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 ある食品を萌え化する企画書を書くためにインターネットでいろいろ検索していたところ昨年度に財団法人中部産業活性化センターというところが出した「観光におけるサブカルチャーコンテンツの活用に関する調査研究」というレポートを発見した。レポートにはアキバにおけるサブカルチャーを活用した観光振興例をはじめとしてコミケやB-1グランプリ、マンガミュージアム、フィギュアミュージアムなどの事例が調査されており、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院文化資源マネジメント(山村高淑)研究室がまとめている「鷲宮町論考リスト」と並んで萌えおこしを調べるには書かせない資料といえる。

 さてこの調査研究レポートでは第4章(レポートの60P以降)で、サブカルチャーコンテンツを活用した名古屋の観光振興策として以下のいくつかの施策を提唱している。その施策を列挙するとともに興味深い部分を補記してみる。

1. サブカルチャーコンテンツを活用した観光振興策
(1)サブカルチャーに関連する観光力の創出
 ①メインカルチャーとサブカルチャーの連携による新たな魅力づくり
 ②コアなファンも満足する「本物」を翻訳できるガイドの必要性
 ③サブカルチャーイベントを核にした関連イベントの育成及び創設
  アニメや映画、ファッション、B級グルメなどのサブカルチャー関連のイベントやキャンペーン、コンテスト、展示会などを新たに創設する。
 ④サブカルチャー関連商品の開発(お土産品など)
 ドアラを凌ぐ名古屋のご当地キャラクターの開発を提案。候補としては名古屋開府400年のマスコットキャラクター「エビザベス」と「はち丸」を挙げている。

(2)情報発信・プロモーションの強化
 ①サブカルチャーのイメージアップ及び意識啓発
 「アニメ検定」や「メイド検定」を参考に、2008年にスタートした名古屋初のご当地検定「なごや四百年時代検定」(通称:なごや検定)に、新たに「サブカルチャー部門」を立ち上げることが重要。
 ②中部のサブカルチャーの魅力のPR強化
 ③観光関連事業者へのサブカルチャー観光資源のPR
 現在海外の旅行会社が先行している外国人向けの文化体験ツアーやコスプレをテーマにした体験ツアー、世界コスプレサミットを見学するツアーなどを国内の旅行会社にも企画して貰いインバウンド型を増やす。

(3)受入体制及び推進体制の構築
 ①案内組織(ガイドボランティア)の設立
 ②関係機関による連絡会議の設立
 ③多言語化による外国人対応
 大学で日本文化を研究している留学生をガイドにした外国人向けの秋葉原オタク体験ツアーを参考にした名古屋版メニューの開発

 そして調査研究レポートの最後には、サブカルチャーコンテンツを活用した名古屋観光として6つのモデルコースが設計・紹介されている。開発された観光コースは大須商店街の店舗マップとあわせて大須サブカルチャーマップというパンフレットに纏められており、こちらも中部産業活性化センターのページからダウンロードできる。
 残念ながらこのマップにはつい最近話題になり今後名古屋におけるリナカフェとなる事が期待されているCafeどえりゃあはまだ載っていないが、もし今後名古屋を訪問する予定がある方はぜひこのモデルコースを試して感想を聞かせて頂きたい。

#長引く不況のなか、こういう楽しい地域振興策があっても良いじゃないか。

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yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

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