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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

米インフラ専門サイトが選ぶ2010年の10大トピック(の中の3つ)

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今年も大晦日となりました。個人的には反省する点が非常に多い1年でしたが、みなさんはいかがだったでしょうか。
年末も大詰めということで、米国のインフラ専門サイト"Infrastructurist"が紹介していた今年のインフラ関連の10大トピックの中から、3つを選んでご紹介します。

インフラ専門サイトと言っても、日本と米国ではずいぶんと関心の対象が違います。そもそも米国には、製造業の分厚い層があるわけではなく(GEのような巨人はいるにしても…)、従って、パッケージのインフラを輸出しようなどとという目線がありません。インフラに着目する目線は、おそらく、オバマ政権が米国再生・再投資法でインフラ投資を大々的に取り上げた、その頃から一般化したのではないでしょうか。
また、米国国内で道路、橋、送電網などのインフラが老朽化しており、そちらへのインフラ投資が優先するという事情もあってか、国外のインフラ投資には(このサイトを見ている限りは)、あまり目が向いていないように思います。

そういう彼我の特性の違いを踏まえた上で、"Infrastructurist"が選んだ2010年のインフラ関連トピックベスト10の中から、われわれにも興味の沸く3つを選ぶと以下のようになります。

第八位 自転車通勤がブーム

米国の大都市では、自転車による移動が活発になっているのだそうです。ワシントンDCでは自転車のシェアリングプログラムがスタート、ニューヨークでは自転車利用が30%増加、自動車が当たり前のロサンジェルスでも自転車が利用され始めています。また、最近の調査では、ラッシュアワー時には自動車通勤よりも自転車通勤の方が時間が短く済むという結果が出ているそうです。
これがインフラ系トピックとしてなぜ入ってくるかと言うと、輸送一般の変化であり、仮に自転車通勤がますます増えるようであれば、他の自動車、鉄道などに関連したインフラ整備の必要性も変化する…というロジックのようです。なかなかおもしろいですね。
これに関連して選ばれていたトピックが「歩いて移動できる大都市」でした。大都市の住民の行動が変化すれば、必要とされる輸送インフラも変化しますからね。

第四位 中国の高速鉄道は世界一

米国でも高速鉄道に関する期待が高まっているわけですが、中国の高速鉄道の展開ペースと規模の大きさには、さすがの米国人も舌を巻くようです。中国では11月中旬に北京と上海を結ぶ高速鉄道のレールの敷設が完了しました。これが1,318kmあるそうです。世界一長い高速鉄道軌道とのことです。計画では2020年までに沿岸部や内陸部の主要都市を結び、全長15,617km(9,700マイル)になるそうです。日本の新幹線が間もなく開業の九州新幹線を合わせても約2,260kmですから、その約7倍ということになります。米国から見てもこれは巨大だということで、ベスト10に入っています。

第一位 アメリカの高速鉄道の未来

ここで「未来」が付いているのは(トピックのタイトルは"The Future of High-Speed Rail in America")、未来が若干危ぶまれているというニュアンスが入っています。

このブログでもフロリダ高速鉄道の動きについては、かなり詳しくお知らせしました。

[ニュースの背景] フロリダ高速鉄道にJR東海など日本企業グループが応札(上)
[ニュースの背景] フロリダ高速鉄道にJR東海など日本企業グループが応札(中)
[ニュースの背景] フロリダ高速鉄道にJR東海など日本企業グループが応札(下)
フロリダ高速鉄道こぼれ話

フロリダ以外にもカリフォルニアなどたくさんの高速鉄道計画がありますが、今年11月の米国中間選挙では、野党である共和党が勝ったため、高速鉄道計画の進展にもブレーキがかかったような状況になりました。共和党は、市場経済を信奉しているため、国の予算を使って公共事業的なインフラ投資を行うことに対しては懐疑的です。選挙でも、共和党候補は各州で動いていた高速鉄道計画をあえて叩く論法に出たようで、共和党が力を盛り返した州では、高速鉄道計画が頓挫、連邦から割り当てられた助成金を返上した州もあるそうです。
そういうなかで、日本勢も入札に参加しているフロリダ州は、米国初の高速鉄道であり、今後のモデルにもなることから、米国運輸省がさらに助成金を積み増しました。また、カリフォルニアにも同じような手厚い対応をしています。それら2州を例外とすると、他州の高速鉄道には暗雲が垂れ込めているようです。

所変われば品変わるで、同じインフラ関連の話題と言っても、"Infrastructurist"の目線はずいぶん違います。なかなか興味深いと思います。

本年1年どうもありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。

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