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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

特報:インド・マハラシュトラ州電力公社が大型石炭発電2案件の公開入札を開始

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インドのaXYKno(アクシノ)というインフラコンサルティング会社からいただいた情報です。

マハラシュトラ州はインドのなかで人口2位(1億1,200万)。州都ムンバイを擁し、インドのなかで経済がもっとも活発な州です。総発電容量1万400MWを持ち同州の発電をほぼ一手に担うマハラシュトラ州電力公社(Maharashtra State Power Generation Company)が大型石炭発電案件2件の民間企業側パートナーを求めています。
1つが1,980MW(660MW×3基)のドパーヴェ(Dhopave)石炭火力発電所、もう1つが3,300MW(660MW×5基)のドンダイチャ(Dondaicha)石炭火力発電所です。

ドパーヴェについては今年5月ぐらいに上記aXYKnoから情報をもらい、概要把握に努めていましたが、今回その案件がドンダイチャとともに公募にかけられたという次第です。

オープンになりましたので、必要な情報はマハラシュトラ州電力公社のサイトで得られます。
現在行われているのは"Expression of Interest"(EOI)。日本語で「関心表明」と訳されますが、"Interest"(関心・興味)を持つ民間企業が、用意された書式に記入をし、参加料相当のお金を支払って、エントリーするというフェーズです。両案件のEOI書式は以下のページにリンクされています

締切はドパーヴェ1,980MWが7月31日。もうほとんど日がないですね。ドンダイチャ3,300MWが8月2日。同じく日がないです。

EOI提出企業は、明らかになっている基準によりふるいにかけられた後で、Short list企業として選定されます。Short list企業には8月9日(ドパーヴェ)、8月17日(ドンダイチャ)に説明会があります。それで詳細情報を得て、プロポーザルを作成。テクニカル面でもファイナンス面でももっとも妥当な提案内容を提出した企業が落札することになります。

ご興味がおありの企業はとりあえず、EOI書類だけ提出しておいて、後は説明会に参加してから検討するということも可能かも知れません。同州電力公社への提出手数料は10万ルピー(14万円前後)。

想定されている総事業費は関連記事によると、1MW当たり5,000万〜6,000万ルピー、すなわち7,000万円〜8,500万円。ドパーヴェ1,980MWで1,380億〜1,660億円。ドンダイチャ3,300MWで2,310億〜2,770億円となります。インドネシアで伊藤忠とJパワーが受注した中央ジャワ2,000MWが3,200億円規模とされているのから比べると4割〜5割程度安い想定となっており、相応に安い工事費、設備費が前提となっている模様です。

EOI書式を読むと、「インドの会社法によって設立された社歴3年以上の企業でなければ応募できない」という意味の記述があり、これに日本企業が応募可能なのかどうか、現在、インドの会社に確認中です。

また、EOI書式を読むと細々気になる点があり、これについてもインドに照会中です。

本案件が一般的な海外石炭発電案件に比べて、優っていると思われる点を記しておきます。

○石炭燃料調達の手当が付いている。
・マハラシュトラ州電力公社は本来であればすべて自前でこれら両発電所を建設、運営したかったものと思われ、長期にわたって準備を続けてきた形跡があります。そのなかで当然ながら燃料となる膨大な量の石炭も手当する必要があり、それについてはメドが立っているようです。もっともEOI書類には、万一燃料が不足した場合には海外から購入しなければならない、などという文言も見え、細心の注意を払って確認することが必要ですが。

○買い手が決まっている
・発電した全量をMahadiscomというマハラシュトラ州系配電会社が買い取ります。
・ただし支払い能力については要精査ですが。

○用地の手当てが付いている。
・インドの発電案件ではこれが最大のポイントでしょう。インドではインフラ用の土地の手当てが延々と進まず、これがために数年を空費してしまうことがよくあると聞きます。主には、土地所有者の抵抗、および、環境行政による認可までの間延びした時間が原因です。両案件ではこれがクリアされているそうで、ファイナンスの準備が済み次第すぐに着工できる模様です。

何かわかりましたら、続報を書きます。

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