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 7月14日に経済産業省から「情報処理実態調査の結果について」という発表がされている(報告書のダウンロードはここから

 今回の調査結果報告書には、昨今注目を浴びているSaaSに関してのいくつかの細かい項目があり、なかなかに興味深い結果が出ているので以下に引用し紹介したい。

 まず、平成18年度のSaaSの利用企業(SaaS関連費用の発生した企業)は、6.6%だったそうである(55ページ)。この数字が高いか低いかは人によって見方が異なるのだろうが私は思ったより高いと感じた。SaaSの普及の勢いは強まっていると思って良いだろう。

 面白いのはこの数字の企業規模別の内訳である(56ページ)。企業規模が大きくなるほどその割合は高くなり、年間での売上規模が10億円以下の企業でのSaaS利用率は4.9%なのに1000億円以上の企業では10.1%と倍以上になる。一部ではSaaSは中小企業向けのソリューションとして期待されているが実態はまだそうではないということだ。
 その次(57ページ)の項目では、SaaS採用企業のほうがSaaS不採用企業よりもわずかながら一人あたりの年間事業収入が高いという結果を述べているが、これは全企業での数字の比較なので鵜呑みにはできない。前述したように大企業での採用が進んでいる事が影響している可能性が高いからだ。売上規模が10億円以下の企業、1000億円以上の企業と区切ってSaaS採用企業とSaaS不採用企業の生産性を比較して見る必要があろう。

 SaaSの利用分野(58ページ)として、「販売」や「財務・会計」が「人事・給与」や「グループウェア、文書管理」よりも上位になっているのは私には意外だった。というのも、SaaSの前身にあたるASPのサービスは登場してもうかなりの時間が経つが、ASPアプリケーションの大半は「グループウェア、文書管理」等の間接系(情報系)の分野だったと記憶しているからだ。また、「人事・給与」は昔からアウトソーシングが進みASPやSaaSモデルに適合しやすい分野だと思っている。ところが今回の調査結果では基幹業務系にあたる「販売」「財務・会計」のほうが上位になっている。
 ふと思って7月2日に更新されたマルチメディア振興センターの「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度の認定企業一覧」を見てみると、確かにトップバッタのセールスフォースをはじめとしてネットde会計やSocia人事/給与/就業・申請ASP(SaaS)といった基幹業務系のASPが一覧の中で目立つようになってきている。アプリが増えてきたので普及したのかその逆かは判らないが、こういう流れとしては確かなようだ。意識を改めたい。

20080718  さて、調査報告書の61ページ以降では、SaaS導入・利用上の課題も分析されているが、63ページにあるSaaSの利用状況別の課題分析が面白い。
 SaaSを使っていない企業では、「既存システムとの連携ができない」「その他」が上位なのに対し、SaaSを利用した企業では「カスタマイズの自由度が低い」「既存システムとの連携ができない」「トータルコストが高い」という項目がより上位だという。少なくともSaaSは安いという謳い文句は嘘だというのはここで証明された。

 SaaSについてはちょうど先日栗原さんがTechTargetに寄稿をされていたように、使う場所と業務を明確にするということに尽きると私も思う。導入までのスピードや利用者拡大そして辞めるという判断をするにはSaaSはとても優れている。他社のベストプラクティスをマネするという面でもだ。
 その反面、データ連係や独自業務への適合性では自社開発にはかなわない。だから他社への競争優位の源泉となるような自社独自のコアプロセスにSaaSを採用してはいけない。そういうプロセスは自社にシステムとSEを置いて綿密に作り込むとともに、いざというときは直ぐに環境変化に対応してプロセスとシステムを修正できるようにしておくべきだと、私は考える。

yoi

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吉川 日出行

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みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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