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MYUTA事件の判決文が公開されました

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裁判所のWebサイトにアップされました(判決文, 別紙1

ゆっくり読んでる時間がないのでまずは気になった点だけ。

1. 争点は複製と自動公衆送信の主体が誰であるか(ユーザーかサービス業者か)のみであり、私的複製か否か(コメント欄の指摘により追加: ストレージ・サービスが30条1項1号の自動複製機器にあたるのか否か)は争点となっていません

2.CDのアップロードと携帯電話形式への変換の専用ソフトが業者側から提供されている点が、サービスが業者の管理下にあり業者が複製・送信の主体であると判断された点で大きいようです

3.このサービスはパスワードを他人に教えれば他人の携帯でも音楽ファイルをダウンロードできてしまうというダダ漏れサービスではなくしっかりと認証処理を行なっているようです。しかし、それでも裁判所の判断では、「本件サーバに蔵置した音源データのファイルには当該ユーザしかアクセスできないとしても,それ自体,メールアドレス,パスワード等や,アクセスキー,サブスクライバーID(加入者ID)による識別の結果,ユーザのパソコン,本件サーバのストレージ領域,ユーザの携帯電話が紐付けされ,他の機器からの接続が許可されないように原告が作成した本件サービスのシステム設計の結果であって,送信の主体が原告であり,受信するのが不特定の者であることに変わりはない。」と結論づけています。これはかなり違和感を感じてしまいます。

時間ができたの続きを書きますが、ポイントとなる部分は以下だと思います。

複製行為の主体がサービス・プロバイダー側である(ユーザーではない)と判断された理由(判決文p30より)
1.サービスに不可欠な行為として複製が行われている
2.サーバはサービス・プロバイダーの所有である
3.サービス・プロバイダーが専用かつ必須のソフトを提供している
4.そのソフトは複製を行うべくサービス・プロバイダー側が設計したものである
5.ユーザーが自分でCDの音楽を携帯電話で利用できるようにすることは相当に困難
6.ユーザーの複製操作は、サービス・プロバイダーの設計に基づいたものである

ということですが、一般的なサービス・プロバイダーであれば、3と4と5以外の条件は当てはまるでしょう(そして、3と4は実質同じ条件です)。うかつに、専用ソフトを提供したりして専用サービス化し、ユーザーの利便性を高めようとすると、著作権侵害のリスクが高まるということになります。また、5の「相当困難」の判定条件にも難しい点があるのではと思います。

自動公衆送信の方について主体がサービス・プロバイダーとされた理由は以下の通りです(判決文p33)。
1.サービスに不可欠な行為として送信が行われている。
2.サーバはサービス・プロバイダーの所有である
3.送信機能はサービス・プロバイダーの設計である
4.ユーザーが個人レベルでCDの音源データを携帯電話で利用することは相当困難
5.ユーザーの行為はシステムの設計に基づく

ここでは、一般的なサービス・プロバイダーでは4以外は全部当てはまってしまいます。ここでも、「相当困難」の具体的判断条件が気になります。

私見ですが、この判決はMYUTAだけに関するものであって副作用は少ないのだとはちょっと言い難い気がします。たとえば、自宅のHDDレコーダーに録画した番組をブロードバンド経由で携帯電話や携帯ゲーム機で自分が観られるようにするサービスも実装次第ではひっかかりそうです。まねきTV式に市販の機器をユーザーが買ってそれをハウジングする形態にすれば回避できるかもしれませんが、このように技術的には非本質的な解決策を取らなければならない可能性を含めて、副作用が大きいと思います。

また、将来を考えると自明な技術動向として以下があります。
1.今までユーザー側で行っていた機能がサービス・プロバイダー側で行われるケースが増える(梅田望夫言うところの「あちら側」、SaaS、"Web as a platform")
2.複数のサービス・プロバイダーのサービスを組合わせて活用することが一般的になる(マッシュアップ)
3.パソコンだけでなく、携帯機器がブロードバンドに常時接続され、それを前提としたサービスが普及する

