながら特許を取得するためには、今までにない技術的アイデアであることが求められます。たとえば、「個人向けの税金計算サービスをSaaSで提供する のは当社が初めてである」としても、既にあるアプリケーション・ソフトウェアの機能をSaaSで提供すること自体には技術的なアイデアとしての新規性はありませんので、それだけでは特許権取得は不可能です。私も、最近、特許出願のご相談を受けるケースが増えていますが、この基本的条件が満足されていないケースが多いです。

なお、特にソフトウェア関連特許の場合先行技術の調査が結構大変なことが多いですが、その点、テックバイザーはソフトウェアやITのドメイン知識はバッチリですので安く早く結論が出せることが多いです(その一例)。最後は宣伝みたい(というか宣伝)になってどうもすみません。

栗原 潔

独立してからもう5年目に突入してます。今まで仕事の流れがほとんど途切れることなく順調にやって来られたのはありがたい限りです。

一般に、フリーランスでやっていく上で最大の課題は営業力ではないかと思います。いくらデリバリ能力があっても仕事のパイプラインが埋められないと厳しい状態になります。かと言って専任営業担当を雇うというのは固定費の点で難しいところがあります(弊社では、社外の方に仕事をご紹介いただいて成約に結びついた場合にはコミッションをお支払いするようにしていますが)。

ここで強力な味方となるのが言うまでもなくブログを初めとするソーシャル・メディアです。自分の場合も退職前にブログの世界でそれなりのプレゼンスを確保できたと感じたからこそ独立への踏ん切りがつけられたと言えるでしょう。はっきり言ってしまうと、現在、大企業に所属している人でソーシャル・メディアをうまく使いこなせていないと思う人は、ずっとそのまま大企業の世界に所属し続けていた方がよいと思います。

ソーシャルメディアにも選択肢が増えてきており、どう使いこなすかが課題となりつつあります。私としては、基本的に以下のように使い分けていこうと思います。

ブログ
当然ながらテックバイザー公式ブログとITmediaオルタナブログは継続していきます(基本的に後者が前者のミラーコピーという位置づけ)。昨年後半は更新が滞り気味だったので、今年はもう少しまじめに書く予定。また、元々はテックバイザーの公式サイトはコミュニティサイト化して、レポートのダウンロードやメルマガを提供する予定だったのですが、全然出来てないですね。時間があれば何とかしたいと思います。

twitter
昨年、あまりブログを書けなかった理由のひとつとして多忙だったことに加えてtwitterばっかりやっていたという点があるかもしれません。やはり、twitterの圧倒的な「敷居の低さ」は魅力です。わりとどーでもよい話ばかりつぶやいていますが、「どーでもよい話」:「シリアスな仕事の話」=80%:20%くらいで維持していきたいと思います(たぶん、ブログだとこの比が逆転して20%:80%くらいでしょうか)。こういうソーシャルメディア別のシリアス度の使い分けは結構重要だと思います。たとえば現実世界のセールスマン方だって常に仕事の話をしているわけではありません。世間話も重要なコミュニケーションの一部です。カジュアルなお付き合いとシリアスなビジネスの話のバランスをどう取るかというのはソーシャル・メディアでも人対人の直接的なコミュニケーションでも同じだと思います。

LinkedIn
LinkedInはオンライン履歴書みたいな静的サイトと位置づけています。LinkedInをサーチされたことでもらった仕事もいくつかありまし た。単に情報を書いておけば勝手に仕事がやってくるのですからこんなに効率的な営業ツールはないですね。特に、普段まったくお付き合いがないセグメントのお客様(たとえば、外資金融)からコンタクトをいただけるのはありがたいという他はありません。なお、コネクションは歓迎です(ただし、実際に面識のある方、仕事を一緒にしたことがある方のみお願いします)。

