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SLAPPについて

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最近、SLAPPという言葉を知りました。Strategic Legal Against Public Participationの略です。資力のある大企業等が巨額の賠償請求訴訟をすることで資力のない個人や小企業をびびらせて、結果的に言論を封じる手法です。意訳すれば「恫喝訴訟」ということですね。

米国では、カリフォルニア州をはじめとして多くの州でSLAPPが州法により禁止されているようです(SLAPPと認定されれば、被告と原告のどちらの言い分が正しいかの議論以前に提訴自体が却下になるということのようです)。

なぜ、この言葉を知ったかというと、オリコン株式会社が、雑誌サイゾー等のオリコンのランキングの信頼性に関する記事中のフリー・ジャーナリスト烏賀陽弘道氏のコメントについて名誉毀損であるとして、5,000万円の損害賠償を求めて、(出版社ではなく)烏賀陽氏自身を訴えたという事件についていろいろ調べていた時に見付けたわけです。

もちろん、もし、企業が自社のビジネスに悪影響を与えるような事実無根の指摘をされたのであれば、それに対応するのは当然です。ただし、そのような場合でも、通常は出版社を訴えるか、あるいは、個人を訴えるにしてもより現実的な賠償金額とするなり、謝罪広告を求めるなりするのが通常だと思います。5,000万円の損害賠償訴訟というと、弁護士さんの着手金だけでも結構な金額になりますので、資力のない個人であれば、裁判で自身の正当性を主張する機会もなく、相手の言い分を飲んで和解せざるを得ないということになりかねません。

正直言って、私はオリコン側も烏賀陽氏側も特に応援する気分ではありませんので、訴訟の成り行きは生暖かい目で見守りたいわけですが、SLAPP行為に対して裁判所がどういう対応を取るか(全く争点としないのか、たとえ傍論であったとしても権利濫用を認定するのか)だけは注目しておきたいと思います。

日本では、SLAPPが全然OKということになってしまうと、個人が実名ブログ等で正当な理由に基づいて企業を批判することが困難になる可能性があります。そうなると、結局、批判は匿名掲示板でということになってしまいます。ネット言論の適正化のためにも何らかの形でSLAPPには歯止めをかけてもらいたいものです。

#なお、オリコンのランキングの信頼性に関する議論はこのエントリーの趣旨ではありませんので、この点に関するコメントが付いた場合には削除するかもしれません。あくまでも恫喝訴訟の妥当性についてのみ議論したいです。

Comment(4)

コメント

いつもはROM

吉本敏洋著「グーグル八分とは何か」でも、SLAPP的な事例がいくつか挙げられてましたよ。

栗原潔

あー、↑その本、読もうと思っててまだ読んでませんでした。今度ヒマができたら読むつもりです。単純な答えが出ないであろう問題ではあります。

mohno

(私も SLAPP という言葉は知りませんでしたが)ファミコン時代に任天堂に無断でゲームを作った会社が「商標法違反」で訴えられたことがありました。しかし、根拠が薄弱で(任天堂は商標を登録していなかった)、このときもビビらせるのが目的ではないかと言われました。
とはいえ、中身を見ずに門前払いして個人や小企業による「損害」を追求できなくなるというのは「言いっぱなし」「やりっぱなし」を蔓延させかねないという問題が出そうです。
“要はバランス”の一例ではあるのでしょうが、まさに「単純な答えが出ないであろう問題」ですね。

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