CloseBox and OpenPod:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) CloseBox and OpenPod

Mac、iPhone、iPod、VOCALOID、DTM、楽器、各種ガジェット、自転車、メディアなどの情報・雑感などなど

« 2007年8月8日

2007年8月9日の投稿

2007年8月10日 »

 自転車で通勤途中、神田川を通るのですが、そこでなつかしいにおいがしてきました。藻のにおいでしょうか。このにおいを嗅いだ一番古い記憶は、幼稚園のころで、故郷で川遊びをしていたときです。藻に足をとられて、おぼれそうになったときです。その場所はこのあたり

 そのときはぜんぜん怖いとは思わなかったのですが、小学校に上がってから父親に聞くと、長崎への原爆投下(Wikipediaの解説)のあとしばらく、この川面は死体で埋まっていたそうです。放射能と爆風を浴びて、最後の水を求めて来た人たちで、浦上川は埋め尽くされていたと。

 その後、自分に関わるさまざまな事実を知ることになります。父親は原爆中心地から2キロメートル以内にいて爆風で吹き飛ばされ馬小屋の中で気を失っていたこと。それが幸いしたかもしれないこと。母親が疎開するまで住んでいた家にいた親戚は即死したこと、祖母の背中にはケロイドがあること。

 現在上映中の「夕凪の街桜の国」には、原爆投下直後の地獄絵図と現在の状態が交錯するシーンが登場するはずです(今度家族で行く予定ですがいまは未見)。原作マンガ(こうの史代)のそのページは震えがくるほどの現実感がありました。

 ここでは被爆者、被曝二世が受けてきた差別などもやわらかく物語られていますが、自分自身、結婚の際には両親が被爆しているということがなにか問題になったりはしないか(杞憂でしたが)、第一子が生まれるときにはなにか先天性の問題が起きるのではないかと実際に見るまでは心配でした。

 わたしは被爆都市に育ったので、原爆投下とその被害に関する十分な教育を受けましたが、東京を含め、それ以外のところでは認識が不足している部分もあるかと思います。ましてやその行為が正当化されている米国においては被害状況はほとんど伝えられていないようです。

 被爆者の声をアーカイブしておくこと、当時の状況をできるだけ再現して後世に伝えていくこともわたしたちの使命のひとつではないかと思います。まずは自分の両親の分から始めなくちゃいけないですね。

 被爆者の生音声アーカイブとしては、「被爆者の声」というサイトが、CD全9枚に及ぶ肉声をWeb上で聴けるようにしてくれています。方言で分かりにくい部分は、文字でも書き起こされています。「被爆者の声を記録する会」代表の伊藤明彦さんが収集された、非常に貴重な記録資料です。ぜひ見て、聴いてください。

 最後にこのブログらしく、iTunesのコンテンツを紹介しておきます。Todd Rundgren率いるUtopiaの1977年作品“RA”から、“Hiroshima”です(iTunesで再生)。米国人にもこういう考えをする人がいることを知り、わたしはかなり救われた気がしました。しかし、この曲をめぐってはファンの中でも論争があったようです。

 もう1つは、iTunes UのMITアーカイブから、“Ground Zero 1945”(iTunesへのリンク)。

 YouTubeにも貴重な映像がいくつかあります。

関連記事:
「久間 防衛相 原爆使用容認発言で辞任」で思う

追記:コメントをいただいた、「被爆者の声」へのリンクを追加しました。

koya

« 2007年8月8日

2007年8月9日の投稿

2007年8月10日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

松尾 公也

松尾 公也

Mac誕生前夜の1983年業界入り。
PC Magazine、PC WEEK、MacUserなどを経て、IT業界の裏道を歩みつつ現在に至る。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年2月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28    
closebox
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