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 先日のニコニコ大会議で起きた事件、通称「ハゲのおっさん問題」について今更ながら書く。たいした内容ではないが自分としてあの事件について思った事を記録しておくために、ここに文章化しておきたいと思ったのだ。

 当日私はニコニコ大会議のその場に居合わせて、例の「ハゲww」という書き込みをリアルで見ていた。でその瞬間は正直「それはまずいだろう」とは思ったものの会場内の他の参加者と共にあれをネタというかイジリとしてそのまま受け入れて楽しんでもいた。発言者の反応も含めて、あまり褒められた行為では無いにしても、娯楽としては面白いとは思ってしまったのだ。
 その後、この問題はネットで大きな議論を呼んだが、それらの意見を読んでいて、確かに当日会場にいなくて一歩引いた会場の外や後から見た人には、あの行動は不道徳に見えたのも無理からぬと思う。正直私も会場に参加していなかったら、拒否反応を示していたかもしれないと思う。

 で、職業柄、結局こういう事件から何を考えるかというと再発防止というか、ニコニコ大会議のようなコミュニケーションスタイルを取った場合に、運営側が考慮すべき事項とか対策を考えてしまう。今のところ私が思いついた対策は2つ、

  • 一般人の顔の写る質疑応答部分は、画像を写さず音声だけの配信にする
  • 会議の参加者には、事前(あるいは入場時)に会場内撮影で顔が写りそれに場合によっては他者からのコメントがつくことを説明し、了承を得ておく

 ということになるだろう。

 さてここからは、私のメモ書き。

 しかしこの事件って以前にお笑い芸人が必死にマラソンを走っている姿を、同僚の芸人達が「キモイ」と評して、視聴者から非難を浴びた事件に似ているよう に思う。多分、彼らはその瞬間いつものノリでつっこみを入れただけなのだろうが、当然そのノリは視聴者全員とは共有できていないので、不快に思ったり批判 をする人がでてくる。

 こういうことを防ぐために、芸人達は彼らなりにある程度のルールを持っていて、さらにそれを日々ライブなどでいろんなネタを試しながら観客の反応を見て微修正していっているのだと思う。ここまでは「笑い」にとってもらえる、この表現だと「マズい」とか、そういうのを経験知として持っている。
 放送局も同じように、永年の運営ノウハウからルールを定め、そのルールに抵触する場合そのシーンをカットしたり注釈を入れたりする。

 そう、こうしたノウハウやリテラシーは昔からあるところはあったのだ。TVや舞台の場では、演者と観客が明確に別れていた。ところがニコニコ大会議のような新しいメディアの形態になるとその境界が不明確だ。誰でもいつでも演者になれる。演者と観客の立場は瞬間瞬間でもの凄い速さで切り替わっていく。ときにはその場に居合わせないコメントを書く人というのまでが演者になりうる。

 これはやはりパラダイムシフトだと思った方が良いだろう。そしてこの新しいメディアにあわせてまた新しいリテラシーが必要になると思う。その昔、匿名掲示板が出来ていろいろな事件が起きた時も、ブログが流行って炎上が問題視されたときにも、我々は個々の事件からいろんな示唆を得ながら、そのメディアとの付き合い方だとかリテラシーを学びそして構築して来た。今また、そういう事が求められているのだとそう思っている。

 今までも同じだったのかもしれないが、今回はたまたま自分もその瞬間に直接対峙していたと言うことで、より具体的にこの流れを感じることができた。そういう意味でも貴重な体験と示唆に富む事件だったと思っている。

yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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