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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

BARDの経営問題指摘がリアルタイムかつ的確過ぎる:Disney/Apple/Netflix/Tesla

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昨日公開になった日本語版BARD
を私も試してみました。
産業調査屋をやっているので、企業の分析能力がどれほどのものか非常に興味があります。
腕試しということで、米国を代表する企業4社で試してみました。


●Disneyの苦境を的確に指摘

まずはDisney。
私:Disneyが現在抱えている経営上の最も大きな問題は何ですか?
BARD:ディズニーが現在抱えている経営上の問題はたくさんありますが、最も大きな問題は次のとおりです。
ストリーミング戦争: Netflix、Amazon、Appleなど、多くの企業がストリーミング市場に参入し、競争が激化しています。ディズニーは、Disney+、ESPN+、Huluの3つのストリーミングサービスを所有していますが、Netflixの加入者数にはまだ追いついていません。
テーマパーク: ディズニーは世界中のテーマパークを運営していますが、COVID-19パンデミックにより、これらのパークは2020年と2021年に閉鎖または制限された営業を余儀なくされました。ディズニーは現在、これらのパークを再開し、収益を回復しようとしています。
コンテンツ: ディズニーは新しい映画やテレビ番組を制作していますが、かつてほど多くのヒットを飛ばしていません。ディズニーは、新しい成功したコンテンツを作成するために、より努力する必要があります。
コングロマリット: ディズニーは、映画、テレビ、テーマパーク、ストリーミングなどのさまざまな事業を展開する大企業です。この多様化はディズニーの強みですが、弱みにもなり得ます。ディズニーは、すべての事業をうまく管理し、競争に打ち勝つことができるかどうかを確認する必要があります。

ディズニーはこれらすべての問題に直面していますが、それでも世界で最も成功した企業の1つです。ディズニーはこれらの課題を克服し、今後も成長を続けることができると確信しています。
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すごいですね!Disneyの現在の状況に関してほとんど知識がない状態から始めて、このように包括的に経営問題を見られるようになるまでは、少なくとも3日程度、経済紙の記事や同社が公開する情報などをインプットして咀嚼する必要があります。
それがたったの数秒で出てきます。このリアルタイム感がたまりません。


●Appleは成長が鈍化している!


続いてApple。
私:Appleが現在抱えている経営上の大きな問題は、どこにありますか?
BARD:Appleは世界で最も成功した企業の1つですが、それでもいくつかの経営上の問題に直面しています。最も大きな問題のいくつかは次のとおりです。
成長の鈍化: Appleの売上と利益は近年成長していますが、成長のペースは鈍化しています。これは、スマートフォン市場が成熟し、Androidスマートフォンやその他のデバイスとの競争が激化しているためです。
中国: Appleは中国の消費者に大きく依存していますが、中国経済の減速は同社の売上に影響を与えています。
革新の欠如: Appleはかつて革新的な企業でしたが、近年は革新のペースが鈍化しています。これは、Appleが新しい製品やサービスを開発するのに苦労しているためです。
価格: Apple製品は高価で、一部の消費者には手頃な価格ではありません。
競争: AppleはGoogle、Samsung、Microsoftなどの強力な競合他社に直面しています。これらの企業は、Apple製品よりも低価格で高品質の製品を提供しています。

これらの問題にもかかわらず、Appleは依然として世界で最も成功した企業の1つです。 Appleはこれらの課題を克服し、今後も成長を続けることができると確信しています。
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産業調査屋として肌感覚で感じるのは、この回答が、極めて専門家を唸らせる視点の正確さ、分析の的確さがあり、かつ、それなりの自信に満ちているということです。正確に検証するには、Google Searchでそれぞれのトピックに関する元資料を検索して歩かないといけませんが、英語による検索を見るとGoogle検索ボタンが下に付くので、その仕様が実装されるのも間もなくでしょう。企業の調査が必要な人間にとっては欠くことのできないツールになりそうです。