たとえば、iPodに無線ブロードバンド機能が搭載されて自宅のiTunesライブラリの曲がどこでも聴けますなんてサービスは当然に考えられます。こういう技術動向を考えると、外部的には私的複製に見える行為(自分の所有物を自分が操作して自分が使用できるようにすること)が、サービス・プロバイダー側の内部の実装によっては著作権侵害になってしまうリスクが存在することは、やはり副作用が大きいと言わざるを得ないと思います。

Comment(20)

コメント

突っ込みどころが多すぎてなんともはや…
#弁理士法第4条第2項第2号及び第3条的には、弁理士さんというのは著作権法(のADR)のプロだと思ってだのですが…。


1.関係
 複製の主体が「利用者」であれば私的使用の範囲かもしれないが、「役務提供者」が主体であれば当然私的使用の範疇外。したがって、「本件サービスは私的使用の範疇外」ということが判決で示されてことになります。
 それを「私的複製が争点になっていない」というのは、どういうことでしょうか?
#それとも「個々の利用者の行為が著作権侵害か」が争点であることを期待されていたのでしょうか?そうであれば「カラオケ法理」という単語が出てくるとも思えませんが。


3.関係
 「ダダ漏れサービスでない」からこそ「送信の主体」が役務提供者であり、かつ役務提供者は「公衆」にサービスを提供しているから「公衆送信」、という判決ですよね?現行著作権法の解釈上、どこがおかしいのでしょうか?
#かつ本件訴訟は「権利不存在確認訴訟」である以上、「現行著作権法がおかしい」という議論は裁判上はありえないはずですし。


 また、「ダダ漏れサービス」にしてしまえば、送信(「ダダ漏れ」なので「公衆送信)の主体はアップロードした者となり、有限プロバイダ責任法にしたがった対応をする限りにおいては役務提供者が責任を問われることはなくなりますので、それも極めて自然でしょう。

 したがって、何に違和感を感じられるのか全く理解できません。
#「著作権がそこまで強い権利であるのはおかしい」という主張であれば、それはそれで理解できますが、それを今回の判決に対して主張するのは極めて奇異です。


なお、5/26付の記事にもいくつかコメントをさせていただいていますが、そのお答えをどう出されるのか、注視しております。

ただ、「判決文にそうかいている」以上の発言ではないのでは。それ以上は「続き」とあるのだし。
> 注視しております。
こういう「見張ってやる」文化って、どうにかならないかなぁ。発言者を苦しめるのが、こういう人の仕事なの? すんごく息苦しい国だね、日本ってのは。そっちは匿名の無責任で済むけどさ。

和三盆

>たさん
栗原氏への反意のコメント、以前のブログ記事の分から読ませて頂きました。

今回の場合、そもそも誤解され易いほど微妙な判決であったという事と、実際にマスメディアが誤解したまま報じた事が問題なのではないでしょうか。

栗原氏はその報道を元に『おかしい』と主張したのであって、一次報道でない『一介のブログ記事』に激しく反論するのは少々矛先が違うようにも感じます。

例えば『一次報道を基にすれば栗原氏の意見も納得がいくが、実際は○○という理由ではなかっただろうか。となれば、法に基づき××という解釈も妥当と私は考えるが、皆さんはどう思われるか。』など。

法に詳しければ、当然反論はあると思います。ならばこそ、侮蔑や挑発とも取れる強い論調は避け、自らの正しさを他の読者の人々にも賛同してもらえるよう努力すべきかと思います。それが、ブログにおけるコメント寄稿に対するマナーの1つだとも考えます。

栗原潔

>たさん
>私的複製か否かは争点となっていない
とは、カラオケ法理以外にも30条1項1号が争点になってそうだったのになってなかったねということです。
3.については「違和感を感じる」と主観的表現を使っていることからわかるように、技術常識から考えてつじつまが合わなくないだろうかという感想です。
いずれもあんまり突っ込まれるような部分とは思えませんが「へこませてやろう」という視点からコメントされているのでは?

