マリコ駆ける!:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) マリコ駆ける!

翻訳・WEB・キャリアを極める~楽しく正しく新しい会社経営&オリンピックへの道~

« 2010年7月28日

2010年7月29日の投稿

2010年7月30日 »

会社を経営にするには運転資金が必要だ。起業時に、中小企業の経営者は自分の時間の3割を資金繰りに使われているという、あまり根拠はないが、まことしやかな話しを聞かされた。

というのも、運転資金は、売上がなければもちろん大変だが、売上が増えたら増えたで大変になるからだ。
急激に売り上げが伸びると、実際のお金が入ってくるのは仕入などお金が出て行く後のことが多いから、逆に資金繰りが大変になる。(黒字倒産の可能性だってある)売上があがっている時は当然ながらめちゃめちゃ忙しいのに、さらに気が狂うことになる。

そこで、私は資金繰りに私の時間を一切使わなくてよいように、たくさんお金を準備することに決めた。ところが、起業の本には、実際にどうやってお金を集めるのかという生々しい話はあまり書いていない。
通常のお金の集め方は以下のようなところだ。

1.自分の貯金ないしは親族・友人のお金をかき集める

誰だってまずこれをやる。私も、自分の預金、夫の預金、そして親の預金をあてにした。
ただ、これをやりすぎるのは実はよくない。

リスク分散の定石として、「卵を1つのバスケットに入れるな」という言葉がある。分散投資でリスク量を低減できるという意味だ。

つまり、会社と自分の家族の生活とうい卵を一緒の籠にいれてはいけない。
後述するが、たいていの中小企業の社長は債務保証をおって銀行からお金を借りている。会社が飛んだ(倒産した)時、自分が飛ぶ(自己破産する)のはしようがないとしても、配偶者まで路頭に迷うのは避けたい。

また、友人にお金を借りると、人間関係を悪くする可能性も高い。金の切れ目が縁の切れ目、倒産したら友人まで失うことにもなりかねない。

私も起業当初夫に借りていたお金も今は返却した。
もっとも、理由は万が一の時の切り札にしたいということもある。
苦境に陥った時、踏み倒すかもしれないのに、お金を貸してくれる可能性のある奇特な人は身内しかいないから。えっ、身内でも貸さない?(笑)

2.銀行に借りる

普通の人が銀行からお金を借りる時は、家を買う時であろう。家を買う時は担保になるものがある。日本の銀行は担保があるとスムーズに借りやすい。

さて、会社のためにお金を借りるとなると、担保となるものが普通はない。(企業が不動産をもっていたりすると別だけど、起業時にはないでしょう)
社長個人の債務保証なしに、お金が借りられるようになるのは、上場して企業に信用が出来たり、信頼を勝ち得て(債務保証時に較べて)高い利率で借りると決意した時だ。

よって、中小企業がお金を借りたいとなると、社長個人の債務保証をつけてということになる。それでも借りられる金額というのは少ない。

3.債務保証制度を利用する

銀行からもっとお金を借りるための工夫として、国に債務保証をしてもらうという手がある。
銀行に対して、「国がこの企業が借りるお金の債務保証をしますから、安心して貸してあげてください」という制度だ。国が企業に直接お金を貸してくれるわけではない。
その債務保証をもらっても、銀行に個人で債務保証をしなければいけないのが、不思議なところ(銀行がうまいところ)だが。
融資の枠は、国が債務保証をしてくれる金額まで広がる。
中小企業基盤整備機構だとか、○○区のような地方自治体だとか、債務保証制度を提供する団体は色々ある。

1~3まではお金を借りているわけだから、必ず返さなければいけない。
本当は借りたいのではなく、もらいたいのだ(笑)返さなくてよいお金と言えば・・・

4.助成金を得る

助成金はたくさんあり、「助成金をどのようにしたらもらえるのか」というコンサルタント業や助成金入手代行業が成りたつくらいだ。
もらえるのはたいそう嬉しいのだが、当たり前ながら使い道の縛りがきつい。また、正しく利用していることを証明するために、色々な事務作業が増える。
助成の趣旨に合うように、本来やりたかったことを曲げる必要もある。

起業当初は積極的に利用していた私だが、本末転倒になりやすいので、今は利用していない。

5.出資を募る

正確に言えば、もらうわけではないが、普通は返さなくてよいという意味で、もらったのに近い。
バブリーな時は、ベンチャーキャピタルが億単位の出資をしてくれて、そのお金で高級車を買ったり、高いオフィスに引っ越したりした経営者もいたなぁ。

創業時は全く出資を募る気がなかった。というのも真面目な(?)性格なので、出資者から経営に関して何か言われた時に拒否しづらいと思っていたのだ。「金だけもらって、言うこと聞かなきゃいいんだよ」というありがたい経験談もいただいたが、そういうところには図太さが備わっていなかったようだ。
もちろん、出資する側はリターンを求めているので、経営者はその期待にこたえる義務がある。私も今なら、必要な際には出資を募るメンタリティだが。

結局、私はというと、銀行からお金を借りる能力が高いらしく、売上から考えると信じられないくらいの金額を銀行から借りた。
知人には、「利子もあるし、使わない現金がたくさんあることで道を間違うこともあるから、そんなに借りるな」と叱られたのだが、資金繰りであくせくするのは死ぬほどいやなので、銀行口座に必要な運転資金以上にお金をおいておくことにしている。

しかし、銀行からお金を借りる能力より、新しい事業を開発する能力が高かったり、こんなに用意した資金がつきるほど急激に売上が伸びたりするほうが嬉しいなぁ(爆)起業当初の、「資金繰りでバタバタしない」という誓いだけはお陰様で守れています。

大里真理子

« 2010年7月28日

2010年7月29日の投稿

2010年7月30日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

大里真理子

大里真理子

(株)アークコミュニケーションズ 代表取締役社長
<目指せグローバルなビジネスコミュニケーション!>
翻訳/通訳/ローカリゼーション・Web/クロスメディア制作・
ライティング・人材派遣/紹介を営む

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
arc
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