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 引き続きガートナージャパンのSYMPOSIUM ITxpo 2009で出席したセミナーからメモを。3日目の朝一番でエンタープライズサーチの導入事例を聞いた。

エンタープライズサーチの導入目的

  • 部門ごとのばらばらのシステムで管理していたCS・品質情報の統合と活用をはかりたい
  • システム統合を行うとお金がかかるがサーチで解決できないか
  • ドキュメントではなく情報を持っている人に着目したKnow-Whoをやりたかった

エンタープライズサーチ製品の選定

  • 最初は5社製品をピックアップ。法外な値段の製品やアクセス権を反映できないような製品を早々に落として2製品に絞込み最終選考
  • 最終的にはSMART/Insight。最後まで残った別の製品より高い(※)値段だったが、比較検討した各要件の項目に×がひとつも無く、できないことが無いのが決め手になった
  • 各ファイルへのACLが反映できることが選考過程では大きなポイントだった。ただしかしその後の導入で最終的には一部のコンテンツを検索対象外としただけで、ACLの反映機能はあまり使っていない

導入に際して

  • 最終的な導入に1年半もかかった。これは途中に製品のメジャーバージョンアップがあったため<-(吉川コメント)エンタープライズサーチ導入として1年半はかかりすぎ。3ヶ月から6ヶ月、大規模SIを伴う場合でも1年以内に構築が終わるのが普通で、これだけ長期にわたったというのは珍しい
  • 導入にあたって前述のACLを反映しない決断をするのに社内の反発が強く、対応が大変だった。最終的には「会社の知的資産は会社の資産であり共有・公開すべき」という考え方で押し切った(但し個人情報は別)

導入効果

  • システムごとに検索機能を追加開発する冗長な作業がなくなり無駄が省けた
  • CS・品質情報の関連システムは統合せずにそのまま運用継続し問題なし
  • 経営には導入コストはインフラ構築のための必要なコストとして説明。良くある「従業員一人当たりに一日10分検索時間が短縮されて・・・」うんぬんの積み上げはナンセンス

課題・問題点

  • イントラネット上の一部のWebページの階層が深すぎて(30階層以上)クローラーがたどりつかないというトラブルが発生。15階層でギブアップとなったために中間URLを別コンテンツとして分割して対応した
  • (吉川コメント)ここは話者も言っていたが、そもそも30階層以上のコンテンツが社内にあることが問題。ユーザが直感的に情報のありかを判断できるレベルを超えており、情報整理を行うのが本筋

以下Q&A

  • Q:30階層という膨大な情報を今後整理していくためになにか工夫していることは?
  • A:情報作成時に(登録者が)タグをつけて分類するのが重要ではないかと思う->(吉川コメント)登録段階でキーワードが付与しきれるのなら過去に何とかなったはずで、むしろ後からユーザが皆でタグをつけるソーシャルタギングを活用するほうが良いと思われ
  • Q:エンタープライズサーチによって返される検索結果は、時には経営判断に繋がる為、検索で出てきた結果の内容の信頼性は重要だが何か気を配っているか?
  • A:サーチはあくまで思考補助ツールとして捉えている。結果をそのまま使うのではなく最後は検索者が判断をしてから使うので信頼性はそんなに気にしなくても良いのではないか->(吉川コメント)ここはまさにそのとおり。そもそも重要な経営判断をするような偉い人がエンタープライズサーチ直接使うことは少ないだろうw
  • Q:アクセス権の管理で気にしたことは?
  • A:検索対象とするファイルサーバを限定し検索できないサーバを残している。特に最初は管理がきちんと出来ている一部のサーバから始めて徐々に増やした
  • Q:古い情報のたな卸し(削除など)はやっているか?
  • A:特にやっていない

 いくつか紹介してきたがこれはかなり苦労をしたプロジェクトだったようだ。こうした事例発表では通常良いところとか成功した事しか出さないのが常だが、珍しく駄目な点や苦労した話がたくさんでてきた。これからエンタープライズサーチの導入を検討しているような人は、先達の苦労話を参考してから始めると良い。

 前から何度か書いているが、エンタープライズサーチは確かに便利な飛び道具だが準備や情報整理なくしてはその効果は半減する。

※(追記)価格の部分について当初xxx倍と記述していましたが私の聞き間違いでしたので訂正いたしました。関係者の皆様大変申し訳ありませんでした

===過去のサーチ&情報整理関連エントリー


yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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