村上福之の「ネットとケータイと俺様」:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 村上福之の「ネットとケータイと俺様」

ロスジェネ彼女無しダメ人間がネットとケータイについてブログを書いたりします。

« 2010年7月18日

2010年7月30日の投稿

2010年8月18日 »

電子書籍業界の俺様の「あてにならない」予言を書いてみる。当たらないと思う。どうでもいい話です。本当にどうでもいい。ネカフェ(渋谷バグース)で隣のイビキがうるさくて眠れないのでムシャクシャして書いた。


●電子書籍の未来は地獄の出版印刷貧乏社会になるだろう。
●出版数は増えるが市場規模はもっともっと落ち込むだろう。
●ユーザが勝手に作った自炊PDFやePUB形式の書籍がネット上に出回り今のマジコンのような状況になるだろう。
●物書きは物書きだけでメシが食えないことも増えるだろう。
●一部のジャーナリストが大騒ぎするほど急速に普及はしないだろう。
●紙の本も出版社も無くならないだろう。




●電子書籍の未来は地獄の出版印刷貧乏社会になるだろう:

結論から言うと、電子書籍は、ユーザにはメリット満載だが、コンテンツ作っている方はどんどん貧乏になるモデルだ。デジタル化の歴史は低価格化の運命から逃れられないからだ。既存コンテンツを作っている人にとって電子書籍は大きな長期的ビジネスチャンスは無いだろう。

普及すればするほど、シンドイ出版社や作家が増えて、10年後には、大手出版社のどれかが中国に買われて、中国人によってキャラクター版権がアメリカに転売される日も来るのでは無いかと危惧している。

そして、何年かすると、公園で「俺、実はXX誌の編集長やってたんだぜ」と過去のむなしい栄光を語りながら炊き出しの列を並ぶホームレスが出てくるだろう。そして、それより多い印刷工場の元社長と元従業員もその後ろに並んでいるだろう。

特にKindleモデルは垂直統合的すぎて、メリットを享受できるステークホルダーは圧倒的に少ない。まだケータイコミックの方が業界の(不毛な)水平展開があったがそれも無い。Amazonのサイトでアップして、Amazonのサイトで売って、Amazonのデバイスで表示したら、結局、誰も儲からない。ほっといたら、疲弊してみんな貧乏になるモデルだ。とてもじゃないが、出版社のデスクや編集長の現在の給料をキープできないだろう。

音楽のデジタル化より書籍のデジタル化の方がタチが悪い。理由は音楽業界よりも出版業界の方が関わっている人数が圧倒的に多い上にツブシがきかない人種が多いから、今後10年でポイされる人がたくさん出てきて、ホームレスになる人も多いだろう。

そういう意味では日本独自のガラパゴス電子書籍フォーマットは予防線であり、水平展開をするのはビジネスとして正しいかもしれない。iBookのオファーもKindleのオファーも蹴ってしまう日本の出版業界もどうかと思ったが我が身が大事なので仕方が無いだろう。iBookのメニューに英語も中国語もフランス語もイタリア語もあるのに日本語が無いは悲しいけど仕方が無い。出版社じゃなくて印刷屋が電子書籍の音頭を取ろうとするのもよく分かる。電子書籍で真っ先にゾンビになるのは彼らだから先に手を打ったんだと思う。

ソニーもシャープもパナソニックもSDアソシエーションも電子書籍のフォーマットを90年代から何度も提案して、みんなでお金出してイニシアチブジャパンな感じでゴーだったのに、いつの間にか、ナントカキャピタルばっかりでアレな感じになって久しくなって、黒船が来てから、俺たちの食いブチが無くなるから、アソシエーションを組んで今からフォーマットを作ってガンバルゾーって言う人たちもなんかコッケイだ。鳥山明が「今からアラレちゃん2を書きます」みたいな、そんな感じ。

そんな理由でフォーマットを策定するビジョン無きテクノロジーが悲しいが、「便利なテクノロジーとグローバル化が雇用をブッ壊す歴史」は僕らロスジェネが痛いほど知っているのでなんともいえない。

しかし、どちらにしても、出版業界の人が六本木で豪遊できた80年代のような事は電子書籍時代には来ないと思う。



●出版の市場規模はもっともっと落ち込むだろう:

もしも、電子書籍が普及したら、出版の市場規模はもっともっと落ち込むだろう。一方、出版数は増えるだろう。ここ10年、デジタル化して単価と業界市場規模と利益が上がったコンテンツはひとつも無い。VHSのビデオは昔1.4万円したが、今はDVDは新作でも3千から4千円だし、ネットのオンデマンドは300円。CDのシングルは1,000円だったが、着うたは315円。単価が下がって市場規模も下がった。なのに業界関係者の数は増えた。電子書籍もそうなるだろう。現在、紙とほぼ同じ価格で電子書籍が売られているが、いつかどこかがそのルールを潰すだろう。電子書籍は参入障壁を下げるが、既存の出版社のビジネスチャンスではないだろう。



