マリコ駆ける!:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) マリコ駆ける!

翻訳・WEB・キャリアを極める~楽しく正しく新しい会社経営&オリンピックへの道~

« 2009年10月21日

2009年10月28日の投稿

2009年11月2日 »

戸田奈津子さんの講演を聞くのは2度目で、前回はなんと1991年の夏。ほぼ18年ぶりだ。

18年前はまさか自分が翻訳会社の社長をしているなんて夢にも思わず参加した。今回は同業という気持ちで聞くことになった。

知ってはいたが改めて聞くと特殊な世界だ。

外国映画を字幕で見るというのは日本独特の文化だ。他の国だとほとんどが吹きかえだ。識字率の問題もあり、字幕は面倒だと感じるらしい。お金がなくて吹き替えが出来ないので仕方がないから字幕にしようという感覚らしい。

一方日本人は、吹き替えと字幕の両バージョンがあると字幕のほうが人気だそうだ。例え英語がわからなくても、俳優の生の声を聞きたい、本物(吹き替えを偽物というつもりはないが)をそのまま見たい、外国語を感じてみたいなどの欲求が高い。もちろん識字率も高い。

個人的な見解は、加えて表意文字である日本語の特性によるところも多いと思っている。日本語字幕においては、1秒4文字計算で、10字×2行という厳しい文字制限がある。表意文字である漢字がなかったら、たった20字の中でどれだけのメッセージを伝えることが出来るであろうか。

このような世界においては映画の字幕翻訳者という肩書きを言える人(字幕翻訳で生計が立てられる人)は何人いるのだろうか?まず日本以外にはいないだろう。先ほど述べたように字幕翻訳はポピュラーではないし、発展途上国においては外国映画そのものの上映本数も少ない。

さて、それでは日本ではどうだろうか?映画の字幕翻訳は納期も短く、仕事の性質上、分業が難しいのでほとんど実質一人で行われる。そうなると日本で1年間に上映される映画の本数から考えると10人くらいということになろう。(私たち一般の人が戸田奈津子さん以外の字幕翻訳者をほとんど知らないが、そもそもほとんど存在しないのだ)

と、戸田さんはおっしゃったのだが、字幕翻訳を生業としている人は戸田さんが想像するより、実はかなり多い。確かに映画の字幕翻訳は10人ちょっとの世界かもしれないが、それ以外の業界のニーズは意外に多いのだ。マーケティングマテリアルとしての映像翻訳も最近は多い。社長の挨拶、リクルート用の会社紹介、研修用のビデオなど、動画を使ったマテリアルはここ数年非常に増えている。だから字幕翻訳を専業としている会社もいくつもある。

アークコミュニケーションズももちろん字幕翻訳を行う。字幕翻訳の仕事を請けて思うことは、翻訳以外の特殊なスキルを伴う仕事だということだ。字数制限に対応できるシナリオ作成力、日本語表現力は映画の字幕翻訳と同じように必要だし、字幕スーパーを入れるハード・ソフトを使いこなせることも重要になる。(翻訳者と字幕スーパー制作者と分業することも多いが)

さて、19年前の講演内容と一番違ったこと。それは、若者の字幕離れが深刻であるという戸田さんの危機感かもしれない。

若者の活字離れはこう言うところにも現れているのだ。レンタルショップにおける外国映画のDVDにおいては若者をターゲットにした場合は字幕より吹き替え版を増やしているそうだ。

さて私はというと・・・やっぱり字幕じゃなきゃと思う。英語どのように工夫して訳しているのか知るのも楽しいし、やっぱり監督や俳優の思いをそのまま感じてみたいから。若者でないということの証明のようでもありますが・・・(苦笑)

大里真理子

« 2009年10月21日

2009年10月28日の投稿

2009年11月2日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

大里真理子

大里真理子

(株)アークコミュニケーションズ 代表取締役社長
<目指せグローバルなビジネスコミュニケーション!>
翻訳/通訳/ローカリゼーション・Web/クロスメディア制作・
ライティング・人材派遣/紹介を営む

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
arc
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