【米企業のChatGPT事例】米国最古の銀行がOpenAIのDeep Researchの利用を開始
AIは電力が産業界に果たした役割をこれから果たす
Wall Street Journalに一昨日出た記事で、米国の最も古い銀行BNY (Bank of New York Mellon Corp)がOpenAIのリサーチ/分析/執筆機能がある「Deep Research」を業務に使うと報じられていました。
BNY, America's Oldest Bank, Signs Multiyear Deal With OpenAI
アメリカの最も古い銀行BNYがOpenAIと複数年契約を締結
LinkedInでは同銀行CEOのRobin Vince氏がWSJの記事を引用した投稿を上げており、「AIは電力が産業界に果たした役割をこれから果たすようになる」という趣旨のコメントをしています。
WSJ記事の内容(ChatGPTが翻訳したもののうち一部)
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY)は、水曜日に人工知能(AI)分野のリーダーであるOpenAIとの複数年にわたる提携契約を発表した。
この契約により、米国最古の銀行であるBNYは、OpenAIの最先端ツール「Deep Research」や高度な推論モデルへのアクセスを得ることができ、同行の社内AIプラットフォーム「Eliza」の機能強化を図る。一方、OpenAIは、同社のモデルが実社会の複雑な業務でどの程度機能するかを検証する機会を得る。契約の詳細な条件は公表されていない。
Elizaは、BNYの知識を学習したチャットボットであり、従業員がさまざまな公開モデルを活用してAIツールやエージェントを構築できるプラットフォームとして機能する。
BNYの全52,000人の従業員が利用可能
50%以上の従業員が実際に活用
営業担当者向けのリード生成アプリなど、独自のツールを開発
BNYは今回の契約により、OpenAIの企業向けプラン「ChatGPT Enterprise」へのアクセスも得る。
OpenAIのDeep Researchは他社の「ディープ系」とは一線を画す
XでAIの最新動向を伝えるアカウントの投稿経由で、OpenAIの「Deep Research」は他社が相次いで出した「Deep ResearchおよびDeep Search」(以下ディープ系)とは「つくりが違う」ということを知りました。
米国のAIに関する最新動向をハイレベルな内容で提供するd氏の投稿。OpenAI社員らがDeep Researchの「つくり」について論じている。
小職がPerplexity、DeepSeek、Genspark、Grok 3のDeep ResearchないしDeep Searchを色々に使って試してみた印象から言うと、Grok 3は例外ですが、他社のディープ系は、OpenAIのDeep Researchが持っている凄みと完成度という点で、博士号取得者と高校3年生ぐらいのレベル感の差があります。
Grok 3はイーロン・マスクが「世界最高のAIだ」と何度もうたうだけあって、これはOpenAIのDeep Researchとタメを張ります。例えるなら、OpenAIのDeep Researchがベンツのエンジン車の最新スポーティタイプ(パリのシャルルドゴール空港からホテルまで乗った経験があります)だとすると、Grok 3はTeslaです(3年前に知人が大型のモデルで都心を走るのを経験しました。非常に重量の大きな車体がAI的な敏捷さで車線変更をするのを経験しておおと思いました)。
OpenAIのDeep Researchはオフィスワーカーの生産性を飛躍的に高める
余談が長くなりましたが、その優れたOpenAIのDeep Reseachを米国の最も古い銀行が導入したということです。
これがどれだけオフィスワーカーの生産性を高めることになるのか。想像もつきません。というのも、新しいアイディアを形に移す時、あるいは新しい提案を顧客に向けて作成する時、必ず何らかの調べ物が必要になります。最新状況を踏まえたアイディアや提案を作成することができれば、競合のアイディアや提案に勝てます。深くリサーチしたアイディアや提案は、それだけ深くなる可能性があります。
それがこれまではできませんでした。アイディアを10本出さなければならない時、そのいちいちで専任のリサーチャーを動かしていたのではコストが合いません。顧客向け提案を3案作りたい時、そのいちいちにリサーチャーの調べ物が必要ではスピード感が出ません。
そうしたリサーチャーの役をOpenAIのDeep Researchは果たせるのです。
BNYの中ではしばらくは「こんなにすげーのか!?」という驚きの言葉が、あちこちから上がることでしょう。