facebook
このブログでも何回か書いているように、米国ではfacebookはビジネスマンの間においてもほぼ常識化しつつあるようです。一応、自分もアカウント持っていますが、いまひとつ使い方がよくわかりません(というより、twitterに加えてfacebookまでやり出すと時間がなくなってしまいます)。フレンドリクエストいただければお答えしますが、実際には休眠状態です。

mixi
mixiは完全に趣味用と位置づけています(個人ブログを外部ブログとして使ってます)。個人的な話ですが今年はジャズ演奏関係に力を入れていきたいのでもう少しヘビーに使っていくかも。

myspace
myspaceもアカウントは持ってますが全然使ってません。今でも音楽系はmyspaceという傾向があると思う(facebookへの流出が続いているようですが)ので音楽系(ジャズ、および、初音ミク打ち込み系)で使っていくかもしれません。

上記以外のソーシャルメディア系サイト(たとえば、tumblr、flickrなど)は、もう全然時間がなくまったく使いこなせていません(このあたりがデジタルネイティブではないつらさでしょうか)。

もちろん、従来型メディア(Web媒体、印刷媒体、書籍)での情報発信も続けていきます。要は使い分けです。

栗原 潔

2009年はいろいろとお世話になりました。ちょっと闇雲に仕事入れすぎでバタバタした年でしたね(ブログもあまり書けませんでした)。2010年はもう少しフォーカスを定めてやっていきたいと思います。

さて、今のところ決まっている仕事の中でオープンにできるものをお知らせしておきます

1月21日(木) オープンソリューション研究会(OSRC)のイベントで話します

昨年、一昨年は基調講演をしてきましたが、今年はデジタルネイティブとソーシャル・コンピューティングにフォーカスし た話をします。拙訳『デジタルネイティブが世界を変える』の内容を日本の状況に当てはめて分析しつつ、twitterを初めとするソーシャル・コンピューティングの日本における将来について考えていきたいと思います。なお、これはOSRC会員企業向けのセミナーなので既に会員企業の方は是非。会員企業でな い方はこの機会に是非ご検討されてはいかがでしょうか?詳細はこちら

2月16日(火) 翔泳社主催 『戦略的データ活用セミナー~ビジネス価値に結びつけるデータ活用・分析~』で特別講演します

詳細はこちら。 私はデータ管理とかデータ品質等のかなりファンダメンタルな話をします。実は、今、Harvard Business School Pressから出ているデータ戦略関連の書籍を翻訳しているのですが、このセミナーでアンケートに答えるとその本がもらえるようです。ということは今やっている翻訳作業は絶対に遅れが許されないことになりますね(笑)。なお、twitterにてそろそろ写真を変えたらとつぶやかれてしまった(笑)ので、正月明けに写真館に行くことにいたします。

2月18日(木) 翔泳社主催 デベロッパーサミット2010でクラウドのお話しをします(予定)

私は開発現場から抜けてもう10年以上経ってしまっているのでデブサミはやや外様感があるのですががんばります。クラウドにまつわるメガトレンド、4大クラウド事業者の戦略分析、デベロッパーとしての心構えみたいな話をする予定。

3月5日(金) 日本テラデータ主催 Teradata Universeで話します

詳細はこちら。情報爆発に打ち勝つデータウェアハウス戦略のような話をする予定です。たとえば、HadoopとRDBMSの連係の話等々。

それから、これはオープンではないですが、金沢工業大学大学院虎ノ門校でIT要論と知財特論(特許中心)の2コマを担当することになりました。これまたしんどい(笑)。

ということで、2010年のフォーカス分野は

  • クラウド
  • ソーシャル・コンピューティング
  • データマネジメント
  • 知財(特許・商標中心)

に加えて翻訳関係という感じになりそうです。まあ今後の仕事の状況次第でどうなるかわかりませんが。

本年もよろしくお願いいたします。

栗原 潔

プロフィール

栗原 潔

栗原 潔

株式会社テックバイザージェイピー(TVJP) 代表取締役 弁理士
IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社を目指しています。

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