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 7月15日(日曜日)に、このようなイベントに参加してきました:

神戸女学院大学大学院「ジョブズの世界を訳す」
「スティーブジョブズ」(講談社刊)翻訳者で、神戸女学院大学大学院の非常勤講師でもある井口耕二さんによる講演と、そのあとにパネルディスカッションがあり、わたしはそのパネラーの一人として呼ばれて、いろいろと話をしてきました。会場は、神戸女学院大学。歴史あるあこがれのキャンパス。

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 井口さんの話は、この書籍の翻訳がいかに尋常ではなかったかというエピソードが満載。去年3月に公式伝記が出るという話をネットで知り、ぜひ翻訳を担当したいと思ったそうです。通常、版権会社が決まった時点で翻訳者も決まっていることが多いのですが、いろいろつてを使い、どこかがとったという情報を得ました。それが講談社と判明。講談社の別部署で書籍翻訳を担当していたので担当に話をつないでもらいました。

 井口さんはジョブズ本、ウォズ本で実績にある人なので、翻訳者候補リストにはすでに入っており、最終的に2人まで絞られた状態で編集者と面談。スケジュールを計算してその場で決定。実際はその後でも苦労するわけですが……。

 実際に翻訳にとりかかってもたいへんな作業は続きます。公式伝記の原文はコピー防止つき1部しか送られないのですが、なんとか頼み込んで3部もらった。幸いコピー防止はかかっていなかったため、OCRで読み込んで翻訳の効率を上げることができたそうです。

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 さらに、翻訳があがったデータは契約上ネットでのやり取りが禁止されているため、編集にはUSBメモリを使った手渡しだそうで。いろいろと特例なんですね。

 このあと、次々に増えるページ数、スケジュールの前倒し、そしてジョブズ危篤の報……。そんな中も井口さんは翻訳をひたすらペースを上げて続けます。なんと通常の3倍のスピード。もちろんクオリティをしっかり維持した状態でです。それでもこの数カ月に及ぶ過酷な翻訳仕事は体に変調をきたすほどで、いまだに本調子ではないとか。100万部を超えるベストセラー実現の背景にはそのような苦労もあるのです。

 さて、この神戸女学院大学は、Liberal Arts and Sciencesというのがモットーとなっています。どこかで聞いたことがありませんか? そう、ジョブズが示した、「リベラルアーツとテクノロジーの交差するところ」とほぼ同じ。そういう学校なんですね。

 パネルディスカッションではそのへんの話題にも触れました。ジョブズが在籍したリード大学がリベラルアーツの学校であったこと、そこで学んだフォント、カリグラフィがのちのMacintoshのフォント技術として培われたこと。ジョブズの大ファンだという、神戸女学院大学文学部准教授である中村昌弘さんが解説。通訳がご担当。スタンフォードスピーチを、授業でも使っているそうです。マイクの関係で本番ではやらなかったのですが、スタンフォードスピーチを同時通訳する、という技をちょこっと見せてもらいました。

 わたしは、その話を引き継いで、Appleはカルチャーとテクノロジーを交差させた技術を提供してきたと主張。DTP、DTM。Appleは音楽とテクノロジーを結びつけることで大きな貢献をした。ビートルズに次ぐ、Decadeを代表するアーティストがジョブズであり、Appleだった。

 ジョブズ伝記本の31章「ミュージックマン」の一節をピックアップ。ジョブズがビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーレバー」の制作過程を示すさまざまなテイクの海賊版を好きで、そのやり方を参考にしている。「みんな完璧主義者で、とにかく何度も何度もやり直すんだ」「何度でもやり直し、少しずつ完璧なものにしていった」「アップルでの物作りも、同じような方法を取るころが多い」と、自ら「魔法」の背景を解説している。

 ジョン・レノンが自分の声を嫌っていて、なんとかいい声にしてもらおうと工夫を凝らしたり、プロデューサーやエンジニアに頼んだりするのと、ジョブズのやり方はとても似ている、といったことを話しました。

 ちゃんとまとめようと思ったのですが、既に同様のことをうまく書いてくれているブログがあったので、そちらを読んでください。

スティーブ・ジョブズが愛した音楽/ビートルズ

 ちなみに、ここで取り上げられているジェフ・エメリックの「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実 」はぼくの友人である奥田祐士が訳したものです。

 で、パネルの中で、アートをテクノロジーで支援するひとつの例として、GarageBandを披露。この曲を再生してみせました。

 ジョブズは、このiPadだけで音楽を作ることができる、そんなデバイスとソフトウェアを作り上げたのだ、と。

 ただ、再生するだけでは地味なのか、そのあとにiPhoneでやってみせたPocket Guitarのほうがウケはよかったですねw

 リベラルアーツについては、講演終了後に別室で、神戸女学院大学の飯謙学長、この企画をまとめられた田辺希久子准教授、中村先生、井口先生とともに座談会を。。発行はだいぶ先になりますが、PDFで公開されるそうなので、その時期がきたらお知らせしたいと思います。

 いろいろと刺激されるイベントでした。またこのような機会があれば参加したいと思います。

koya

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松尾 公也

松尾 公也

Mac誕生前夜の1983年業界入り。
PC Magazine、PC WEEK、MacUserなどを経て、IT業界の裏道を歩みつつ現在に至る。

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