それから前のエントリーですが、毎日新聞記事のタイトルに引っ張られてやや煽り気味に書いてしまったところもありますが、判決文を読んだ後も「複製行為を行っているサービスにはすべてリスクがある」「副作用が大きい判決である」という意見には変わりはありませんので、特に直すつもりはありません。

なお、私はストレージ・サービスが違法になるとか、インターネットが違法になるとは書いてません。コメント欄やトラックバック先でそういうことを書いている人がいますが、いちいち訂正している時間はありません。

ゆきちさん、和三盆さん

私のメインの主張は「確定情報がない中、人を非難するな」です。

しかもその非難が
 ・「マスコミ(メディア)」を自称する組織が提供するもので
 ・報道(二次情報)をベースとしつつ
 ・かつその報道のみを前提とするのであれば、本来ありえない論理展開をし、
 ・しかも執筆者は専門家を冠している
のであれば、第三者に「正当な避難」と誤解される蓋然性が高く、その当該非難は論評の対象となってしかるべきでしょう。

なお、5/26付の記事でリンクされている毎日新聞の記事は要約としておかしなところはなく、あくまで本記事の執筆者が二次資料である報道を一次史料であるかのごとく解釈し、無限の可能性を勝手に見出しただけの話です。
#要するに「一時報道を基にしても栗原氏の意見は納得しようがない」ということです。


また、一介のプログ記事と言いますが、栗原さんが個人や自社で開設しているサイトにあるブログであれば、私がコメントすることもなかったでしょうし、2ちゃんねるやスラドなどからリンクが貼られる可能性も低かったでしょう。


ので、私は、栗原氏個人を非難しているというよりは、「そういう記事をサイトのトップページからリンクしているアイティメディアの姿勢」を非難しています。
#ゆきちさんのリンク先であるCNETと違って、「オルタナティブ・ブログはアイティメディアの見解を示すものではない」という断り書きもない以上、。

また、詳細が出てきてから非難するより、「あなたが詳細を述べるに当たっては、この辺が論点になりますよね」と予め伝えて置く方が親切かつ建設的だと考えています。


なお、ゆきちさんは、
>> 注視しております。
>こういう「見張ってやる」文化って、どうにかならないかなぁ。発言者を苦しめるのが、こういう人の仕事なの?
というご発言については、栗原氏やアイティ・メディアが(高部裁判長及び東京(知財?)高裁に対して)行っている行為そのものではないの?、という疑問を述べさせていただくことで、私の答えとさせていただきます。

と、打っている間に栗原氏からコメントをいただいたようですので、そちらは直接お返しします。

前記事のコメント内の話に関してで、現在の記事内のコメントの話と少しずれるのかもしれませんが。
http://anond.hatelabo.jp/20070529003249

栗原さま

ご返答、ありがとうございます。

>>私的複製か否かは争点となっていない
>とは、カラオケ法理以外にも30条1項1号が争点になってそうだったのになってなかったねということです。

ご主張は理解しました。私もそこは争点となっているだろうと推測していましたので、若干気が抜けました。
#そこは、5/26記事への5/28 18:42のコメントをご覧いただけば理解頂けると思います。

ただ、そうであれば「自動複製機器であるか否か」と記載されるべきだったと感じます。
#30条1項1号は「私的使用だが権利者の権利が制限される場合」なので、当該号の適用の有無は私的使用か否かの論点には含まれないため。

なお、「私的使用の複製」から30条1項1号及び2号に相当しないものが「私的複製」と呼ぶことが一般であれば、それを知らなかったのは私の不徳の致すところです。お詫びいたします。

3関連については、
>「へこませてやろう」という視点からコメントされているのでは?
と受け取られるのであれば、それはそれで結構です。
私の目的意識は「誤解の拡大を防ぐ」ことにあるのであり、栗原さまを論破することが目的ではありませんので。


