『ビジネス2.0』の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 『ビジネス2.0』の視点

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2010年5月6日

2010年5月7日の投稿

2010年5月8日 »

昨日は、原口ビジョンⅡの全体ビジョンを整理してきました。

原口ビジョンの基本コンセプトは、「ICT維新ビジョン2.0の推進」、「緑の分権改革の推進」、「埋もれている資産の活用」の3つが柱となっており、ICTに関連するのは主に「ICT維新ビジョン2.0の推進」です。

内閣府の国家戦略室で、28日に総務省のヒアリングをしていますが、その際に提示した具体的施策の位置づけ(案)の資料を参考にしながら、整理をしてみたいと思います。

2-(1)グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略        
◆「ICTグリーンプロジェクト」の推進

image

スマートグリッドに関しては、経済産業省や環境省など、政府全体として取り組んでいますが、総務省では主に通信ネットワークやプロトコルに関連する技術仕様などが中心となっています。総務省が技術的な検証はするとして、どの程度、実証事業などに取り組んでいくのか気になるところです。スマートグリッドのほか、ICT産業のグリーン化である「Green of ICT」と「Green by ICT」も推進し、2020年までに、ICTパワーによりCO2排出量10%以上の削減の実現を目指しています。

2-(2)ライフ・イノベーションによる健康大国戦略        
◆健康・医療・介護分野等におけるICT利活用の推進

image

注目されるのは日本版EHRです。本施策は、総務省だけでなく省庁横断施策となります。総務省が2月に公表した「スマート・クラウド戦略」の中間報告では、「医療クラウド」という表現をしていたのですが、新たに健康というキーワードが入り「健康医療クラウド」の整備推進としています。脳情報によるコミュニケーション施策も注目です。総務省は、情報通信審議会 情報通信技術分科会(第73回)で、「脳情報通信融合技術の動向」の資料を公表しています。これらの施策により、1兆円以上の医療費削減達成を目指しています。電子カルテやレセプトなど、日本の健康医療分野のICT化は、韓国など他国と比べると、著しく遅れをとっているため、今後の巻き返しが期待されます。

2-(3)アジア経済戦略        
◆日本発ICT(J-ICT)の国際展開の推進

image

地上デジタル放送では、これまでにブラジルやアルゼンチンなどが日本方式を採用しています。一方で、「ヨーロッパ方式」などもあり、今後どの程度、「日本方式」が広がりを見せるのか注目されます。またクラウドの標準化では、「グローバルクラウド基盤連携技術フォーラム(GICTF)」でも議論を進めています。2015年までに、日本の先進的なICTを30億人規模の海外市場に展開するとしており、特にアジアや南米などが大きなターゲットとなるでしょう。

2-(5)科学・技術立国戦略           
◆「光の道」100%の実現

image

ソフトバンクの孫社長などが積極的に本施策を支持しており、注目されています。「光の道」構想は、グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォースの「過去の競争政策のレビュー部会」で中心に議論されています。4月27日の第10回の会合では、「光の道」の論点整理(案)が公開されています。「光の道」に関心のある方は、是非目を通しておくと良いでしょう。

◆電子行政の強力な推進による無駄削減・オープンガバメントの推進

image

注目されるのは、「番号に関する原口5原則」である国民IDです。原口5原則は、2月23日の政務三役会議で公開されています。国民総背番号制に対して賛否両論がありますが、国民IDは電子行政を推進していく上で、非常に重要な位置づけとなっていくでしょう。

そして、米国で先行している「オープンガバメント」です。日本での代表的な取り組みは、経済産業省の「アイデアボックス」や文部科学省の政策創造エンジン「熟議カケアイ」です。総務省のオープンガバメントの施策はこれからという印象ですが、政府横断的な施策が展開されることが期待されます。

そして、新たに盛り込まれたのが、「政府共通プラットフォーム」の運用と「自治体クラウド」の推進です。「政府共通プラットフォーム」は、「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会」にて3月30日に最終報告書(案)を公表しています。本施策は、「スマート・クラウド戦略」の中間報告書にも明記されていますが、「霞が関クラウド」に該当します。「自治体クラウド」では、現在、一部の自治体で共通基盤連携基盤などの開発実証が進められています。「自治体クラウド」の概要については「自治体クラウドポータルサイト」で確認することができます。

◆ICTによる協働型教育改革の実現

image

昨年12月に公表されたフューチャースクールの推進では、「デジタル教科書を全ての小中学校全生徒に配備(2015年)」という内容が盛り込まれていましたが、今回はデジタル教科書の具体的な目標設定については、掲載されていません。デジタル教科書については、「「デジタル教科書」に関する取組みについて」でまとめていますので、是非一読ください。

◆新たな電波の有効利用の促進

image

2011年年7月24日でアナログ放送が終了するため、電波の帯域が大幅に空く、つまりホワイトスペースが生まれます。このホワイトスペースをどのように有効活用していくかが、焦点となります。

◆「スマートクラウド戦略」の推進による新サービスの創出

image

「スマート・クラウド基盤」の構築・活用については、総務省が2月に公表した「スマート・クラウド戦略」の中間報告のクラウドサービスを通じたICT利活用の徹底に該当します。報告書では「コミュニティ(地域)クラウド」という表現をしていますが、今回は「NPOクラウド」という記載をしています。 

また、データセンタの国内立地の促進に関しては、「クラウド特区(仮称)」の展開とし、先日の日経新聞の一面でも掲載されたように、大変大きな注目を集めています。特区については、3月に公表されたクラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会報告書(案) 」に考え方について書かれています。

◆「オープン型電子書籍ビジネス環境」の創出

image

そして、電子書籍の環境整備です。アマゾンのキンドルやアップルのiPadに代表されるように、電子書籍市場は、米国などがリードしています。総務省、文部科学省、経済産業省は3月、「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」を立ち上げ、技術に関するワーキングチームと出版物の利活用の在り方に関するワーキングチームにて、技術課題や国立図書館などのデジタルアーカイブの在り方などについて検討を進めています。

その他にも、「◆デジタルコンテンツ創富力の強化」や「◆ICT人材戦略の推進」や「◆地域におけるICT利活用の促進」、そして、「◆革新的なICT基盤技術の研究開発の推進」などについても目標設定をしています。

以上、具体的施策の位置づけ(案)のポイントについて、自分なりにまとめてみました。次回以降、5月6日に公表された原口ビジョンⅡの詳細版について、もう少し踏み込んで整理してみたいと思います。


関連サイト

MASAYUKI HAYASHI

« 2010年5月6日

2010年5月7日の投稿

2010年5月8日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
business20
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