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翻訳・WEB・キャリアを極める~楽しく正しく新しい会社経営&オリンピックへの道~

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2010年7月21日の投稿

2010年7月22日 »

私はIBM 86年入社組なのだが、当時はMarketing Schoolと呼ばれたSE教育を1年もかけてやってくれた。その最後の卒業試験のプレゼンは、特定の顧客を想定して、IBMのソリューションを10分程度で提案することだった。(何分、25年も前のことなので詳細の記憶は定かではないが)

新入社員で実務がおぼつかなかったこともあり、上司が教育に対して非常に理解のある人だったこともあり、かなりの時間をその準備に割くことが可能であった。

私の想定顧客はHONDAで、ネットワークの提案だった。
残念なことに、当時の私には最も知らない業界、最も興味のないアプリケーションであった。

言われたことのオウム返しは出来るので、上司は私が理解したのかと勘違いしたようだが、いくら本を読んでも上司の話しを聞いても提案するシステムの理解が深まらない。

そういう中、システムの本質がわかっていないと認識していたことは救いだった。つまり、それ以外のところで努力するしかないと思ったのだ(笑)

そのために新入社員の私が絞った知恵ははふたつ。

①とにかくHONDAに関するありとあらゆる情報を集めてみよう
②中味はともかく、説明するスキルを磨いてみよう

①のように書くと、顧客のことを深く調べようとした素晴らしい姿勢のように見えるが、もっと切実な問題からの発想であった。

当時の私は極度の車音痴であった。日本車のメーカーにTOYOTA、HONDA、NISSANがあることぐらいはわかっていたのだが、どのメーカーがどの車種を作っていたのか全く知らなかったのだ。

上司から「HONDAにネットワークのソリューションを提案する」というテーマを与えられた時に、「HONDAってクラウンを作っている会社ですか?」と何気なく聞いたので、周りが凍りついたのだ(爆)

「研修のプレゼンで絶対そんな間違いするなよ。マイナーな部品メーカーなら製品名を間違っても、担当SEではない研修の教官は気がつかない。だが誰もが知っている車メーカーの車種を間違ったら、それだけでアウトだぞ!」

次の日、私は本屋に行ってマニアが買いそうな車の本を買ってきて、一生懸命車種名を覚えていた。まるで歴史の年号を覚えるかのように。

しかしながら、すぐさま不安になった。この本の後に出てくる新車はどうやって覚えよう? そこで新聞や雑誌を毎日読んで、新車が出ないかチェックしていたのだ。

当たり前だが、毎日読んでも新車情報にはそうそうぶちあたらない。しかしHONDAに関する記事は山のようにあるので、そういうものを読んでいるうちに、HONDAという会社に非常に愛着がわいてきた。

研修前に初めて上司にプレゼンを披露したとき、私はものすごく褒められた。
たぶんそれは、読み物を通しての知識でしかなかったが、私の顧客に対する愛情がひしひしと伝わったのだ。新入社員らしい、下手くそだけど熱意の伝わるプレゼンだったのだと思う。

今も、スタッフにプレゼンのコツを尋ねられた時は、「顧客への愛だよ」と答える。誰にでも通じる通り一遍のことではなく、顧客のことをどれだけ真剣に時間をかけて考えているかは、必ず伝わるものだ。

さて、これで気をよくした私はさらに前進しようと②のプレゼンのスキルの向上に望むのだが、意外な落とし穴が。長くなったので、次回のエントリーで紹介する。

P.S.
蛇足ながら、実際に仕事で担当した顧客はHONDAではなくNISSANだったので、また車種を覚えることから始めなければいけなかった(笑)

大里真理子

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プロフィール

大里真理子

大里真理子

(株)アークコミュニケーションズ 代表取締役社長
<目指せグローバルなビジネスコミュニケーション!>
翻訳/通訳/ローカリゼーション・Web/クロスメディア制作・
ライティング・人材派遣/紹介を営む

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