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 ナレッジマネジメントを仕事にしている限り、社内ブログ・社外ブログを問わず「どれくらいの数のブログが書かれることが普通なのか?」「途中でやめてしまう人はどれくらいの割合なのか」「継続者には傾向があるのか?」といったデータを求められることが多いのだが、あいにくとこれまでのところこういった統計は少ない。ざっと世の中にブログの継続率という面でまとまった統計データがないか探してみたが、見つかったのはちょっと古いが米国のペルセウス社による調査結果で「ブログの3分の2が3日坊主」(日本語)というものくらい。

 そこでこの夏にオルタナティブ・ブログを使って関連データを集める自由研究(?)に取り組んでみたので以下何回かにわけて報告をしてみたい。

 オルタナティブ・ブログの開始は2005年6月、これまでの累計のエントリー数は約4100本、2006年8月末日現在のブロガーは93人である。そして2006年8月に1本でも記事を投稿したブロガーは60人でその投稿数合計は約540本であった。全ブロガーに対するアクティブブロガー(=1ヶ月に1つ以上記事を投稿したブロガー)の割合は、64.5%ということになりアクティブブロガーの月間での平均投稿数は9.0本ということになる。
 この数字が高いのか低いのか?ブログの投稿数に関するデータとしては、今年の春にNEC総研が発表したデータがあるが、これによると

ブログのエントリーは、8割以上が週に1回以上更新している。7割が週に2回以上の更新し、毎日更新する人も2割以上いる。

 とのことである。オルタナティブ・ブログの場合3分の1が週に1回の投稿で残りの3分の1が週2回以上の投稿ということになる。先のNEC総研のデータに比較するとかなり低い数字になる。非アクティブなブロガーを除いた比率でも週2回以上の投稿が5割、毎日投稿しているブロガーは約1割であり、匿名ブログに比べると実名ブログの場合投稿数が少なくなる傾向がうかがえる。

Graph1 さてNEC総研のデータはあくまで匿名ブログを含む一般的ブロガーのものだということなので、他に実名ブログという面でベンチーマーク対象となるものは無いものかと探してみた。この分野ではITMediaと同分野にCNETの読者ブログがあり一旦はそちらとの比較を考えてみたのだが、あいにくとこちらでは実名と匿名が混在している。そこでより実名の割合の高い産経新聞社の「イザ!」の記者ブログを比較対象としてみた。
 こちらの2006年8月のアクティブ記者数は45名で割合は72.6%、彼らの平均の投稿数は14.1本である。ただし「イザ!」には1人で月間に150を超える投稿を行う記者が1人いらっしゃるのでこの方を除くと平均投稿数は10.9本となる。「イザ!」は記者数が62名と固定でオープン後に投稿数は減少傾向、オルタナティブ・ブログのほうには新しいブロガーが毎月加入しながら投稿数は増加傾向にあるが、2つの数字が10に近いところに収束しつつあるのは実に興味深い。実名ブログの場合の月間の投稿数の目安になりそうである。

 さて今回は結局投稿数の分析に終始してしまったが、次回はそもそもの興味であった“実名ブログにおける継続率”について分析を行ってみたい。

※ちなみに今回の分析は、すべて私が個人的に行ったものである。したがって分析用の元データは基本的に一般読者が入手できるものとまったく同じである。事務局からデータ提供を受けたりしたのではなくホームページを見ながら手作業でカウントアップしてEXCELに入力して分析したものである。したがってカウントミスなどによって数値にいくつか間違いや誤差がある可能性があることについてはご了承いただきたい。 

yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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