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 最近のWebビジネスのご多分にもれず、SNSもビジネスモデルとして広告モデル以外の模索が続いているようだ。(参考:内田さんのエントリー田中さんのエントリー)そんな中でこの度、NTTマーケティングアクトとエースコックが新しい試みとしてSNS(キャらリア)を使って“はるさめヌードル”と新商品“お米めん”の商品開発を始めている。
 詳しくは、このページに案内がでている(既に募集は締め切り済み)が、今回は新商品(もしかするとテスト商品かもしれない)に関するモニター形式を取っており、モニターに応募すると商品サンプルが郵送されてきて、それに対するアンケートとその商品に対する意見交換をSNS上で行う仕組みだ。

 このようなネットコミュニティを使った商品開発は“顧客知”活用型のナレッジマネジメントとしては代表的な取り組みであり、過去にはホームページ上にコミュニティを作って商品開発で成功した事例もある。他のいくつかのSNS事業者でも同様な試みが既に行われているようで、SNS最大手のmixiでもスポンサー付きの公認コミュニティが既に30ほど開かれて企業が顧客の声を直接集めることが試みられている。
 参考になるデータとしてウィーブ株式会社が行ったSNSに関するアンケート調査の結果には「主催企業のあるオフ会を楽しい(47.9%)、情報がえられる(29.9%)、安心である(29.9%)」というものがあり、SNS参加者側の反応もおおむね良好だ。

 さて話を今回のこの“はるさめヌードル”の試みに戻すが、今回の為に上記に挙げたページにはモニターの規約が掲示されていた。こういった新しい試みでは予期できないトラブルが発生する可能性もありそういう意味でどのような規約を制定しているのか興味を持って読んでみたが、残念ながら今の規約については過去に消費者調査などのアンケートモニター際に使ったものをそのまま焼きなおしたもののようでちょっとがっかりした。 いくつか気になった部分は以下のとおり

  • 「回答内容の著作権」についての条項で「アンケートの回答内容の著作権、選択権、修正・編集件は主催者側に帰属」とありこれは収集したアンケートを活用する企業側としては仕方のないところである。しかしもうひとつのSNS上のコミュニティにおける発言に対する著作権およびそれに類似する規定はない。ちなみにキャらリア本体側の規約にもなさそうだ。
  • 「守秘義務」の部分では、今回の一連の流れの中でモニターが知った情報は本人以外の第三者に漏洩してはならないことになっている。これではSNS上でのコミュニティでの発言に制約がかかってしまいそうな気がする。本人以外ではなくモニター以外にしないと本来の趣旨にそぐわないのでは。

 規約を読んで感じたのだがこのような「守秘義務」を課していることから、今回の試みはあくまで商品の感想収集目的でありSNSを使って口コミで評判を広げていくというCGM的要素は含んでいないようだ。もしCGMも併せて狙うのであれば、今回のモニターに関する意見はSNS(この場合はキャらリア)の日記にだけは書き込みOK、但し事務局から削除要請があった場合は速やかに対処すること、ぐらいの条文が必要かなぁなどと勝手に考えたりもした。

 このあたりいつも言われていることだが、このところのIT技術の発展やSNSの急速な普及に対して、こうした運用規約といった部分での検討やリスク管理はやはり後手に回っているようだ。まあこういった規約などは、数回の試行や小トラブルを経て随時見直し、ブラッシュアップされるものだといえば確かにそうなのだが。

 さて、前述したホームページ上のコミュニティを使った商品開発については、過去には『「消費者参加型商品開発サイト」の幻想 』という識者のコメントもあるが、せっかく新たに踏み出した一歩である。規約の変化と共に今度を見守りたい。

yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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