●ユーザが勝手に作った自炊PDFやePUB形式の書籍が出回るだろう:

CDが「着うた」やMP3になってユーザがシリコンデバイスで音楽を聴くことに慣れ、ユーザがリッピングしたMP3が出回り、数は増えたが、結局市場規模が小さくなった。10万枚売れるとシングルチャート確実1位という異常な事態だ。同様に、CDが紙と同じポジションになり、mp3がPDFに変わるだけだろう。ユーザがデジタルに慣れるとコンテンツの価値は下がるのは自明の理だろう。

「もし女子高生がドラッカーのマネジメントを読んだら.pdf」など、[読みたい本の名前+.pdf]でググると誰かがアップしたpdfにヒットする日が来るだろう。今の音楽も、残念ながら、そうなってる。

iPadを買ってから、本はトリアエズ自炊してpdfにしている。それで、知り合いから「あの本貸してよ」と言われてもpdfしかないことがある。うっかりpdfにしたベストセラーなんか貸してしまうと、又貸しで出回ってしまいそうだ。
そんなわけでiPadが書籍のマジコン化している側面も出てくるかもしれない。



●物書きは物書きだけでメシが食えないことも増えるだろう:
ミュージシャンがCDや着うたでメシが食えなくなったが、ビジネスモデルが変化した部分もある。実は、CDが売れなくなったが、ライブの回数は圧倒的に増えている。そのため、グッズやライブ活動の収入比率が増えたミュージシャンが多い。デジタルでのサウンドが流通すればするほど、ライブやコンサートというリアルで音楽を聴く機会は意図的に増やされている。
同様に物書きも講演会や舞台やテレビやネットや映画化やアニメ化など、別のメディアやリアルと融合して、シナジーを出さないといけなくなるだろう。出版のハードルが低くなっていけばいくほど、書籍のポジションはトリガー化する。勝間和代がいい例だと思う。ただ、残念ながら彼女の本が売れなくなってきたのも事実だが、本が売れなくても他に食いぶちがいっぱいある。

どちらにしろ、そのうち、物書きでも、ビジュアルとトークが必要になるかもしれない。



●現状では一部のジャーナリストが大騒ぎするほど急速に普及はしない:

ITmediaとか読んでいる僕らのような「ガジェット好きオッサン」が電子書籍端末を買うのは予想できることだ。しかし、そのオッサンが嫁にも子供にもそのガジェットを一人一台づつ買い与えられるかどうかって言われると、「家庭内の財務大臣」が許さないパターンも多いだろう。特にiPadを家族全員に買うほどの余裕がある家庭は日本で多くないので、現在の価格ではiPadは電子書籍端末のメインストリームにはならないだろう。貧困帝国ニッポンではコンビニ強盗で4万円盗む奴がいるのに、電子書籍端末で5万円×(家族の人数分)払うなんてありえない。

今度のKindleがジャスト普及プライスなんだが、おじーちゃんたちが、Kindleフォーマットに対応してくれるとは思えない。誰かがKindle SDKで日本のガラパゴス電子書籍ビューワを作るかもしれない。

さらに紙の本は売れないと「いろいろと業界的に困る人」が多いので、その抵抗勢力が早急に解決できるように思えない。



●紙の本も出版社も無くならないだろう。:

紙の本を買い求めるユーザも多いだろう。また、低価格な電子書籍端末が出て、かつ、それが普及するまでまだまだ時間がかかるだろう。しばらくは、電子書籍は紙のユーザインタフェイスを超えることはできない。
出版社は無くならないだろう。セルフパブリッシングとかナントカで著者が自分でアップロードして本を売れば出版社はいらないというが、成功する著者は少ないだろう。もともとネームバリューがある人は成功するが、そうでない人は成功しない確率が高いだろう。
物を作るのと売るのは完全に別の作業と才能が必要で両方を兼ねそろえることは難しいだろう。
一方、セルフパブリッシャーのために、そのあたりを出版社の代わりにコンサルティングするスモールビジネスは出てくるだろう。本は書いただけで売れる商品ではないからだ。


●僕個人の意見:

ユーザーとして電子書籍は期待しているけど、ネットの端隅でメシくっている人間として電子書籍は全く期待していない。儲かりそうに無いから。日本の電子書籍はキーな所では、おっちゃんやおじーちゃんばっかり出てきて、ワクワクしないのは、どうしてなんだろう?

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むらかみ ふくゆき

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プロフィール

村上 福之

村上 福之

株式会社クレイジーワークス、代表取締役 総裁。
ケータイを中心としたソリューションとシステム開発会社を運営。得意なことは空気を読まない発言。苦手なものは人付き合い。
休日は会う人がいないので、一日ネットをして過ごし、ブログなどで「死にたい」などを連発する優雅でセレブな休日をすごす。

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