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 先週から今週にかけて米国からいくつかの企業買収のニュースが入ってきている。ひとつは、GoogleによるJotSpotの買収。JotSpotはエンタープライズWikiの分野での先駆者であったが、Googleのエンタープライズ部門強化の一環で買収されたらしい。GoogleがWikiをどう料理するのか今後非常に楽しみだ。

 もうひとつは、コンテンツ管理ソフトベンダーのステレントがOracleに4億4000万ドルで買収されたというニュース。このコンテンツ管理ソフトという製品は登場自体はわりと古いのだが、最近イントラネット界隈でもWeb2.0が議論されるのに影響されて企業内コンテンツ管理と名前を変えて最注目されている。既にこの分野では、ドキュメント管理ソフトの雄ドキュメンタムがEMCに買収されて製品統合も順調に進んでいる。またIBMも今年の夏にFileNetを買収した。買収後の動きは今のところは鈍いが、たぶん着々と準備作業をしているのだろう、来年あたりにはIBMからは何か具体的なものが出てくるのではないかと勝手に予想する。

 さて、そういう意味ではOracleのステレント買収は、エンタープライズ分野での残されたもの同士の組み合わせとして当然の帰結だったのかもしれない。私は組み合わせとしては非常に良いものだと思った。Oracleの今の製品群に対してステレントのそれはあまり重複をしない上、むしろ情報系の品揃え的にはこれでフルラインナップが揃いALL-Oracle的なアプローチも可能になるから。しかしながら米国のニュースサイトを見てみるとそんなにバラ色なわけではなく悲観的な報道もある。それらは理由として生い立ちや両者の風土の違いをあげている。
 データベースベンダーの雄のOracleはその支配領域を企業内の構造化データから非構造化データへと拡大することにここ数年躍起になっている。しかし、同じようにOracleが買収したPeopleやSiebelといったERP分野(構造化データに分類される)での市場への浸透や訴求に比べると情報系市場(非構造化データ)ではあまり上手くいっていないようにみえる。ポータルサーバ(Oracle Application Server Portal)しかり、グループウェア(Oracle Collaboration Suite 10g )しかり、サーチエンジン(Oracle Secure Enterprise Search)しかりである。
 私も永年この業界にいるので、同じエンタープライズ分野でも構造化データと非構造化データの分野はぜんぜん違うということは、痛いほど知っている。ステレント出身のアナリストが指摘するように非構造化データを無理やりOracleのデータベースに押し込むようなことをすると失敗しそうだ
 組織風土の差についても確かに壁だ。彼らの顧客にあたる情報システム部門の担当者と付き合うと、基幹系システムの担当と情報系システムの担当ではなにか空気というか風土の違いを感じることもおおい。大雑把に一言で言うなら「石橋を叩いて、入念にテスト」と「とりあえずやってみようか、試行錯誤を繰り返す」ような感じ。開発側ベンダーにも同じことが言えそうだ。古くはIBMによるLotusの買収などこの手の買収は結構先例があるが、どこも風土の融合という面では苦労していると聞く。

 前述したように個人的には良い組み合わせだと思っているので是非Oracleには頑張ってより魅力あるコンテンツ管理ソフトを出して欲しい。

 後は今後のOpenTextの動きには要注意だ。

※このエントリーを書く際に製品の正式名称を調べるために日本オラクルのホームページを見てちょっと驚いた。Oracleでは、Oracle Secure Enterprise Searchはデータベース製品に分類されるようだ。

yoi

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吉川 日出行

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