とはいえ、「判決」に対し「違和感を感じます」と制度の専門家がおっしゃるのであれば、それは法解釈に対するものであると受け取る者もいることは推測がつくと思います。少なくとも「世の実態に照らすと」程度の限定はあった方が良かったでしょう。


なお、
>「複製行為を行っているサービスにはすべてリスクがある」
というのは、今回の判決を引くまでもなく(リスクレベルの大小は様々であれ)当然のことであり、副作用はない、というのが私の感触であり、
>「副作用が大きい判決である」
というご主張は私には理解できません。もっとも、私が理解できるように書いて頂く必要もありませんが、「理解できなる主張ではないと言う者がいる」という事実だけは明らかにさせていただきます。


また、
> 私はストレージ・サービスが違法になるとか、インターネットが違法になるとは書いてません。
とおっしゃいますが、
>> (実際には家人があなた宛てに送っているのですが、法的には「メール・サーバの管理業者が公衆に対して送っている」と解釈されてしまいかねない
>> 蓄積交換型のFAXサービスだとアウトかもしれません
>> 自分の所有する著作物を自分に対してメールする場合でも、すべて自前のサーバを経由するのでない限り、著作権者の公衆送信権を侵害し得てしまいます分の所有する著作物を自分に対してメールする場合でも、すべて自前のサーバを経由するのでない限り、著作権者の公衆送信権を侵害し得てしまいます
と、可能性の適示にとどまっていますが、「何でも違法になる可能性がある」と専門家が一般の方に向かって書けば、「(今回の判決が判例となると)違法となる可能性が高い」と解釈されるのが当然だと思いませんか?
#現に、そのような誤解をされた方が多数コメントされています。

これは、「専門家」として無責任な態度ではないかと懸念しますが、いかがでしょうか?


追伸:
冬さんのコメントにある先のはてな匿名ダイアリーへのコメントの落とし方は知らないので、本筋ではありませんがここに書かせていただきます。

「MYUTA」は音楽コンテンツ専用のサービス(エンコードが音にしか対応していない)であったため、対象となるデータが音楽の著作物が大半を占めることが自明(サービスの前提)であり、「結果論としてそればかりが集まったもの」とはそもそも判断基準が異なる、ということでお答えになるでしょうか?
#だからこそ、Winnyの47氏の裁判では「専ら著作権侵害に用いられることを認識し、さらにそれを助長しようとしたか」が争点になった(本件判決より2つ敷居が上がっている)、ということです。

いずれにしても、今回の判決は、原告が主張した「技術的仕組み」を前提(判決で「甲(原告の出した証拠書類)」を多数引用)とした上で、「法的には複製・送信の主体は管理者であり、したがって著作賢者の許諾が必要」とされたものです。

私から見れば、著作権法上の実施主体という概念を理解していなかった原告(MYUTA)の自爆以外の何物でもないです。
#仕組みが判決にある通りであれば、今回の判決以外導きようがない位、昨今の知財高裁の判例に従った判決になっています。

temp

今回の判例が拡大解釈されると、サービス側にとっては酷だよね。
と言うネット好きな我々の感想と、
過去の判例に照らし合わせれば、今回の判決は妥当なものである。
と言う法解釈と、の間に皆が違和感を感じており、
そこがどうにもうまく消化できないと言うのが今回の誤解やら行き違いの原因でしょう。

