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2006年10月23日 » |
先週gooリサーチから「企業内コミュニケーションに関する調査結果」が発表された。ITmediaを始めいくつかの媒体で報道をされたので知っている人も多いと思う。ところがこの調査結果の後半のデータとITmediaの記事のタイトルにあるような「社内SNSが救世主となる」との扱いには若干気になることがある。
アンケート結果を見るとIT活用におけるコミュニケーション及び情報共有における課題としては「誰がどんな情報を持っているかわからない」というのが多数意見となっている。ここまでは予想通りの結果である。このようなニーズがあるから数年前からKnow-Whoというソリューションが注目され、その後のブログの台頭を機に社内ブログによって各社員の自発的な情報発信や備忘録の電子化を行うという期待が高まってきたのだ。ここまでは問題ない。
気になったのは、アンケートの次の質問である社内SNSを活用したい目的の設問。「経営方針などの情報を知る」「業務知識やノウハウの取得」「社内ルールやマニュアル参照」という選択肢が羅列してあるが、これって社内SNSの導入目的として適当なのだろうか?他にも「同じ職種や興味関心を持つ人とのコミュニティにおける情報交換」「業務外目的の情報共有」という選択肢があるが、これらは従来からあるグループウェアのフォーラム機能や社内ブログで出来ることとどう違うのだろうか?
実のところ社内SNSというツールでしか出来ないことはあまりない。社内SNSでだけ出来ることは、同じ興味や目的を持つ人同志がお気に入り機能でつながることとそういったクローズな関係者だけに閉じたコミュニティを簡単に作成できることくらいである。
私だったら経営方針などの情報を知らせる目的なら社長ブログやポータルのトップページの活用を、業務知識やノウハウの取得にはKnow-Whoベースのナレッジデータベースの整備、社内ルールやマニュアル参照の効率化にはそれに特化した専用ツールの導入やエンタープライズサーチを推薦する。「情報が多すぎる」「取捨選択に手間がかかる」という現在の問題を解決するのであれば、パーソナライズ機能を持ったポータルやエンタープライズサーチのほうが優れている。
ツールとしての機能が貧弱で完成度もまだまだな今の社内SNSツールにグループウェアを始めとした情報共有基盤のポジションを期待するのは危険すぎる。社内SNSは安価なグループウェアではなく、特定の課題を解決するためのツールの一つに過ぎない。これまでのツールを置き換えるものではなく補完するものだ。
ただアンケートの設問の最期のほうにある社内SNSの役に立つ機能が「コミュニティの作成」になっていることは無視できない。アングラ的な有志によるクローズなコミュニケーションの場を社員が強く求めている現れである。従来のフォーラムや掲示板の設置基準や設置権限が厳しすぎて柔軟性を欠いているというのが社内SNSを欲する動機になっていそうだ。思い切って今の設置基準や制限を大幅に緩くしてみてはどうだろうか。それだけでも効果はありそうだ。
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