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2006年11月1日 » |
今朝の日経新聞朝刊のスポーツ面で、前シンクロナイズドスイミングの日本代表ヘッドコーチの井村雅代さんが書いたコラムが「『世界』知り、知らせる」だった。
井村さんは、日本のシンクロナイズドスイミングを弱小時代から世界で優勝するところまで育て、マイナースポーツをメジャーにした方で「勝てる選手の作り方」「優秀な選手を生み出すために仕掛けや仕組み」を世界的レベルで理解されている国内では数少ないすばらしい指導者だと思う。私も自分がアスリートであった現役時代には、井村さんの記事を漁るようによんで、そこから世界に通じる選手になるためのアイデアをひとつでも見つけ出そうと躍起になったものだ。
さて、そんな井村さんの今日のコラムには興味深い一節が、
特に芸術の世界では、国内で評価されず、外国で高評価を得たおかげで、日本でも良さが認められるということがよくある。なぜか日本人は日本人の目を頼りにした評価に信を置かない傾向があるのだ。
同感である。競技ダンスの世界でも同じような現象は結構あって、国内で評価されず無名であった選手が海外の大会である日急に良い成績を取ってそれ以降は国内でも評価が上がった例をいくつも見たことがある。こういうときに私も含めてつくづく日本人は自分に自信を持てない民族なんだと思ったものだ。
さてスポーツの話はこれくらいにして、話をITの分野に移してみる。ITでも、舶来もののコンセプトや欧米で成功した事例のみを持て囃す傾向が日本にはあるのではないだろうか?例えばERP。パッケージを使うことで他社のベストプラクティスを利用するというコンセプトは数年前のERPブームの前からあったもので、実際に当時既に国産の良いパッケージソフトもあったと思う。しかしERPが爆発したのは、欧米のある企業の成功事例が取り上げられたからだといわれる。これも井村さんが指摘したのと同じ現象ではないだろうか?
しかしながらIT業界では、日本人の特性のもうひとつに、我々のやり方は特殊であるといいたがる島国根性もある。個別具体的な話になると今度は逆に、我々のやり方は違う、日本には日本の商慣習がある、昔からずっと工夫してきたそれは正しい、というような発言が急速に増えるのだ。
別にどちらが正しいとも言わないが、同じ人があるときは欧米信奉あるときは日本の独自性の主張をするのを見ると奇異な感じがする。またこうしたブレが激しくなると、それにいちいち付き合っているとまともなプロジェクト運営はできなくなるしその結果できあがるモノもどっちつかずな使えないものになることが多い。
少なくともある施策をうったり特定のシステムを作るときには、それが終わるまではどちらか一方にスタンスをおき続けて話を進めるべきであろう。ITやケイエイの分野では「『世界』知り、捨てる」ことも時には重要だと思う。
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