この違和感を解消していくために、我々が声を上げる必要があるのですが、
一方で、判決の論理展開も理解できるようにならないと、声を上げても雑音になってしまいます。

そんな勉強のきっかけとして栗原さんのblogは、大変役に立っていると思いながら読んでいます。

>「MYUTA」は音楽コンテンツ専用のサービス(エンコードが音にしか対応していない)であったため、対象となるデータが音楽の著作物が大半を占めることが自明(サービスの前提)であり、「結果論としてそればかりが集まったもの」とはそもそも判断基準が異なる、ということでお答えになるでしょうか?
「結果論としてそればかりが集まったもの」という部分の「それ」とは音楽コンテンツの事ではありません、「管理著作物(JASRACの管理する音楽著作物)」です。
mp3などの音声データは自作する事も可能でありこれらはJASRACの管理する音楽著作物には該当せず、又CDから作成したデータのみを対象としてもその元の媒体であるCD自体がJASRACの管理する音楽著作物に該当しないCDも多く存在します。
つまり、判決p4の「ユーザの扱う音楽著作物」は「本件サービスを利用するユーザの扱う楽曲の音源のほとんどが被告(JASRAC)の管理する音楽著作物(以下「管理著作物」という。)である。」とありますが、この記述自体が「JASRACの管理する音楽著作物以外の音源データをアップロードできる」という本来の本件サービスの仕組みを「対象となるデータが音楽の著作物が大半を占めることが自明(サービスの前提)である」と異なる結果へ導いている原因では無いかと思われます。
あくまでサービスの仕組みはmp3などの音声データ(JASRACの管理外の音楽著作物を含む)をコンテンツとするストレージサービスであって、JASRACの管理外の音楽著作物のみを扱うストレージサービスではありません。
よって、ユーザには本件サービスに置いてJASRACの管理外の音楽著作物をアップロードする余地があり、本件サービスは一般のストレージサービスのような自由な内容のコンテンツをアップロードできるサービスといえるのではないでしょうか。
(前記コメント内の記事は「本サービスのみに特化した判決」であるかどうかについて言及した記事であって、(判決の妥当性についても僕個人は疑問を持っていますが)記事の内容は判決の内容が妥当であるかどうかとは別の話です。)

blog主を無視して議論するのも気が引けますが、tempさんと冬さんからコメントを頂戴したようなので。

まず、tempさん。

>法解釈と、の間に皆が違和感を感じており、
>そこがどうにもうまく消化できないと言うのが今回の誤解やら行き違いの原因でしょう。
>この違和感を解消していくために、我々が声を上げる必要があるのですが、
>一方で、判決の論理展開も理解できるようにならないと、声を上げても雑音になってしまいます。

おっしゃるとおりだと思います。
私も、「今の著作権法(及びその解釈)があるべき姿である」とは思っていません。

しかしながら、それが「社会規範として成立している」のも事実であり、その現状を改めるには、それを妥当としている人々を説得していく(公の場の意見として過半を占める)ことが必要になります。

そのために必要なのは「煽ること」ではなく、法律面、技術面、実態面を貫いた冷静な意見だと私は思っています。

今回の判決に限って言えば、「著作権の一部が消尽した著作物の複製物の所有者(ユーザー)が、当該複製をAという媒体からBという媒体に、自らが利用するために複製しようとする」行為を支援する者が「権利侵害に相当」と認定されたものであり、これに対して疑問を持つ人々がなすべきことは、
 ・法解釈としては多分正しい
 ・でも社会規範として正しいのか?
 ・ということは、現行法またはその解釈がおかしいのでは?
という論を張ることです。


その端緒が見えたときに、不用意に公衆の面前で煽る人は、どう見ても冷静な議論の障害である、と私は考えます。


次に冬さん。
ご指摘のように、「MYUTAを経由するコンテンツの大半はJASRAC管理」ということを原告(MYUTA)が認めちゃっているので、今回の判決は非常に狭い範囲を対象としています。

したがって、本筋しては、「自作コンテンツ以外アップロード禁止」と主張するサービスが裁判当事者になってもらうのが一番面白いのはおっしゃるとおりです。

ので、個人的には、MYUTAからスピンアウトした人が、
 ・MYUTAのシステムで、
 ・エンコード変換機能は提供せず。
 ・約款上、他人の著作物のアップロードを禁止し、
 ・ダウンロード側の認証をルーズにしてサービスを提供すること
について、権利不存在確認訴訟を起こしたりすると、もの凄く面白いだろうなぁ、と不謹慎なことを考えていたりします。
#論の張り方を間違えなければ「権利侵害とは断定できない」という判決までは得られるでしょうが、「権利不存在」という判決は敵失がないと無理だろうなぁ…。

