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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2008年5月19日

2008年5月20日の投稿

2008年5月21日 »

オリンピックまで3ヶ月を切りました。オリンピックの臨場感を味わうためには、もちろん現地へ足を運ぶのがいいのですが、大型薄テレビを購入し、大画面でオリンピックを楽しむというのも良いでしょう。テレビメーカにとっては、オリンピックの数ヶ月前は、テレビの買い替え需要の高い時期であると言えるでしょう。

インターネットが普及し、インターネットをしながらテレビを見る「ながら見」という傾向が顕著になってる昨今、テレビの周辺ビジネスにも進化が見られます。

 

ヤフーとグーグルのテレビへの意識

ヤフーは5月14日、ハイビジョンテレビ向けサービス「Yahoo! JAPAN for AQUOS」を5月29日より開始すると発表しました。シャープ製の液晶テレビ「AQUOS」が対応し、“テレビ向き”のコンテンツをインターネット経由で提供することが可能となります(関連記事)。

昨年の1月にパナソニック(当時松下電器産業)が米グーグルのYouTubeを直接見られる「VIERA」の米国での発売を発表したのも記憶に新しいところです(関連記事)。

さらに米グーグルは、4月30日テレビ広告販売サービス「Google TV Ads」を米国の広告主向けに提供を開始しました(関連記事)。

 

2015までに実用化されるテレビのイメージ

総務省は、5月13日の「ICT成長力懇談会(第6回)」端末層(テレビ・携帯電話)の2015年までに実用化されるサービスのイメージを提示しています。

その一部をご紹介しましょう。

2015tv

【超大画面・高精細化による高臨場感の追及】

  • 家庭のリビングが超高精細映像と立体音響による高臨場感シアターに
  • 人に優しい、自然な高臨
  • 場感放送へ
  • 五感放送の基礎研究を推進

【薄型・軽量化】

  • 新聞や広告(ポスター)に利用可能なフレキシブルシートディスプレイ
  • 超小型プロジェクタによるテレビ

【タイムシフト、VODなど視聴形態の多様化】

  • 見た時見た番組だけを視聴可能
  • 受信機が個人に合わせた番組を提供
    ~ コンシェルジュサービス~

【ネット接続による映像視聴以外の用途の拡大】

  • 「「見る」から「使う」へ~ネットショッピングや家電制御、ホームセキュリティなどのインターフェイスとして用途が多様化
  • 蓄積画像の共有

この中で私自身ポイントなると感じているところは、「個人に合わせた番組を提供するコンコルジェサービス」です。つまり、視聴者の嗜好にあわたリコメンド情報を提供してくれる端末やサービスとしての機能をもっていくことが期待されています。

携帯電話の分野でも「行動連鎖型検索」や「ライフログ」等の分野においての期待が高まっていますが、テレビも同様の動きを一部していくのかもしれません。

 

NGTV(Next Generation TV)

2月5日、野村総合研究所(NRI)は、2015年をターゲットとした国内メディア・コンテンツ産業の変革シナリオを記者向けのセミナーで解説しました(関連記事)。2015年に望まれるテレビの姿として、

  • 「ナビゲーション」(検索やレコメンデーション)
  • 「オンデマンド視聴」(タイムシフト、ロケーションシフト)
  • 「メタ情報の共有」(レーティングの共有)
  • 「評価」(評価のフィードバック)

を想定しています。
総務省が提示しているイメージと共通している点も多いことがわかります。


IPTVも多種多様

IPTV(Internet TV)を耳にする機会が多少なるとも増えてきたように感じています。「IPTV革命」という本も発売され、IPTVは、新たな産業革命と読んでもおかしくなくインパクトがあるとしています。IPTVも様々なタイプがあり、

大きく分けると、

  • YouTube、ニコニコ動画、Gyao、アクトビラなどに代表されるインターネット型テレビ
  • BBTVやbrancoなどに代表される帯域制御を確保する手段をもったIPネットワークによるIPTV
  • ひかりTVなどに代表されるNGN対応型IPTV

の3つがあげられるでしょう。ひかりTVは、5月9日に地上デジタル放送のIP同時再送信の開始が開始されています(報道発表記事)。

NGNの提供エリアは、まだ東京の一部のため、2010年の全国エリア展開の時期には、NGN型対応のIPTVの状況や方向性が見えているのかもしれません。

いずれにしてもテレビは「放送と通信事の融合・連携」や「情報通信法(仮)」などで議論されているように著作権も含めてテレビそのもののあり方が今議論されています。

テレビは、パソコンや携帯電話と比べて、購入サイクルが長く、また、制度面の整理もあるため、テレビの進化が見られるのは、しばらく時間はかかるかもしれません。しかしながらテレビはリビング端末、つまり家族が集まるところにある端末のため、テレビは、パソコンや携帯電話以上に便利で楽しむことのできる端末に進化していくことが期待されるところです。

 

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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