« 2009年4月22日

2009年4月23日の投稿

2009年4月25日 »

 昨日に続きOracle OpenWorld Tokyo 2009に終日参加している。今日はブロガーズブリーフィングでもお薦めされた出光興産とNTTドコモのSOA導入事例に関するパネルディスカッションを聞いてみた。

 SOAという言葉もいろんな定義があるがこれはEAI/ESB関連製品の導入事例の話だった。全体的にパネラーの歯に衣着せない本音トークに痺れて、聞いているこちらのほうが司会をやっているオラクル社員を気の毒に感じるセッションだった(笑)。
 パネラーのお二人とも終始「SOAの実現に際してツールはあくまでツールであってユーザが何をしたいかであるとかが重要で、実はツールは何でも良い」ということを強調していた。別にSOAの導入に限ったことではないが、結局は最初のコンセプトやアーキテクチャー作りが最も重要でその次が組織内でのコンセンサンスやオーソライズ、最後がツールということだ。

 出光興産の澤井さんが経験から語っていらっしゃったがSOA導入後はやはりシステム連携にオーバーヘッドがかかって重たくなったという。その際にあるベンダーからパフォーマンス改善のために特定のアプリケーション間をP2Pで結んで連携して高速化を図る案が提案されたが当然却下したそうだ。
 細部にこだわり枝葉を改善するために全体のコンセプトを曲げてはいけない。ベンダーは(儲けようとして)個別最適を実現するソリューションを提案してくるが、コンセプトとの合致度などをしっかりと吟味するのはユーザ側の重要な仕事だと言う。おっしゃるっとおりだ。

 もうひとつ印象に残ったのは、司会からの「ではなぜオラクル製品(導入当時はBEA製品)を選んだのですか?」という質問に対する澤井さんの回答

 当時はSOAというコンセプトも製品もまだ始まったばかりだったので、将来どれが勝ち組になるのかも判らなかった。だから後から乗り換えられるように製品やベンダーにロックされないように、シンプルで余計な機能のついていない製品を選択した。

 揺籃期にある製品を選択する場合にはいくつかを比較してもっとも多機能のものを進んでいて優れている製品として選ぶ人が多数派ではないだろうか。そうした製品のほうが競争を勝ち抜いて生き残りやすいと思いがちだ。ただそれはあくまで確率論の話であって保証は無い。特にIT業界ではいくら製品が優れていてもそれを提供している会社ごと買収になることも多い。
 それならば後からスイッチすることを踏まえて最初にシンプルなものを選ぶというやり方は、かなり合理的で賢いやり方だと言えよう。

yoi

« 2009年4月22日

2009年4月23日の投稿

2009年4月25日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP


プロフィール

吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

詳しいプロフィール

カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
knowledge
カテゴリー

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


Special

- PR -
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