「「MYUTAを経由するコンテンツの大半はJASRAC管理」ということを原告(MYUTA)が認めちゃっているので、今回の判決は非常に狭い範囲を対象としています」という事ならまぁそういう判決内容であるならそうなのかなと思います。
この件について、実際に以後の著作権関連であったりサーバ管理者についての判決でこれが判例として出るかどうかは結局その時にならないと分からないので、もし今回のような条件下での裁判が以後あるようならその時にこれらの疑問点について検討の上事実に基づく判決を出せばそれでいいのかなと思います。
(コメント内での議論は僕も気が引けるし、僕の考えは大体前記に書いた内容で出尽くした感があるので僕のコメントは以上とさせていただきます。長文乱文失礼いたしました。)

yamashiro

批判ばかりはよくないので、建設的な提案を。
こちらのほうがコメント欄も含めて参考になります。ブログ主さんがコメント1つ1つに丁寧に対応されてますし。
ストレージの利用がなぜ著作権侵害なのか
http://nagablo.seesaa.net/article/42935209.html

alb

エンコード変換機能についてですが
もしこの機能を持つソフトウェアを、ユーザに提供し、サービス提供期間内のみの使用権を付与した場合
これって今回の判決文にある、"電気的に見て頒布の主体"は事業者と言えるのでしょうか?
本件MYUTAのサービスでも、ソフトそのものはサーバーにありますが、処理の主体はユーザ所有の端末の様です。
前回のブログにて、フラッシュメモリ経由では着歌を再生できなかったとありましたが、形式、ビットレート、ファイル容量さえ満たせば大丈夫なようです(未検証ですが)
もし、この変換ソフトそのものを提供したことが悪いとなると、ほとんどの私的録音が違法になってしまいます。
やはり、本サービスにおけるエンコードの主体がMYUTAにあるというのは、納得しがたい所です

Unknown

追記されたようですが、その副作用は、今回の判決によるものではなく、現行法(法解釈)によるものだというのが、たさんの指摘でしょう。

栗原潔

前のエントリーで、
>解釈論の話はさておき、現実的妥当性という観点から見ると...
と書いているように、私は、法解釈のつじつまが合わないと批判しているのではありません。
「た」さんは私がカラオケ法理も理解しておらず高部判事を批判していると思われてるのかもしれませんが、それは事実ではありません。私は高部判事については一言も書いてません。判事を批判(中傷?)してるのは別の場所で書いてる人たちです(それとも、「た」さんは私の教唆犯としての責任を追及しているのでしょうか?)
私の懸念は「自分のCDを自分の携帯電話に自分で複製して自分で聴く」という外見上は私的目的の複製に見える行為が、サービス・プロバイダー側の内部実装により著作権侵害となり得るという判例が出来てしまった(積み上がってしまった)ことの副作用が大きいのではということです。
前エントリーの例でも「本来、私的目的の複製なのに介在するプロバイダー側の内部実装によっては侵害とされ得る」というかなり限定的な例を挙げたつもりです。「ストレージ・サービスはすべて違法」みたいな書き方をしているのはどこか別の場所のお話しです。
「ファイルローグ」事件のように、個々のユーザーが著作権侵害を行っているようなシステムで管理者の責任を追及するためにカラオケ法理を適用するのは妥当だと思います(「録画ネット」事件はやや微妙)が、今回のように、私的複製の範囲内に収まるようにシステム的に担保しているにもかかわらずカラオケ法理を適用されて著作権侵害とされてしまうのはやはり違和感を覚えます。
他のブログでも専門家の方の意見が上がってきているようですが「違和感を覚える」という意見が多いように思えます。たとえば、
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070529
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2007/05/jugement_ed2a.html
http://d.hatena.ne.jp/atsushieno/20070529/p1
逆に「この結果は全く妥当」という意見を実名で述べている方がいれば是非知りたいものです(JASRAC関係者以外で)。