●レッドオーシャンになってしまったNetflixの動画配信ビジネス


次はNetflix。
私;Netflixの経営に問題があるとすれば、その本質は何ですか?
BARD:Netflixは、2022年第1四半期に97万人の有料会員を失い、2011年以来初めての純減を記録したことを発表しました。これは、同社が直面しているいくつかの経営上の問題を示しています。

Netflixが直面している最大の問題の1つは、競争の激化です。 Amazon、Hulu、Disney +など、Netflixに挑戦するストリーミングサービスがますます増えています。これらの企業は、Netflixよりも低価格で高品質のコンテンツを提供しています。

もう1つの問題は、Netflixのコンテンツのコストが急騰していることです。同社は、オリジナルコンテンツの制作に多額の費用を費やしており、このコストは今後も増加すると予想されています。これには、Netflixが有料会員の料金を引き上げざるを得なくなる可能性があります。

最後に、Netflixは、消費者がストリーミングサービスに費やす時間の減少に直面しています。消費者は、ソーシャルメディア、ビデオゲーム、その他のエンターテインメントに多くの時間を費やしており、ストリーミングに費やす時間は減っています。これには、Netflixが有料会員を失う可能性があります。

Netflixはこれらの課題を克服する必要がありますが、それを行うことができるかどうかは明らかではありません。同社は、競争に打ち勝つために、独自のコンテンツを作成し続け、有料会員料金を抑える必要があります。また、消費者がストリーミングに費やす時間を増やすために、他のエンターテインメントと競争する必要があります。
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なるほど、コンテンツ制作費が急騰している訳ですね。競合が沢山出てきましたからね、クリエティブなコンテンツ制作者は絶対数が限られていますから、高騰するのも無理はないですね。
以前はブルーオーシャンを突っ走っているように見えたNetflixも、現在はレッドオーシャン化しつつある市場で、どっちに舵を切っていくか、というところでしょう。


●Teslaの課題はものづくりにある


最後にTesla。
私:Teslaは現在、多数の経営上の問題を抱えていると思います。その最も大きなものは何ですか?また、解決の道筋があるとすれば、それはどのようなものですか?

BARD:テスラが現在直面している最大の経営上の問題の1つは、生産の問題です。同社は、モデル3やモデルYなどの人気車を十分な速さで生産できず、在庫切れになっています。これにより、Teslaは顧客を失い、収益を損なっています。

もう1つの問題は、Teslaのコストが高いことです。同社は、車を製造するために多くのお金を費やしており、このコストは上昇しています。これにより、Teslaは車の価格を引き上げざるを得なくなり、顧客を失う可能性があります。

最後に、Teslaは競争の激化に直面しています。他にも多くの電気自動車メーカーが市場に参入し、Teslaの顧客を引き抜こうとしています。これにより、Teslaはシェアを失い、収益を損失する可能性があります。

Teslaはこれらの課題を克服する必要がありますが、それが容易ではないことは明らかです。同社は、生産を増やす、コストを削減し、競争に打ち勝つための新しい方法を見つける必要があります。
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Teslaについては過去1年あれこれ調べていたので、的確な内容だと思います。過不足がないというか。通例、ここまでの理解を持つのに3〜4日みっちり使った英文資料による調査が必要です。それがたったの10秒程度。驚くべき調査能力の進化です。


●BARDについてわかったこと


これでわかることは、これまで人間がやってきた特定企業の全体像把握のための事前調査。この事前調査が一瞬で済んでしまう時代に入ったということです。
この事前調査の内容を踏まえて、個別具体的なトピックについて深掘りして行けば良い。その深掘りもBARDを使えば同様に瞬時に済んでしまう可能性があります。また、ChatGPT4やBingを併用していくと、かなり精度の高い調査になります。

調査ビジネスの革命がやってきたと言えるでしょう。

●ChatGPTとMidjourneyのプロンプトを色々解説しております。

こちらのブログ

仕事と余暇で使うChatGPTとMidjourneyとBARDのプロンプト

ではChatGPTとMidjourneyで使って試して興味深かったプロンプトを解説しています。

さわりの画像は以下。

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