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 このところあまり話題にならなくなったセカンドライフや仮想空間について自分なりにちょっと振り返ることにした。私自身はセカンドライフは数日間で飽きてしまってそれ以来使っていないしこの分野は専門外ではあるが、ここらで頭の整理をしておこうと思う。セカンドライフが私のいる業界にもたらせてくれた功績や私個人に気づかせてくれたことを一度まとめてみる。

1.「仮想世界」というコンセプト(キーワード)の認知度向上
 セカンドライフの功績としてはこれが一番大きかった。仮想世界という言葉は、この1年で大手新聞に特に解説無く普通に載るようになったし、TVや雑誌などで専門に取り上げるものも出てきた。何にしてもネットワークでのコミュニケーションであるとかリアルでない人間関係について世間の注目を振り向かせると、またいろんな新しいことが起きるんだと言うことは新鮮だった。

2.従来のネットユーザとは異なる層へバーチャル空間の裾野を広げた
 仮想世界的なものはネットワークゲームやコミュニティの中にもあったと思うのだが、これまでのそれに参加していたユーザは基本的に従来のネットワークユーザの一部であった。これに対しセカンドライフは、アーティスト系や高年齢層といった従来ネットにあまり興味を示さなかった層を惹きつけて彼らを取り込んだ。これは1で書いた認知度向上と同じ事かも知れないが、こうして新しい層を巻き込んだことで新しい何かが生まれる素地ができてきたと感じている。
 ただこういう新しい層に魅力的だったのに、必要なPCスペックが高すぎたとか操作性が悪かったというのは矛盾していて失敗だったのだろう。仮想世界は従来のネットユーザと違う層へ訴求しやすいのだから、従来のPCとは違う機械やインターフェースへ力点をおけばよいのではという気づきを与えてくれた。

3.人を留めさせるためには、一定の目的や制約があったほうが良い
 特に日本人には「何でもできる」という自由度が高すぎるのは、逆に限界があって案の定「何でもできる」=「何も出来ない」になるということを再認識させてくれた。
 その場に留まって何かを努力させる為には、「ポイントをためる」「会話をする」などの目的を与える必要がありそうだ。あと居心地が良すぎるのも良し悪しでちょっとした制約があったほうが、かえってそれを乗り越えたときの達成感が演出出来たりして良いのではないかと思ったりもした。
 ちなみにセカンドライフのアバターが日本人好みで無かったのはもしかすると逆に日本人には適当な制約だったのかも知れない。日本人の場合そういうところに、ちまちまと凝る人は多かったはずで、例えば1週間くらいの労力をかければ日本人好みのアバターが出来るくらいの制約だったら、その達成感が人を惹くし、乗り越える人が多数出て羨望を集めたりしたのではないだろうか。

4.大企業ののせ方
 商取引やサービス提供ができるといった説明は企業(の経営者)には判りやすいようだ。企業がリアルワールドで行っていることと同じ事が仮想世界でも出来ますよというのは、確かに具体的イメージを想像がしやすい説明だ。この結果沢山の企業をこちらの世界に引き入れた事もセカンドライフの大きな功績だと思う。
 企業をのせる手法としては学ぶところが多かった。
 ただその反面、やはり今のところユーザはケチだということも再認識した。ネットワーク上のモノは基本はタダであるという認識がユーザの間には根強くこれを乗り越えるにはさらに一工夫が必要だということを認識させてくれた。

 さて最近では仮想世界を盲目的に褒め称えるような報道は減って否定的な報道も増えてきている。これをどう見るか、仮想世界は終わったのか。天の邪鬼な私などは、ここらで底をうってこれからは再浮上では、とかも考えるけど。
 日本でも今年は「ダレットワールド」スクウェア・エニックス メンバーズ バーチャルワールドα版」「ホーム」なんて仮想世界がどんどん出てくるようだし、彼らは当然セカンドライフを見て学んで来るだろうから、同じ失敗は避けるだろうし日本の風土にあわせた新しいアレンジをしてくると思う。
 セカンドライフとリンデンラボはともかくとして、仮想世界に見切りをつけるのはちょっと早すぎると思う。

yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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