この判決は、いわゆるカラオケ法理というよりは、ファイルローグ事件で示された「行為の内容・性質」をも総合的に考慮したものと思われます。
そして、判決文の6.で認定しているように、裁判所は、この行為は、「ストレージサービス」ではなく、技術的に困難な「携帯用エンコード変換サービス」にあると、判断したものと思われます。
ご指摘のような技術的に容易な、「iPodに無線ブロードバンド機能が搭載されて自宅のiTunesライブラリの曲がどこでも聴けますなんてサービス」が射程内にあると、思量するとは困難と思われます。

栗原潔

本判決が「行為の内容・性質」を考慮したものとするならば、利用者自身が公衆送信権を侵害しているファイルローグのケースと、利用者自身は(少なくとも外部的に見れば)私的目的の複製をしている(しかも、それ以外の目的の複製ができないようシステム的に担保されている)MYUTAのケースが同列に扱われるのは違和感があります。
また、「携帯用エンコード変換サービス」はフリーウェアでも可能であることが判決文中で述べられています。技術的な困難性は携帯への転送部分にあると判断されています(いわゆる技術的制限手段があるのかどうかは不明)。
iPodとのやり取りは、フリーウェアでも一応可能ですが、一般ユーザーが自由に音楽の出し入れをするには技術的困難性があると言ってよいのではないでしょうか?ましてやAppleは製品仕様のオープン化に決して積極的とは言えない会社なので、将来的に無線iPodが出たとするらならばそのI/F仕様は非公開となる可能性が高いと思います。
そういう仮定のもとで、本判決中の解釈を援用すると、仮に自宅のiTunesライブラリと出先のiPodを無線経由聴くというようなサービスが提供されれば(Apple社自身が提供したサービスであっても)複製権・公衆送信権を侵害ということにされてしまいそうな気がします。
あくまでも私見です。建設的反論をお待ちします。

robo

ここで、独り言を吐いてみたかっただけですので、流してください。

今回の件は、「た」さんが仰るように、録画ネットの判例(コレしか知らないもので)からすれば、
複製行為及び公衆送信行為の「主体が誰か」が争点になってしまった時点で、
既にMYUTA側の分が悪いように思えます。

結果論で語るのならば、この争点を異なる点に持っていくことはできなかったのでしょうか?

著作権者(JASRAC側)の主張を認めるのならば、
既にユーザが購入し所有している楽曲(著作物)を携帯電話に転送するサービスの提供者は
著作権料を払わねばならないことになります。この場合、その著作権料の少なくとも一部は、
このサービスのユーザがサービス使用料として負担するものとみなせるので(苦しい展開ですが)、
これはユーザからの著作権料の二重取りであり、法的に認められている私的な複製を阻害するものである、
とかなんとか。

それとも、著作権に基づく差止請求権が存在しないことの確認を求めた時点で、
著作権料うんぬんの話は筋違いと言うことになり、ダメだったのかな。

栗原潔

JASRACから著作権侵害を指摘されて、それに対抗するための訴訟なので、侵害行為があるかどうか、すなわち、複製・公衆送信の主体が誰になるかが争点になるのはしょうがないでしょう。
ただ、MYUTA側の法廷戦略的にはMYUTAのサービスが社会規範上真っ当なものであることをもっと主張しておけば、判事の心証形成に影響があったかもしれません。
「まねきTV事件」でも「ロケフリは一般的に普及しており、家電大賞も受賞した真っ当な製品」との主張がなされており、判事の心証形成に影響した可能性があります。

名無し

今日Amazon cloud playerが日本でも開始しましたが日本版にはアップロード機能がありません、それに関連して検索しているうちにここを訪れましたが…

Nasneの制限、itunes matchの状況と言い 
5年前にここに書かれた通りの結果になってますね。残念です。

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