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 Googleが新ブラウザChromeを出したというのがこのところ話題になっている。私自身はこれに乗り遅れてしまって未だChromeは試していない。ネットを見ているとそれなりの人気になっているようだ。

 ブラウザと言えば、一昔前にはブラウザ戦争なんて言われたシェア争奪戦があった。その後しばらくはIEの天下が続いていたけど、ここへ来てFireFoxやSafariのバージョンアップ、そしてChorome等の新ブラウザの登場でブラウザ戦争再燃とか騒がれている。
 ユーザにとって選択肢が増えるのは良いことだと思う。インターフェースの分野はもともと個人の好みが激しい分野だから、いろんなツールがあってそれを選択できるにこしたことは無い。

 ただ私がちょっと気にしているのは、これでまたシステム開発コストが上がってしまうことだ。ここしばらくの間はブラウザと言えばIEだったので、特に社内業務向けのWebアプリケーションの場合だとIEだけ考慮すればOKという感じで、比較的稼働環境のテスト負荷が小さく押さえられる時期が続いていた。ブラウザ戦争が勃発すると、このWebアプリケーションの開発時のテスト工数がまた増えてしまうような気がするのだ。テストの工数は単純に組み合わせの数に比例するので対象ブラウザが増える分コストも膨らむ。しかしこの稼働環境のテストのコストって結局「ちゃんと動く」という基本部分のためのコストであって幾ら増えても「業務の効率化」とか「付加価値の増大」にはつながらない。正直企業競争力的にはまったく無駄なコストだ。

 まあ実際には、大企業ではブラウザの種類やバージョンは標準化されていて他のブラウザはインストールしてはいけないとかサポート対象外になっているので、社内向けのシステムの場合は今はまだIE(またはFireFox)のみの対応で済むかもしれない。
 しかしブラウザ戦争再燃で盛り上がると当然ブラウザのバージョンアップ周期が短くなるし、競争のための様々な(余計な)機能拡張なんかも積極的に行われる。実際、マイクロソフトはイキナリIE8のβ版を出してきた。IE6からIE7へは5年間という猶予があったのに、今度は2年しかない。現実にはブラウザのバージョンだけでなくOSとの組み合わせも考慮しないといけないことを考えると今後はほぼ毎年何らかの新環境への対応を迫らされるということになる。一応今後は独自方式ではなくWeb標準を重視すると表明しているが、それでも最低限のテストは避けられない{参考記事:「今後はWeb標準に準拠してください」、マイクロソフト

 そして社外向けのサービスになると更に大変だ。一般消費者向けのサービスでは、各ブラウザのユーザが一定のシェアに達したらそれを無視するわけにはいかない。情報配信やコミュニケーション系のサービスならリリース前のブラウザ別の細かいテストは省略してユーザからの指摘の都度に修正するような開き直りも出来るだろうが、お金の関係するシビアなシステムだとそうはいかなそうだ。そしてこれはiPhoneなどのPDAが普及しクロスデバイス化していく流れもあって避けられそうにない。

 最近チョロメ(Chrome)騒ぎを見ていてユーザの選択肢が増えるのは良いけど、あんまり無駄な作業とコストが増えるのはどうなのかなぁとかこんな事を感じていた。Web製作業界にとってはその分仕事が増えるから良いという考えかたもありそうではあるけど。

yoi

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吉川 日出行

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