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2007年12月6日の投稿

2007年12月7日 »

 前回は楽曲を探して歌詞を作るというところまででした。歌詞の部分はカミサンが並行作業していたので、そのあいだにオケとボーカルを作っていきます。


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 歌のメロディーは普通に作っていくとして、問題になるのはアレンジ。この場合、コードは単純ですが、自分の持つストックだけだと限界があります。そこで、Band-in-a-Boxにお願いしてみました。

 お手軽編曲・作曲ソフトであるBand-in-a-Boxには、MIDIデータを読み込み、それにアレンジスタイルを適用して、仮アレンジを加える機能があります。自分でコードを入力していく方法もありますが、今回は元になるMIDIデータがありましたので、それを読み込ませました。

 Band-in-a-Boxの最新版にはMac版がないため、CrossOver Macを使って「Windows OSなしで」MacBook Pro上で動かしています。ほかのアプリケーションと並行して動作させることができる、GarageBandなどMacネイティブのアプリケーションと負荷なくやりとりさせることが可能なので、アプリケーションが対応している場合にはParallelsよりこのほうが便利。

 今回は幸いなことに、ありもののMIDIデータのおかげでコードを手入力せずにすみ、アレンジスタイルを探すのに時間を使うことが可能になったのです。ちなみに、元MIDIデータのメロディー部分や伴奏部分はすべて削除してあります。

 テンポと雰囲気が一時期のAORっぽいものに確定させて、それをSMFのMIDIファイルに書き出します。これをGarageBandに読み込んだところでBand-in-a-Boxはお役御免.

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 次に、GarageBandの登場です。iLifeに付属して1万円程度のこのソフトは値段からは考えられないくらいの高機能と使いやすさで、わたしとしてはまだLogic Expressに移行する気が起きないほどです。今回も、オーディオファイルとMIDI部分を統合するためのDAW機能はGarageBandに頼りっぱなしでした。後述するように、動画部分はiMovieで作っていますし。

 Band-in-a-BoxのアレンジデータはGarageBandの各トラックに振り分けられて、音色は内蔵のソフト音源に置き換えられます。ざっと聴いてみて、テンポを調整し、確定させます。ふつうはここで各トラックの調整までやるところなんでしょうが、はやいところボーカルを入れたところを聴いてみたいので、いきなりVOCALOID Editorで初音ミクの入力を開始。

 VOCALOID Editorの入力は、MIDIキーボードで入力してそれを読み込む人、VOCALOID Editorのピアノロール画面で直接インプットしていく方法がありますが、わたしは後者。

 ワンコーラス分を入力したら、すぐにWAVE書き出しして、GarageBandにドラッグ&ドロップ。こういう作業ができるのも、ボーカルシンセならでは。ボーカルがある状態でアレンジを進めていくってすごく楽です。といってもBand-in-a-Boxの力を借りているわけですけど。

 もともとのアレンジは、フュージョンっぽいやつだったので、そこからよけいなオカズを抜いて、わりとおとなしめのフレーズをぶったぎり、それのコードパターンをいくつか作った後で配置していきます。ギターとエレピ、ベース、ドラムはそのやり方で。

 生ピとフルートは、ポール・マッカートニーのソロっぽい感じで入れたいと思い、「お墓で眠るおじいさん……」のところで使いました。

 4コーラスで5分40秒と、非常に長い曲なので、だんだん音を重ねていくことにして、ストリング、コーラスを加えていくことに。ストリングスの部分は、あまりでしゃばらないように、けっこう何度も手直ししました。GarageBandのデフォルトのストリングスはアタックが遅くて大編成っぽい感じになるので、パラメータを変更してアタックは強めに、音量は抑え目に、太田裕美初期あたりの雰囲気を出せたらなあと。

 初音ミクは、コーラスをハモらせたときに、とてもいい出来のものがあがります。これは、数パターン作って切り貼り。これも太田裕美(というか、萩田光雄編曲)っぽい感じで、イントロと後ろのほうに。


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 CrossOver Macを使う場合、初音ミクのコントロールには一定の制限がかかります。ピアノロールの下にあるパラメータ表示部分が、リドローした一瞬しか見えないようになっているのです。このため、「初音ミクはすっぴんの方が良い気がする」に沿ったものになっています。

 つまり、パラメータは極力いじらない。タイミングと音長だけは調節する。タイミングはクォンタイズ使ってジャストでもかまわないと思いますが、音長はいじったほうがいい場合がけっこうありますね。

 ここから先は好みなのですが、わたしはビブラートを最も弱いものにして、音を長く伸ばしたときの最後のところだけにかけます。短い音符のときにフルでかけることもありますが、その場合にももっとも弱いもの。ピッチもいじっていません。

 子音を強調するときにVEL(ベロシティ)をいじるときもありますが、その場合にはカーソルがてのひらになる場所(センター)でつかんで上に引き上げるという荒技で乗り切っています。CrossOver Macでしか必要ない技ですけど。

 もう1つ、これは別の曲「ジングルベル」ですが、VOCALOID Editorの2トラック分を使い、それぞれに異なる発音をさせることで疑似的に英語っぽい発音をさせようと苦労しています。たとえば、theであれば、zaとde、sleighのleの部分はuとre、といった具合。発音記号がaeの場合には、aとeをそれぞれのチャンネルで同時に、という荒技を使っています。パラメータをもっと使えれば、OPEとかBRIとかを駆使して近いところまではできるかもしれませんけど。

 こんな苦労も、鏡音リン・レンでしなくてすむのか、ということになるよう、CV02には期待しています。

 とりあえず今回はここまで。次回はたぶん動画投稿関連で。


関連記事:
本当は残酷な「大きな古時計」の続編を初音ミクで:その1


koya

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松尾 公也

松尾 公也

Mac誕生前夜の1983年業界入り。
PC Magazine、PC WEEK、MacUserなどを経て、IT業界の裏道を歩みつつ現在に至る。

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